この記事の監修者
安藤 かおり
あんどう歯科・美容皮フ科 美容皮膚科担当
名古屋大学医学部医学科卒業後、名古屋掖済会病院で初期研修を経て、大学附属病院や総合病院などで皮膚科専門医として経験を積む。 2023年4月、名古屋市昭和区に「あんどう歯科・美容皮フ科」を開院し、美容皮膚科を担当。 ヒアルロン酸やボトックス注射などの注入治療では、個々の骨格や希望に合わせたオーダーメイド施術と丁寧なカウンセリングが評判。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭皮や顔など皮脂の多い部位に、赤みとフケ状の鱗屑(りんせつ)を伴いやすい慢性の皮膚トラブルです。アトピー性皮膚炎・ニキビ・乾癬・接触皮膚炎と症状が似ているため、自己判断だけで正確に区別するのは難しいといわれています。この記事では、部位別の症状とセルフチェックリスト、似た病気との見分け早見表をわかりやすくまとめました。
この記事のチェックリストや早見表は、ご自身の状態を整理するための目安であり、診断ではありません。症状が気になる場合や長く続く場合は、自己判断せず皮膚科などの医療機関にご相談ください。本記事は医療機関での診断・治療に代わるものではありません。
脂漏性皮膚炎の主な症状
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多く集まる部位に起こりやすいのが特徴です。皮膚の常在菌であるマラセチア(真菌の一種)が皮脂を分解する過程や、体質・生活習慣・季節などが関わると考えられています。主な症状として、次のような状態が見られることがあります。
- 皮脂の多い部位の赤み(紅斑)
- 黄色っぽく脂っぽい、または乾いたフケ状の鱗屑
- 軽いかゆみ(強くないことも多い)
- 同じ場所で繰り返す・長引く傾向
- 季節の変わり目や、疲れ・ストレス時に悪化しやすい
かゆみが激しくない、左右対称に出やすい、皮脂の多い場所に集中する、といった点が一つの目安になります。詳しい背景は脂漏性皮膚炎とは、起こりやすい要因は脂漏性皮膚炎の原因・対策のページもあわせてご覧ください。
部位別の症状(頭皮・顔・体)
脂漏性皮膚炎は出る場所によって見え方が異なります。代表的な3つの部位ごとに整理します。
頭皮の症状
もっとも多く見られる部位の一つです。洗髪してもすぐにフケが出る、地肌がベタつく、生え際や頭頂部に赤みが出る、といった状態が起こりやすくなります。フケが大きめの塊状になったり、かさぶたのように付着したりすることもあります。頭皮の症状について詳しくは頭皮の脂漏性皮膚炎をご覧ください。
顔の症状
小鼻のわき、眉間や眉毛、額の生え際、ほうれい線まわりなど、皮脂が出やすい部分に赤みや細かい皮むけが見られることがあります。Tゾーンを中心に脂っぽさと粉ふきが同時に起こるのも特徴的です。顔の症状は顔の脂漏性皮膚炎で詳しく解説しています。
体(耳・胸・背中など)の症状
耳の後ろや耳の中、首、前胸部、背中の中央、わきなど、皮脂腺の多い部位に症状が出ることがあります。耳の後ろの切れ目のような赤みやジュクつき、胸元の赤い斑点などが見られる場合があります。汗をかきやすい季節に気になりやすい傾向です。
脂漏性皮膚炎セルフチェックリスト
下記のうち、ご自身に当てはまる項目を数えてみてください。あくまで状態を整理するための目安で、診断ではありません。
- 洗っても毎日のようにフケが出て、なかなか減らない
- 小鼻のわきや眉のまわりに赤みがある
- 頭皮や顔の皮膚が脂っぽくベタつく
- 耳の後ろや耳の中がかゆい、または赤い
- 季節の変わり目に症状が出たり消えたりする
- 疲れ・ストレス・睡眠不足のときに悪化しやすい
- 生え際や髪の境目に赤みがある
- 毎回同じ場所に症状が繰り返し出る
- 脂っこい食事やお酒のあとに気になりやすい
- 市販品でケアしても、なかなかすっきりしない
Web上で項目に答えて確認できるセルフチェックもご用意しています。
似た病気との見分け早見表
脂漏性皮膚炎は、アトピー性皮膚炎・ニキビ・乾癬・接触皮膚炎と似た見た目になることがあります。下の早見表は一般的な傾向の比較であり、最終的な判断は医療機関での診察が必要です。
| 病気 | 出やすい部位 | 見た目の特徴 | かゆみ・他の特徴 |
|---|---|---|---|
| 脂漏性皮膚炎 | 頭皮・小鼻・眉間・耳・胸など皮脂の多い部位 | 赤み+脂っぽい/乾いたフケ状の鱗屑 | かゆみは弱め〜中程度。繰り返しやすい |
| アトピー性皮膚炎 | ひじ・ひざの内側、首など乾燥しやすい部位 | 乾燥・ゴワつき・かき壊し跡 | 強いかゆみ。アレルギー体質が背景にあることが多い |
| ニキビ | 顔・胸・背中など皮脂の多い部位 | 毛穴ごとのポツポツ(面ぽう・赤い丘疹・膿) | 個別の盛り上がりが中心。広い赤みは出にくい |
| 乾癬(かんせん) | 頭皮・ひじ・ひざ・腰など | 厚く白っぽい鱗屑。境界がはっきりした赤い斑 | 鱗屑が厚く重なる。爪の変化を伴うことがある |
| 接触皮膚炎(かぶれ) | 化粧品・金属・薬剤などが触れた部位 | 触れた範囲に一致した赤み・ブツブツ・水ぶくれ | かゆみが強いことが多い。原因を避けると落ち着きやすい |
アトピー性皮膚炎との違い
大きな違いは「出やすい場所」です。脂漏性皮膚炎が皮脂の多い部位に出るのに対し、アトピー性皮膚炎はひじ・ひざの内側など乾燥しやすい部位に出やすく、強いかゆみを伴う傾向があります。お子さんのケースや見分けの考え方は脂漏性湿疹との違いもご参照ください。
ニキビとの違い
ニキビは毛穴単位の「ポツポツ」が中心で、脂漏性皮膚炎のような面状の赤みやフケ状の鱗屑は出にくいのが特徴です。両方が混在することもあるため、見分けが難しいときは皮膚科にご相談ください。
乾癬との違い
乾癬は鱗屑が厚く白く重なり、赤い斑の境界がはっきりしている傾向があります。脂漏性皮膚炎の鱗屑は比較的薄く、境界もやわらかいことが多いです。
接触皮膚炎(かぶれ)との違い
接触皮膚炎は、化粧品や金属など「触れたもの」に一致した範囲に症状が出るのが特徴で、原因を避けると落ち着きやすい傾向があります。見分けの詳細は接触皮膚炎との違いで解説しています。
受診を検討すべきサイン
次のような場合は、自己判断を続けず皮膚科の受診を検討してください。
- セルフチェックで5つ以上当てはまる
- 症状が数週間以上続く、または何度も繰り返す
- 赤みやフケが広がってきた
- かゆみ・痛み・ジュクつきが強く、日常生活がつらい
- 市販のケアを続けても、すっきりしない・悪化する
- 顔や頭皮以外にも症状が広がっている
- 似た病気(アトピー・乾癬など)との区別がつかない
気になる症状がある方は、まずは医療機関へご相談ください。サイトに関するお問い合わせはお問い合わせから、日々のセルフケアの考え方は脂漏性皮膚炎との向き合い方もあわせてご覧ください。
皮膚科での検査と受診の目安
皮膚科では、見た目(視診)と症状の経過の問診を中心に状態を確認します。似た病気と区別する必要がある場合には、フケ・鱗屑を採取してマラセチアなどを調べる顕微鏡検査(KOH検査)や、まれに皮膚の一部を採る検査が行われることもあります。検査の有無や内容は医師が状態に応じて判断します。
よくある質問
Q. 脂漏性皮膚炎とアトピーは同時に起こりますか?
A. 体質や肌の状態によっては、複数の皮膚トラブルが重なって見えることがあります。自己判断が難しいため、気になる場合は皮膚科で確認してもらうのが安心です。
Q. セルフチェックで5つ当てはまったら脂漏性皮膚炎ですか?
A. チェックリストは状態を整理する目安であり、診断ではありません。当てはまる項目が多い場合は、皮膚科の受診を検討する一つの目安としてご活用ください。
Q. 脂漏性皮膚炎とニキビはどう見分ければよいですか?
A. ニキビは毛穴ごとのポツポツが中心、脂漏性皮膚炎は面状の赤みとフケ状の鱗屑が特徴です。ただし両方が混在することもあり、見た目だけで区別が難しいケースもあります。
Q. かゆみがなくても脂漏性皮膚炎のことはありますか?
A. かゆみが弱い、またはほとんどないこともあります。赤みやフケ状の鱗屑が皮脂の多い部位に続く場合は、医療機関で相談してみてください。
Q. 市販のケアでよくならないときはどうすればよいですか?
A. ケアを続けてもすっきりしない、繰り返す、悪化するといった場合は、自己判断を続けず皮膚科の受診をおすすめします。
Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 皮膚の症状全般は皮膚科が専門です。頭皮・顔・体のいずれの症状も、まずは皮膚科にご相談ください。
Q. 受診の前に準備しておくとよいことはありますか?
A. 症状が出始めた時期、悪化しやすい状況、使っているケア用品、これまでの経過などをメモしておくと、診察がスムーズになります。