この記事の監修者
久保木彰一
ワイズ製薬株式会社 薬剤師
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。
脂漏性皮膚炎で処方される塗り薬のステロイドは、過度に怖がる必要はありません。改善のカギは「1日1〜2回」「FTUを目安にした適量」「擦らない」の3点と、自己判断で急にやめないことです。
この記事の結論
- 脂漏性皮膚炎で処方される塗り薬のステロイドは、過度に怖がる必要はありません。
- 改善のカギは「1日1〜2回」「FTUを目安にした適量」「擦らない」の3点です。
- 症状が落ち着いても自己判断で急にやめず、やめ方も含めて医師の指示に従いましょう。
こんな人に
- 皮膚科でステロイド外用薬を処方され、塗り方に不安がある方
- 「ステロイドは怖い」というイメージで量を減らしてしまっている方
- 良くなってきたので薬をやめてよいか迷っている方
- 塗っているのになかなか良くならないと感じている方
ステロイド外用薬の役割
ステロイド外用薬は赤みやかゆみを抑え、かきこわしによる悪循環を防ぐ助けになるとされています。副作用の心配が比較的大きいのは飲み薬で、脂漏性皮膚炎で使われる塗り薬は正しく使えば問題が起こることは少ないと考えられています。
脂漏性皮膚炎で皮膚科を受診すると、ステロイド外用薬(塗り薬)が処方されることがあります。ステロイド剤は赤みやかゆみを抑え、症状を一時的に和らげるはたらきがあるとされています。かゆみを我慢できずにかきむしると、肌が傷ついてさらに悪化しやすくなりますが、ステロイドで赤みやかゆみが落ち着けば、こうした「かきこわし」による悪循環を防ぐ助けにもなります。
「ステロイド」と聞くと怖いイメージを持つ方も少なくありません。ただ、副作用の心配が比較的大きいのは飲み薬(内服)のほうで、脂漏性皮膚炎で使われるのは主に塗り薬(外用)です。塗り薬は、よほど大量に長期間使い続けるのでなければ、問題が起こることは少ないと考えられています。正しく使えば、ステロイド外用薬は改善を補助してくれる心強い味方になり得ます。
ただし体質によっては、頭皮の赤みなどの反応が出ることもあります。気になる症状があらわれた場合は、自己判断で続けず医師に相談しましょう。
正しい塗り方3つのポイント
「量・回数・塗り方」の3つを意識します。量は1回1FTU(人差し指の先〜第一関節)を目安に、回数は1日1〜2回、塗り方は擦らずやさしく置くように広げて摩擦による刺激を防ぎます。
ステロイド外用薬の効果をきちんと引き出すには、「量・回数・塗り方」の3つを意識することが大切です。まずは全体像を表で確認しましょう。
| ポイント | 目安 | ねらい |
|---|---|---|
| 量(FTU) | 1回につき1FTU(人差し指の先〜第一関節)を目安に | 少なすぎると効果が出にくい |
| 回数 | 1日1〜2回 | 医師の指示に沿って継続する |
| 塗り方 | 擦らず、やさしく置くように広げる | 摩擦による刺激・悪化を防ぐ |
FTUとは(量の目安)
FTUは「フィンガー・チップ・ユニット(Finger Tip Unit)」の略で、塗り薬の量をはかる目安です。チューブから大人の人差し指の先から第一関節までの長さに乗せた量が「1FTU」にあたります。脂漏性皮膚炎の塗り薬では、この1FTUを1回量の目安とするとよいとされています。「副作用が心配だから」と量を減らしすぎると、かえって効果が十分に出ず、症状が長引いてしまうこともあります。怖がって薄く塗るより、適量をしっかり届けることが大切です。
1日1〜2回を守る
塗る回数は1日1〜2回が目安です。多く塗れば早く治るというものではなく、逆に少なすぎても効果が出にくくなります。処方時に医師から指示された回数とタイミングを守り、自己判断で増やしたり減らしたりしないようにしましょう。塗るタイミングは、入浴後など肌が清潔な状態のときがおすすめです。
摩擦を起こさない
意外と見落とされがちなのが「塗り方」です。頭皮や肌に塗るとき、指でゴシゴシと擦り込むと、その摩擦自体が刺激となり症状を悪化させてしまうことがあります。薬を頭皮と指の間で擦りつけるのではなく、患部にやさしく置いて、軽く広げるイメージで塗りましょう。「擦らない」を意識するだけでも、肌への負担は大きく変わります。
やめ方に注意
自己判断で急に中止すると症状がぶり返す「リバウンド」を招くことがあるとされています(参考:日本皮膚科学会)。使用間隔を空ける、より弱い薬に切り替えるなど段階的に減らし、やめ方は必ず医師の指示に従いましょう。
症状が落ち着いてくると「もう治ったかな」と感じて、急に塗るのをやめたくなるかもしれません。しかし、ステロイド外用薬を自己判断で急に中止すると、症状がぶり返す「リバウンド」を招くことがあるとされています(参考:日本皮膚科学会)。
やめるときは、いきなりゼロにするのではなく段階的に減らしていくのが基本です。たとえば、毎日塗っていたものを2日に1回にするなど使用間隔を空けていく方法や、より弱いランクの薬に切り替えていく方法があります。どのように減らしていくかは症状によって異なるため、必ず医師の指示に従いましょう。自己判断での急な中止は避けるのが安心です。
効かないと感じたら
ステロイドには作用の強さに応じたランクがあり、今の症状に合っていない可能性もあります。自己判断で量や回数を増やさず、薬の種類や使い方の見直しを処方した医師に相談することが改善への近道です。
「しばらく塗っているのに、なかなか良くならない」と感じることもあるかもしれません。ステロイド外用薬には作用の強さに応じた強弱のランクがあり、症状の部位や程度に合わせて使い分けられています。今使っている薬の効果が感じられないからといって、自己判断で量や回数を増やすのは避けましょう。
効果が十分でないと感じるときは、薬の種類(ランク)や塗る回数が今の症状に合っていない可能性もあります。その場合は自分で判断せず、処方した医師に相談し、薬の見直しを検討してもらうことが、改善への近道です。
ステロイドは「怖い薬」ではなく、正しく使えば改善を助けてくれる道具です。怖がって量を減らしたり、良くなったからと急にやめたりするのが、かえって遠回りになります。量・回数・やめ方は医師の指示に沿って、上手につき合っていきましょう。
市販薬の選び方はこちら:脂漏性皮膚炎の市販薬はどれを選ぶ?成分別の選び方と受診目安
あわせて読みたい:ステロイドと脂漏性皮膚炎の関係性
あわせて読みたい:薬剤師が教えるステロイド剤の正しい使い方
よくある質問
Q. FTUって何ですか?
A. FTU(フィンガー・チップ・ユニット)は塗り薬の量の目安です。大人の人差し指の先から第一関節までの長さにチューブから乗せた量が「1FTU」で、これを1回量の目安にします。量が少なすぎると効果が出にくくなるため、適量を意識しましょう。
Q. 1日に何回塗ればいいですか?
A. 一般的には1日1〜2回が目安とされています。多く塗るほど早く良くなるわけではなく、回数やタイミングは医師の指示に従うのが基本です。入浴後など肌が清潔なときに塗るとよいでしょう。
Q. どのくらいの期間使い続けるものですか?
A. 症状の程度によって異なり、一律には決まっていません。塗り薬はよほど大量・長期に使い続けるのでなければ問題は少ないとされますが、使用期間や減らし方は医師の指示に従ってください。自己判断で長く使い続けたり途中でやめたりしないことが大切です。
Q. 良くなったら急にやめてもいいですか?
A. 急な中止は症状がぶり返す「リバウンド」を招くことがあるとされています(参考:日本皮膚科学会)。使用間隔を空ける、より弱い薬に切り替えるなど、段階的に減らすのが基本です。やめ方は必ず医師に相談しましょう。
Q. しばらく塗っても良くならないときはどうすれば?
A. ステロイドには強弱のランクがあり、今の症状に合っていない可能性もあります。自己判断で量や回数を増やさず、薬の種類や使い方の見直しを医師に相談してください。
Q. 顔にも塗っていいですか?
A. 顔は皮膚が薄くデリケートな部位のため、塗る場所や薬のランクは医師の指示に従う必要があります。処方された部位以外に自己判断で塗るのは避け、顔への使用については必ず医師・薬剤師に確認しましょう。
Q. 塗るときに擦り込んだほうがよく塗れますか?
A. ゴシゴシ擦り込むと摩擦そのものが刺激となり、症状を悪化させてしまうことがあります。指で擦りつけるのではなく、患部にやさしく置いて軽く広げるイメージで塗りましょう。「擦らない」を意識するだけでも肌への負担は大きく変わります。
Q. 副作用が心配で量を減らしてもいいですか?
A. 怖がって量を減らしすぎると、かえって効果が十分に出ず症状が長引いてしまうこともあります。1回1FTUを目安に適量を届けることが大切です。気になる症状が出た場合は自己判断で続けず、医師に相談してください。
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