この記事の監修者
高橋 渉
CLINIC W 院長 / 美容皮膚科・美容外科
日本美容外科学会、日本美容皮膚科学会に所属。新潟大学卒、医学博士(東京大学)。大手美容クリニック勤務時代に、高崎院院長、都内大規模院院長、技術指導医をつとめた。2024年、群馬県高崎にCLINIC Wを開業。美容外科・美容皮膚科どちらも国内最高水準で受けられるクリニックの院長であり、美容医療に関わる記事の監修も多数行う。
まず知りたい3ポイント
市販薬は症状の一時的な緩和が目的
脂漏性皮膚炎は慢性・再発性の疾患で、市販薬は症状を一時的に和らげる目的で使われることがあるとされています。
基本
成分は大きく3系統で考える
市販薬は「抗真菌成分」「ステロイド」「かゆみ対策成分」に整理でき、症状に合わせて選ぶことが一つの目安になります。
選び方
1〜2週間で改善しなければ受診を
市販薬を1〜2週間使っても改善しない・悪化する・広がる場合は、自己判断を続けず皮膚科で相談してください。
受診目安
1分でわかる要約
- 脂漏性皮膚炎の市販薬は症状や部位によって考え方が変わり、まずは症状別の早見表で目安を確認するとよいとされています。
- 市販薬は「抗真菌成分」「ステロイド」「かゆみ対策成分」の3系統に分けて考えられ、顔や長期使用は特に慎重な判断が必要です。
- 市販薬は一時的な緩和が目的で、1〜2週間使っても改善しない・繰り返す場合は皮膚科での相談がすすめられています。
「市販薬で何とかしたい」と思ったとき、何を選べばいいのか
脂漏性皮膚炎に使える市販薬は成分によって働きが異なり、正しく選べば症状の緩和が期待できる一方、使い方を誤ると長引くこともあるとされています。
フケやかゆみ、顔のテカリや赤みが気になっている方の中には、まず市販薬で対処できないかと考える方も多いのではないでしょうか。
脂漏性皮膚炎に使える市販薬は複数の種類があり、成分によって働きが異なります。正しい成分を選ぶことで症状の緩和が期待できる一方、使い方を誤ると症状が長引いたり悪化したりするリスクもあります。
このページでは、脂漏性皮膚炎の市販薬を成分別・部位別に整理し、使用上の注意や受診が必要なサインについてわかりやすく解説します。脂漏性皮膚炎の原因や症状の全体像を知りたい方は、脂漏性皮膚炎とはの記事もあわせて参考にしてください。
本記事は、脂漏性皮膚炎で市販薬を検討する際の一般的な情報をまとめたものです。症状の診断や治療方針の決定は、皮膚科医などの専門家に相談してください。
脂漏性皮膚炎の市販薬選び|まず見るべき早見表
フケ・脂っぽさ、赤み・炎症、かゆみ、顔の症状など、症状や部位ごとに確認すべき成分や注意点が変わるため、まず症状別の目安を整理します。
脂漏性皮膚炎の市販薬は、症状や部位によって考え方が異なります。フケや脂っぽさが気になる場合、赤みや炎症が強い場合、かゆみがつらい場合では、確認すべき成分や注意点が変わります。まずは、症状別に市販薬を考えるときの目安を整理します。
| 症状・悩み | 選択肢の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| フケ・脂っぽさが気になる | 抗真菌成分配合のシャンプーや外用薬を確認 | 処方薬とは成分や濃度が異なる場合があります |
| 赤み・炎症がある | ステロイド配合外用薬が使われることがあります | 顔や長期使用は特に慎重に判断しましょう |
| かゆみが強い | 抗ヒスタミン成分やかゆみ止め成分を確認 | 原因への対処ではなく、一時的な緩和目的の場合があります |
| 顔に症状がある | 自己判断で強い薬を使い続けない | 目の周りや口周りは特に皮膚科での相談が安全です |
| 1〜2週間使っても改善しない | 市販薬の継続ではなく受診を検討 | 乾癬・接触性皮膚炎・アトピーなど別の疾患の可能性もあります |
※ 市販薬は症状を一時的に抑える目的で使われることがあります。症状が強い場合、広がっている場合、繰り返す場合は皮膚科で相談してください。
脂漏性皮膚炎に使える市販薬の種類
市販薬は「抗真菌成分」「ステロイド」「抗ヒスタミン成分(かゆみ対策)」の3系統に大きく分けられ、それぞれ働きが異なります。
市販薬には大きく分けて3つの系統があります。それぞれ働きが異なるため、症状の特徴に合わせて選ぶことが大切です。
脂漏性皮膚炎に使われる市販薬は、目的によって大きく「抗真菌成分」「ステロイド」「かゆみ対策成分」に分けて考えることができます。

抗真菌成分・フケ対策成分を含む薬用シャンプー/外用薬
脂漏性皮膚炎の発症・悪化には、皮膚に常在するマラセチアという真菌(カビの一種)が関与していると考えられています。抗真菌成分はこの真菌の増殖を抑える働きが期待できるため、脂漏性皮膚炎に対してアプローチしやすい系統の市販薬といえます。
市販薬で入手できる主な抗真菌成分には以下のものがあります。
- ミコナゾール硝酸塩:アゾール系の抗真菌成分。頭皮用シャンプーや外用クリームなどに配合されています。製品ごとに効能・使用部位が異なるため、脂漏性皮膚炎への使用は薬剤師・医師に確認してください。
- ピロクトンオラミン:抗真菌作用が報告されており、フケ用のシャンプーに多く使われる成分です。
- ジンクピリチオン:頭皮のフケ・かゆみを和らげる成分として使用されており、一部のシャンプーに配合されています。
なお、医療機関で処方されるケトコナゾール外用薬(2%濃度)は、日本では市販されていません。ドラッグストアで手に入る抗真菌成分は処方薬と異なる点に注意が必要です。
ステロイド配合の外用薬(かゆみ・炎症への対処)
赤みやかゆみが強い時期の炎症を一時的に抑えることを目的とした選択肢です。ステロイドには炎症を抑制する作用があり、症状の緩和が期待できます。
市販のステロイド外用薬には、強さ(ランク)があります。弱い順に「ウィーク」「マイルド」「ストロング」「ベリーストロング」「ストロンゲスト」と分類され、市販品は主に「ウィーク」〜「ストロング」ランクのものが流通しています。
ランクが高いほど抗炎症作用は強くなりますが、副作用リスクも上がるため、部位・症状・年齢に応じた選択が必要です。
抗ヒスタミン成分配合の外用薬(かゆみへの対処)
かゆみを局所的に和らげることを目的とした系統です。ジフェンヒドラミン塩酸塩などの成分が代表的で、かゆみのシグナルを抑える作用が期待できます。脂漏性皮膚炎の根本的な原因にアプローチするものではありませんが、かゆみが強い時期の補助的な対処として使用される場合があります。
市販薬は症状を一時的に和らげる目的で使われることがありますが、原因や症状によっては適さない場合があります。特に顔の症状、強い炎症、長引く症状がある場合は、自己判断で使い続けず皮膚科で相談しましょう。
成分別の選び方のポイント
フケには抗真菌作用が期待できる成分、赤み・炎症にはステロイド、かゆみには抗ヒスタミン成分などが目安ですが、自己判断での成分選択には限界があります。
「どの成分を選べばいいのか」と迷ったとき、症状のタイプに合わせて考えることが一つの目安になります。ただし、自己判断での成分選択には限界があります。
- フケが主な症状の場合:ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、ミコナゾールなどの抗真菌作用が期待できる成分を含む頭皮用シャンプーが選択肢になります。
- 赤みや炎症が強い場合:ステロイド配合の外用薬が炎症を一時的に抑える選択肢になりますが、使用期間と部位に注意が必要です。
- かゆみが気になる場合:抗ヒスタミン成分または低ランクのステロイド配合外用薬が緩和を目的とした選択肢になります。
これらはあくまで一般的な目安です。脂漏性皮膚炎は個人によって症状の程度や悪化要因が異なり、自己判断での成分選択が症状悪化につながるケースもあります。自分の症状が脂漏性皮膚炎に近いか確認したい方は、脂漏性皮膚炎のセルフチェックも参考にしてください。ただし、診断は皮膚科で受ける必要があります。
部位別の市販薬の使い分け
頭皮・顔・体幹で使える形態や注意点が異なり、特に顔は皮膚が薄く皮脂腺が集中するため、ステロイド使用は慎重な対応が必要です。
脂漏性皮膚炎は部位によって症状の特徴が異なります。使用できる市販薬の形態や注意点も部位によって変わるため、それぞれ確認しておきましょう。
頭皮(スカルプ)への対処
フケ・かゆみ・脂っぽさが主な症状です。液体タイプや泡タイプのシャンプー・ローションが使いやすい形態です。抗真菌成分(ミコナゾール、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン)を含む頭皮用シャンプーは薬局・ドラッグストアで入手できます。
ただし、シャンプー配合の成分は流すまでの接触時間が短く、外用薬と異なる点に注意が必要です。頭皮のシャンプーは「数分間置いてから流す」使い方が推奨されている製品もあります。製品の使用方法を必ず確認してください。頭皮のフケやベタつきが気になる場合は、薬だけでなく頭皮のフケ・かゆみとシャンプー選びもあわせて見直してみてください。
顔(額・鼻周囲・眉間など)への対処
顔は皮膚が薄く、皮脂腺が集中している部位です。市販のステロイド配合外用薬を顔に使用する場合は、以下の点に特に注意が必要です。
- 長期・大量使用は皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)リスクがあるとされています。
- 眼周囲への使用は避けてください。緑内障・白内障のリスクが報告されています。
- 使用期間の目安(1〜2週間)を守り、改善が見られない場合は皮膚科を受診してください。
顔への使用に不安がある場合は、まず薬剤師や皮膚科医に相談することをおすすめします。
体幹(胸・背中など)への対処
体幹は顔より外用ステロイドの副作用リスクは低い傾向がありますが、広範囲・長期使用は避け、胸背部では脂漏性皮膚炎以外の疾患との鑑別も必要です。
市販薬を使うときの注意点
ステロイド外用薬の長期使用には皮膚萎縮などのリスクが報告されており、添付文書の確認や用法・用量を守ることが基本的な対応とされています。
市販薬を使用する際に知っておきたい注意点を整理します。用法・用量を守ることが副作用リスクを下げる最も基本的な対応です。
ステロイド外用薬の長期使用リスク
市販のステロイド配合外用薬は、短期間の炎症・かゆみの緩和を目的として設計されています。長期的に使用し続けると、以下のような影響が報告されています。
- 皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)
- 血管が浮き出やすくなる(毛細血管拡張)
- ニキビ・毛嚢炎に似た皮疹が出現する場合がある
- 長期・頻回に使用した場合、急な中止後に赤みや灼熱感などの悪化がみられることがある
ステロイド外用薬は炎症を抑える目的で使われることがありますが、自己判断で長期間使い続けることは避けましょう。

これらは特に顔への長期・大量使用で起きやすいとされています。症状が繰り返す場合は、市販薬での対処を続けるよりも皮膚科で根本的な治療方針を相談することが安心です。
ステロイド外用薬は、使用部位・強さ・使用期間によって注意点が異なります。顔や目の周りに使う場合、また長期間使用する場合は、医師や薬剤師に相談してください。
使用前の確認事項
市販薬を使用する前に、以下の点を確認することをおすすめします。
- 添付文書(説明書)の「使ってはいけない人」「相談すること」の項目を必ず読む
- 過去にステロイドや成分に対してアレルギー反応があった場合は使用しない
- 妊娠中・授乳中の方は、使用前に医師または薬剤師に相談する
- 小児への使用は、年齢制限がある製品もあるため添付文書を確認する
市販薬で対処できる範囲と限界
市販薬は軽度〜中等度の一時的な緩和が主目的で、改善しない・再発する・広範囲・自己判断できない場合は対処に限界があるとされています。
市販薬は、軽度〜中等度の一時的な症状を緩和することを主な目的としています。しかし、脂漏性皮膚炎は再発しやすく、完治というより症状をコントロールしていく疾患です。市販の薬用シャンプーなどで管理できる軽症例もありますが、改善しない・繰り返す・広がる場合は皮膚科で治療方針を確認しましょう。
市販薬が比較的使いやすいのは、次のようなケースです。
- 症状が軽度で、短期間(1〜2週間程度)改善を試みたい場合
- 皮膚科受診を待っている間の一時的な対処
- 過去に皮膚科で診断を受けており、軽い再発時に対処する場合
一方で、以下のような状況では市販薬での対処に限界があります。
- 1〜2週間使用しても症状の改善が見られない場合
- 使用を中止すると症状がすぐ再発する場合
- 症状が広範囲に及んでいる場合
- 脂漏性皮膚炎かどうか自己判断ができていない場合
特に「脂漏性皮膚炎かどうかわからない状態で市販薬を使い続ける」ことは、他の疾患の発見を遅らせるリスクにもつながります。まず正確な診断を受けることが、適切な対処への近道です。市販薬を使っても症状を繰り返す場合は、脂漏性皮膚炎が治らない原因もあわせて確認してみてください。
市販薬で様子を見る場合でも、症状が長引く・広がる・強くなる場合は、自己判断を続けず皮膚科で相談することが大切です。

皮膚科受診が必要なサイン
1〜2週間で改善しない、複数部位に広がる、痛みや滲出液がある、急に悪化したなどの場合は、市販薬を一時停止し皮膚科受診がすすめられます。
次のような症状やサインがある場合は、市販薬での対処を一時停止し、皮膚科を受診することをおすすめします。
- 市販薬を1〜2週間使用しても症状が改善しない、または悪化している
- 症状が顔・頭皮・体と複数の部位に広がっている
- 痛みを伴う、皮膚に亀裂が入っている、滲出液(浸出液)が出ている
- これまで市販薬で対処できていたが、急に症状が悪化した
- 幼児・小児・高齢者・妊娠中の方
- 市販薬の成分でかゆみや発疹が増えた(接触アレルギーの疑い)
脂漏性皮膚炎は繰り返しやすい疾患であり、症状が落ち着いているように見えても皮膚の状態は継続的な管理が必要なことがあります。症状が軽く、市販の薬用シャンプーなどで安定している場合もありますが、改善しない・悪化する・再発を繰り返す・診断に迷う場合は皮膚科で相談しましょう。
タクロリムス軟膏など、部位や経過によってはステロイド以外の外用薬が検討されることもあります。ただし脂漏性皮膚炎では適応外使用となる場合があるため、医師の判断が必要です。症状の程度や部位に応じた治療方針を専門家に相談することが、長期的な症状管理につながります。
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脂漏性皮膚炎の考え方とセルフケアをより深く知りたい方は、薬剤師・久保木彰一 著『脂漏性皮膚炎の治し方』もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 脂漏性皮膚炎に市販薬は効きますか?
A. 軽度の症状であれば、抗真菌成分(ミコナゾール、ピロクトンオラミンなど)を含む市販薬で症状が落ち着く場合があります。ただし、脂漏性皮膚炎は再発しやすい疾患であり、市販薬は症状の一時的な緩和を目的とするものです。症状が続く場合や悪化する場合は皮膚科への受診をおすすめします。
Q. 脂漏性皮膚炎にステロイドを使ってもよいですか?
A. 赤みや炎症が強い場合に、ステロイド外用薬が使われることがあります。ただし、顔や目の周りへの使用、長期使用には注意が必要です。自己判断で使い続けず、必要に応じて医師や薬剤師に相談しましょう。
Q. 顔の脂漏性皮膚炎に市販薬を使っていいですか?
A. 顔への市販薬使用は慎重な対応が必要です。ステロイド配合の市販薬は顔への長期使用で皮膚が薄くなるリスクがあります。また、眼周囲への使用は原則避けてください。症状が顔に出ている場合は、早めに皮膚科を受診することが安心です。
Q. 市販薬を何日使っても改善しなければ皮膚科に行くべきですか?
A. 目安として、1〜2週間使用しても改善しない場合や、症状が悪化・拡大する場合は皮膚科で相談しましょう。痛み、ひび割れ、ジュクジュクした症状がある場合も受診を検討してください。
Q. 脂漏性皮膚炎の薬は市販で手に入りますか?
A. 抗真菌成分(ミコナゾールなど)配合の外用薬や、ステロイド配合のかゆみ止めなどはドラッグストアで購入できます。ただし、医療機関で処方されるケトコナゾール外用薬などは市販されていないため、より専門的な治療が必要な場合は受診が必要です。
Q. 脂漏性皮膚炎と似ている病気はありますか?
A. 乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎など、脂漏性皮膚炎と似た症状が出る皮膚疾患があります。見た目だけで判断するのは難しいため、症状が続く場合は皮膚科で確認しましょう。
Q. 市販薬で症状が良くなったのに再発します。どうすればいいですか?
A. 脂漏性皮膚炎は慢性・再発性の疾患です。市販薬で一時的に症状が落ち着いても、根本的な皮脂バランスや菌の状態は継続的なケアが必要です。繰り返す場合は皮膚科を受診し、長期管理の方針を相談することをおすすめします。
Q. 市販のフケ用シャンプーと処方薬の抗真菌成分は同じですか?
A. ドラッグストアで手に入る抗真菌成分は、医療機関で処方されるケトコナゾール外用薬(2%濃度)とは成分や濃度が異なる場合があります。シャンプーは流すまでの接触時間が短い点も外用薬とは異なります。症状が強い場合は皮膚科で相談してください。
Q. 市販のステロイドを長く使い続けても大丈夫ですか?
A. 市販のステロイド外用薬は短期間の炎症・かゆみの緩和を目的に設計されています。長期使用では皮膚が薄くなる・血管が浮き出やすくなるなどの影響が報告されており、自己判断で使い続けることは避けたいとされています。繰り返す場合は皮膚科で方針を相談しましょう。
Q. 妊娠中や子どもにも市販薬を使えますか?
A. 妊娠中・授乳中の方は使用前に医師または薬剤師への相談がすすめられています。小児への使用は年齢制限がある製品もあるため、必ず添付文書を確認してください。判断に迷う場合は自己判断せず専門家に相談すると安心です。
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