ステロイドと脂漏性皮膚炎の関係性

この記事の監修者

伊藤 李奈

伊藤 李奈

今泉スキンクリニック・大手町皮膚科 / 皮膚科専門医

2017年に東京女子医科大学医学部を卒業。東京警察病院皮膚科、東京女子医科大学東医療センター皮膚科を経て、現在は今泉スキンクリニック、大手町皮膚科に勤務。日本専門医機構認定 皮膚科専門医。アラガン・ジャパン株式会社認定 ボトックスビスタ®認定医・ジュビダームビスタ®認定医。

成分2025.10.22 公開 / 2026.07.08 更新

この記事の結論

  • ステロイド外用薬は赤み・かゆみ・湿疹といった炎症症状を短期間で和らげる役割が期待される薬とされています。
  • ただし炎症を抑えても、マラセチア菌の増殖や皮脂の過剰分泌といった根本原因に働きかけるものではなく、それ単独で治すものではないとされています。
  • 自己判断で急に中止するとリバウンドのおそれがあり、強さ・部位・期間は医師と計画的に。症状が重い・長引く場合は皮膚科で相談してください。

こんな人に

  • ステロイドと脂漏性皮膚炎の関係を正しく知りたい方
  • ステロイドを使っても繰り返してしまうと感じている方
  • ステロイドから卒業したい・根本原因のケアも知りたい方
  • シャンプーや生活習慣でおすすめ・避けたい成分を知りたい方

そもそもステロイドとは

この章の要点

ステロイドは炎症を引き起こす物質の生成を抑え、赤み・かゆみ・腫れといった症状を短期間で和らげるとされる外用薬で、強さにランクがあり、症状が強い場合は医師の判断で適切な強さが処方されます。

ステロイドは、脂漏性皮膚炎のような皮膚疾患に伴う炎症やかゆみ、赤み、湿疹といった症状に対して使用される外用薬の一つです。

ステロイドには、炎症を強力に抑える効果が期待でき、炎症を引き起こす物質の生成を抑制することで、赤みやかゆみ、腫れといった症状を短期間で和らげることができるとされています。市販薬としても、かゆみに対する効果が認められており、医師による処方薬としても使われています。症状が強い場合には、医師の判断のもと、適切な強さのステロイド薬が処方されることがあります。 ステロイドの強さについては以下を参照ください。

ステロイドの強さ

ステロイドの強さのランク表

ステロイドだと脂漏性皮膚炎は完治しない?

この章の要点

ステロイドは炎症という症状を抑えますが、マラセチア菌の増殖や皮脂の過剰分泌といった根本原因を治すものではありません。自己判断で急に中止するとリバウンドのおそれがあり、根本原因の治療と並行することが大切とされています。

ステロイドは、炎症という症状を抑える役割を果たしますが、炎症を引き起こしている根本的な原因、例えば脂漏性皮膚炎の主な原因とされるマラセチア菌の過剰な増殖や皮脂の過剰分泌などを治してくれるわけではありません。

また、ステロイドをある程度の期間使用し続けた後に自己判断で急に使用を中止すると、薬によって抑えられていた炎症が強くぶり返してしまう(リバウンド)可能性があり、より症状が悪化するおそれもあります。

ステロイドから「卒業」するためには、ステロイドを使用しつつ、並行して根本原因の治療を行うことが大切だとされています。

ステロイドを使用する目安

この章の要点

『かゆくて夜寝付けない』『炎症部位から血が滲んでいる』『赤みが強い』など私生活に支障が出ている場合は、医師と相談のうえ使用を検討し、自己判断でやめず治療スケジュールを立てて計画的に使うことが推奨されています。

ステロイド使用の目安

「かゆくて夜寝付けない」「炎症部位から血が滲んでいる」「湿疹の赤みが強い」など私生活に支障が出ている場合は、医師と相談のうえ、使用してみてください。

また、使用は自己判断でやめずに、医師と治療スケジュールを立てて計画的に利用することを推奨します。

根本的な治療を行うには?

この章の要点

ステロイドで症状を抑えつつ、適度な運動・食生活の改善・睡眠の質向上・医療機関の活用など複合的な原因にアプローチします。まず見直したいのはスキンケア商品で、成分によってケアが台無しになることもあるとされています。

ステロイドで症状を抑えつつ、脂漏性皮膚炎の原因に対してのアプローチも必要になります。
脂漏性皮膚炎は複合的に原因が存在する皮膚炎であるため、以下で紹介するアプローチを試してみましょう。

適度な運動

運動のイメージ

週3回程度の軽い有酸素運動がおすすめ。ウォーキングから始め、徐々に強度を上げていきます。注意点としては、運動後は必ずすぐにシャワーで汗を流し、清潔な皮膚環境を保つことが大切です。

食生活の改善

バランスの良い食事

食生活を見直しましょう。油や加工食品、ファーストフードの取りすぎに注意しましょう。野菜を取り入れ、バランスの良い食事がおすすめです。

睡眠の質向上

良質な睡眠

規則正しい睡眠リズムを心がけ、寝室環境を整えます。寝る前のスマホは控え、短時間の昼寝も効果的。良質な睡眠は免疫力を高め、ストレス軽減にもつながります。

医療機関を頼る

皮膚科での診察

医療機関で処方される抗真菌薬やステロイド外用薬を使用し、原因菌の増殖抑制と炎症の鎮静を図ります。症状や部位に応じて医師が適切な薬剤を選択。長期使用の場合は副作用に注意が必要です。

専門家のアドバイス

日常生活の見直しも重要ですが、一番初めに試してみてほしいのはスキンケア商品の見直しです。どれだけ他の要因をケアしても、スキンケア商品の成分で台無しになっていることもあるので、どのような成分が良いかを次項で解説していきますね。

おすすめの成分と避けてほしい成分

この章の要点

おすすめはミコナゾール硝酸塩・サリチル酸・グリチルリチン酸など。避けたいのはパラベン・揮発性アルコール・油分で、敏感な頭皮への刺激や乾燥、マラセチア菌の増殖につながる可能性があるとされています。

ミコナゾール硝酸塩

ミコナゾール硝酸塩のイメージ

ミコナゾール硝酸塩は抗真菌薬で、脂漏性皮膚炎の原因菌であるマラセチア菌の増殖を抑制します。医薬部外品シャンプーに配合される場合、有効成分として菌の細胞膜を破壊し、症状の改善に寄与します。

サリチル酸

サリチル酸のイメージ

サリチル酸は、角質軟化作用とピーリング効果により脂漏性皮膚炎の症状改善に寄与します。過剰な皮脂・角質やフケを除去することで、マラセチア菌の増殖を抑制し、余分な油分も洗い流せるため炎症を軽減する効果が期待できます。

グリチルリチン酸

グリチルリチン酸のイメージ

グリチルリチン酸は、抗炎症作用を持つ成分です。脂漏性皮膚炎の症状である赤みやかゆみを抑制し、無意識で頭皮を掻くなどの刺激を減らす効果が期待できます。

パラベン

パラベンのイメージ

パラベンは防腐剤として使用されますが、脂漏性皮膚炎では皮膚バリア機能が低下しているため刺激となる可能性があります。アレルギー反応や皮膚常在菌バランスへの影響も懸念されるため、症状悪化時はパラベンフリー製品の使用をお勧めします。

アルコール類

アルコールのイメージ

アルコールは、頭皮の水分蒸発を促進して乾燥を悪化させます。特にエタノールやイソプロパノールなどの揮発性アルコールは、皮膚の脂質を溶解し、炎症やかゆみを増強させる可能性があるため、症状のある方は低アルコールまたはアルコールフリーの製品を選択することが望ましいです。

油分

油分のイメージ

脂漏性皮膚炎は皮脂が多く出ている状態なので、シャンプーに含まれる油分は原因菌であるマラセチア菌の更なる増殖を促進し、炎症を悪化させる可能性があります。そのため、低刺激でオイルフリーなシャンプー選択が重要です。

まとめ

この章の要点

ステロイドはつらい症状を和らげるツールですが単独で治すものではなく、症状緩和と並行して菌の増殖を抑えるケアや生活習慣の見直しなど根本原因へのアプローチが必要で、重い・長引く場合は皮膚科専門医に相談します。

脂漏性皮膚炎は、体質が大きく関わっているため完治までに時間がかかることがありますが、適切な対処をすることで大幅に症状を抑えられる可能性があります。

対処法としては、ステロイド系の塗り薬や薬用シャンプーといった症状を抑える方法(対症療法)と、生活習慣の改善(食事内容、睡眠時間、ストレス管理など)といった根本原因に働きかける方法(根本治療)の二軸で継続的に行うことが重要です。特に生活習慣の改善は、皮脂の分泌量を減らすことにつながり、マラセチア菌の栄養源を断つという意味で重要です。

したがって、ステロイドは脂漏性皮膚炎のつらい症状を和らげる強力なツールですが、それ単独で病気を完治させるものではありません。脂漏性皮膚炎の改善や再発防止のためには、ステロイドによる症状緩和と並行して、マラセチア菌の増殖を抑えるケアや皮脂分泌をコントロールするための生活習慣の見直しなど、根本原因にアプローチする対策が必要になります。症状が重い場合や長期間改善しない場合は、必ず皮膚科専門医の診察を受け、適切な治療法について相談することを推奨いたします。

市販薬の選び方はこちら:脂漏性皮膚炎の市販薬はどれを選ぶ?成分別の選び方と受診目安

あわせて読みたい:ステロイドの正しい塗り方|FTUと“擦らない”が改善のカギ

よくある質問

Q. ステロイドで脂漏性皮膚炎は治りますか?

A. ステロイド外用薬は炎症という症状を短期間で和らげる役割が期待されますが、マラセチア菌の増殖や皮脂の過剰分泌といった根本原因に働きかけるものではなく、それ単独で治すものではないとされています。根本原因のケアと並行することが大切です。

Q. ステロイドを自己判断でやめても大丈夫ですか?

A. ある程度使用した後に自己判断で急に中止すると、抑えられていた炎症が強くぶり返す(リバウンド)可能性があり、症状が悪化するおそれがあるとされています。使用の中止や調整は自己判断せず、医師と相談しながら進めましょう。

Q. ステロイドはどんなときに使う目安ですか?

A. 『かゆくて夜寝付けない』『炎症部位から血が滲んでいる』『湿疹の赤みが強い』など私生活に支障が出ている場合に、医師と相談のうえ使用が検討されます。強さ・部位・期間は医師と治療スケジュールを立てて計画的に使うことが推奨されています。

Q. ステロイドから卒業するにはどうすればよいですか?

A. ステロイドで症状を抑えつつ、並行してマラセチア菌の増殖を抑えるケアや皮脂分泌をコントロールする生活習慣の見直しなど、根本原因の治療を行うことが大切だとされています。進め方は医師と相談しながら計画的に行いましょう。

Q. ステロイドと一緒に何をすればよいですか?

A. 適度な運動、油や加工食品の取りすぎに注意したバランスの良い食事、規則正しい睡眠、医療機関での抗真菌薬・ステロイド外用薬の活用などが紹介されています。まず見直したいのはスキンケア商品で、成分の見直しが土台になるとされています。

Q. シャンプーで避けた方がよい成分はありますか?

A. パラベン、エタノールなど揮発性のアルコール類、油分は、バリア機能が低下した頭皮で刺激や乾燥、マラセチア菌の増殖につながる可能性があるとされ、症状がある場合はパラベンフリー・低アルコール・オイルフリーの製品が望ましいとされています。

Q. 頭皮ケアにおすすめの成分は何ですか?

A. マラセチア菌の増殖を抑えるミコナゾール硝酸塩、角質軟化やピーリングで余分な皮脂・角質を除くサリチル酸、赤みやかゆみを抑える抗炎症作用のグリチルリチン酸などが紹介されています。合うかどうかは個人差があります。

Q. 症状が重いときはどうすればよいですか?

A. 症状が重い場合や長期間改善しない場合は、必ず皮膚科専門医の診察を受け、適切な治療法について相談することが推奨されています。ステロイドによる症状緩和と根本原因へのアプローチを二軸で継続することが大切とされています。

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