この記事の監修者
久保木彰一
ワイズ製薬株式会社 薬剤師
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。
私、久保木も小児よりアトピー性皮膚炎で悩んでいた一人です。小児の頃にステロイドを多用していた事もあり、足、腕の皮膚は薄く、皮膚が萎縮しております。今ではかゆみを伴う事が稀にありますが、普段の生活を問題なく過ごしています。しかし、夜も眠れないくらいかゆい、赤みなどの外的要因で外出時ストレスを持ち、苦しんでいる方も多いかと思います。アトピー性皮膚炎は生まれつきもっている子供はいなく、生後6ヶ月頃までのスキンケアが大切だとの報告があります。私も生後2ヶ月と4歳の二人の娘をもつ父親です。小児のスキンケアについて考えてみましょう。
この記事の結論
- 乳児湿疹は乳児性ニキビ・乳児脂漏性皮膚炎・あせもなどに分けられ、多くは生後数か月で自然におさまるとされています。
- 乳児脂漏性皮膚炎が6か月を過ぎても続く場合、アトピー性皮膚炎に移行する可能性があるとされ、皮脂への適切なケアが大切と考えられています。
- やさしい洗浄と水溶性保湿剤による保湿、爪のケア、柔軟剤への注意など、日々のスキンケアの工夫が紹介されています。
こんな人に
- 赤ちゃんの湿疹や乳児脂漏性皮膚炎が気になっている保護者の方
- 乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の関係について知りたい方
- 赤ちゃんのスキンケアや洗い方・保湿の考え方を整理したい方
- ステロイドや病院で処方される保湿剤の位置づけを知っておきたい方
乳児湿疹とは
乳児湿疹は生後1〜2週間ごろにできる湿疹の総称で、母親の妊娠ホルモンの影響で皮脂が分泌過多になることが原因と言われています。乳児性ニキビ・乳児性脂漏性皮膚炎・あせもに大きく分けられます。
乳児湿疹とは生後1〜2週間くらいにできる湿疹の総称です。原因は妊娠中に母親の妊娠ホルモンがお腹の赤ちゃんに影響を与えた結果、皮脂腺や毛包で皮脂が分泌過多となる事が原因と言われています。
乳児湿疹には大きく分けて、乳児性ニキビ、乳児性脂漏性皮膚炎、あせもに分けられます。
乳児性ニキビとは
生後2週〜2か月の新生児の主に顔面に生じ、男児に多いとされます。皮脂の産生・分泌の亢進が関係すると考えられ、通常2か月を過ぎると自然に消えますが、乳児脂漏性皮膚炎へ移行することもあります。
生後2週〜2ヶ月の新生児の主に顔面に生じる。思春期のニキビ様の発疹で男児に多く発症する。皮脂の産生・分泌亢進によると考えられているが、マラセチア菌に対する炎症反応という説もある。通常2か月をすぎれば自然消退するが、乳児脂漏性皮膚炎と合併したり、移行することもある。
乳児脂漏性皮膚炎とは
生後2〜4週ごろから頭皮・眉・額・頬・耳の周りなど皮脂分泌の盛んな場所に症状が出やすく、赤みやうろこ状の皮むけがみられます。軽い症状なら赤ちゃんの約3分の1が経験するといわれ、多くは6か月までに自然におさまるとされています。
赤ちゃんの脂漏性皮膚炎は、生後2〜4週ごろからかけて徐々に皮膚に症状がでます。症状は頭皮、眉毛、額、眉の間、頬、耳の周りなど皮膚の分泌が盛んな場所にあらわれます。赤くなったり、皮膚が隆起したり、皮膚がうろこ状にはがれ皮膚が付着したりすることがあります。
また、症状が重くなると細菌に感染したり、皮膚の状態が悪化したりする場合もあります。赤ちゃんの脂漏性皮膚炎は生後2か月くらいの皮脂の分泌が盛んな時期に多いので、皮膚の分泌と深くかかわっていることが考えられています。
脂漏性皮膚炎は軽い症状であれば、赤ちゃんの3分の1が経験するといわれています。また、ほとんどが6ヶ月までに自然治癒する場合が多いです。しかし、なかなか治らずアトピー性皮膚炎に移行する方もいるということが報告されています。
赤ちゃんのあせもとは
赤ちゃんは新陳代謝が活発なため一年中あせもができやすく、汗腺が詰まることで生じます。水晶様汗疹と紅色汗疹の2種類があり、掻きむしるととびひになることもあるため注意が必要です。
大人の場合、あせもは汗をかきやすい夏にできます。一方、赤ちゃんは夏だけではなく、新陳代謝が活発なため一年中できます。あせもは、一度に大量の汗をかき、汗が蒸発しにくい場所にできやすくなります。汗を大量にかくことで、汗が通過する汗腺が詰まり汗がたまるからです。
あせもの種類には大きくわけて、水晶様汗疹と紅色汗疹の2種類にわかれます。水晶様汗疹は、熱が高いときや暑い環境のとき、体幹や両手両足に、約1mm~2mmの水滴のような水泡があらわれます。紅色汗疹は、赤ちゃんの場合、体幹だけでなくおむつの部分など汗をかきやすい場所にあらわれます。約2mm~3mmの紅色の発疹ができかゆみを伴います。
これらの症状から、赤ちゃんのあせもは赤いブツブツから始まることが多いようです。そのまま放置すると赤ちゃんはかゆがり掻きむしってしまうこともあります。あせもができやすい場所は、汗をかきやすい額・首・股・おむつが当たるウエスト部分・膝の裏などです。また、あせもを掻きむしってしまうと、伝染病のとびひになってしまうことがあります。
乳児脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎との関係
乳児脂漏性皮膚炎は約3分の1の新生児が体験し、通常6か月までに自然におさまるとされます。6か月を過ぎても消えず体幹や四肢に広がる場合は、アトピー性皮膚炎に移行している可能性があると考えられています。
乳児脂漏性皮膚炎は約1/3の新生児が体験するもので、通常6ヶ月までには自然治癒すると言われています。かゆみは少なく、頭や、顔の眉毛の部分に赤みや、厚いフケが付着する事が多いですが、この症状が6ヶ月を過ぎても消退せず、体幹や四肢に皮膚炎が広がり、乾燥性の病変がみられたりする場合はアトピー性皮膚炎に移行しているかもしれません。アトピー性皮膚炎にならないためには乳児脂漏性皮膚炎の原因である皮脂を適切にケアする事が大切なのです。
アトピー性皮膚炎は生まれつきではない
生まれつきアトピー性皮膚炎の乳児はいないとされ、遺伝的素因は皮膚のバリア機能やセラミド量の差とされています。外的要因にはアレルギー的因子(食べ物・ダニ・細菌・真菌など)と非アレルギー的因子(汗・乾燥・刺激・ストレス)があると説明されています。
生まれつきアトピー性皮膚炎の乳児はいません。良く耳にする遺伝的素因は皮膚のバリア機能の強弱やセラミドの量が違うだけでスキンケアを適切にすることでバリア機能を高め防ぐ事ができます。アトピー性皮膚炎の一番の要因は外的要因です。外的要因にはアレルギー的因子と非アレルギー的因子があります。
アレルギー的因子には食べ物、ダニ、ハウスダスト、細菌、真菌、花粉、外用薬、スキンケア商品などがあります。非アレルギー的因子には汗、乾燥、化学的刺激、ストレスが挙げられます。
母乳が原因ではない
母乳や食べ物で湿疹ができた場合は食物アレルギーであり、乳児湿疹とは関係がないと説明されています。
赤ちゃんに湿疹ができると、「母乳や食べ物が原因?」と心配になるなるかもしれません。しかし母乳や食べ物で湿疹ができた場合は食べ物アレルギーですので乳児湿疹には関係ありません。
アトピー性皮膚炎の原因と適切なスキンケア
大量に分泌された皮脂を好むマラセチア菌や黄色ブドウ球菌などの悪玉菌が皮膚環境に関係するとされます。石油系界面活性剤を含まない洗浄剤でやさしく洗い、入浴後5分以内に水溶性保湿剤で保湿することなどが紹介されています。
アトピー性皮膚炎の原因は
そうです。大量に分泌された皮脂です。ではなぜ皮脂が大量分泌されるといけないのか?皮脂を好むマラセチア菌が繁殖するからです。マラセチア菌は炎症やフケ症の原因と言われています。炎症などフケで皮膚環境が悪くなっていると必ずと言って良いほど悪玉菌が増えます。悪玉菌の代表的なものは黄色ブドウ球菌です。
黄色ブドウ球菌に感染すると皮膚が常に悪玉菌から影響を受けているので将来アトピー性皮膚炎になりやすいとゆうことがわかっています。実際に黄色ブドウ球菌は健常な皮膚にはほとんど定着しないようですが、アトピー性皮膚炎の患者様の90%において皮膚の病変部位に定着が認められているようです。
適切なスキンケア
1. 体を洗うときは、石油系界面活性剤がはいっていない液体洗浄剤を使う
液体洗浄剤をよく泡立てます。泡立ちが少ない場合は、泡立ちネットなどで泡立ててから赤ちゃんの顔、耳のまわり、首、脇、鼠径部など皮脂の分泌の盛んな部分をゆっくり洗いましょう。注意したい点は、必ず手で洗うということ。赤ちゃんの肌はデリケートなので、タオルなどを使わないようにしましょう。
2. 頭を洗うときはシャンプーを使う
肌に優しい赤ちゃん用のシャンプーを使います。頭皮やまゆ毛にこびりついた皮脂は、お湯だけでは落ちにくいので、少しあたためたタオルで蒸したあとに洗うととれやすくなります。注意したい点は、一気にはがそうとしないこと。少しずつ落とすことを心掛けましょう。
3. 洗うときは、手の指の腹を使う
こびりついた皮脂はなかなか落ちにくいので、無理にはがそうとすると毛が抜けたり、出血したりすることがあります。洗うときは手の指の腹を使って優しくマッサージするようにしましょう。
4. 水溶性保湿剤でしっかり保湿する
洗ったあとは皮脂が落ちてバリア機能が弱くなっているので、グリセリンやセラミドが含まれた化粧水で保湿しましょう。入浴後5分以内がより効果的です。
柔軟剤に注意
柔軟剤に含まれる香料や合成界面活性剤などの成分が乳児の皮膚炎につながると言われており、使用している場合は見直しが勧められています。
赤ちゃんの衣類に柔軟剤を使っていませんか?もし使っている方がいたらすぐに止めたほうがいいでしょう。柔軟剤の中に入っている香料を初めてとする成分には多くの化学物質、合成界面活性剤が入っていると言われ、乳児の皮膚炎につながると言われています。適切なスキンケアをしても柔軟剤を使うことで意味がなくなってしまう可能性があります。
爪をしっかり切ってあげよう
赤ちゃんは無意識に肌を掻きむしるため、ひっかき傷から湿疹が悪化することがあります。爪は週に一度チェックして短く保ち、深爪には注意し、不安なら爪やすりの使用もよいとされています。
赤ちゃんは大人と違い、無意識に肌を掻きむしってしまいます。ひっかき傷の細菌が原因で湿疹が悪化するケースもあり爪は常に短く切っておきましょう。
爪切りの頻度としては乳児も爪の伸びははやく週に一回はチェックして頂き、爪の白い部分が伸びてきたら、爪切りのサインです。ただし、深爪には十分に注意しましょう。もし怖い方は爪切りではなく、爪やすりなどを使ってもいいでしょう。
病院で処方されるお薬について
プロペトやヒルドイドソフト軟膏は健常な肌の保護や乾燥予防には役立つとされますが、過剰な皮脂分泌が原因の乳児湿疹では油分が多いと症状が悪化する恐れがあるとされます。判断が難しい場合は受診が勧められています。
多くの方が保湿剤としてプロペト(白色ワセリン)、ヒルドイドソフト軟膏(ヘパリン類似物質軟膏)を処方されていませんか?これらの保湿剤は健常な方が使うには皮膚の保護をし、乾燥予防にはとても効果的だと思います。しかし、乳児湿疹の場合は過剰な皮脂分泌が原因です。油分が多いのにさらに油分を塗ってしまったら、余計に症状が悪化してしまう恐れがあります。乳児の場合は油分の少ない水溶性の保湿剤でケアしてあげましょう。
ただし乾燥性皮膚炎の乳児はプロペト、ヒルドイドソフト軟膏が推奨されますので、症状の判断が難しい際は一度受診しましょう。
ステロイド剤について
ステロイド剤は炎症を抑えるために処方される対症療法の薬で、アトピー性皮膚炎を治す薬ではないと説明されています。免疫力低下や中止後の再燃などの副作用があり、使用・中止は医師の指示に従うことが大切とされています。
ステロイド剤は炎症を抑えるために病院でよく処方されるお薬の一つです。ステロイドはあくまで対症療法で、一時的に炎症を抑えますが、アトピー性皮膚炎を治すお薬ではありません。ステロイド剤には免疫力低下や中止後の症状の再燃などの副作用があります。使用時・中止する際はお医者様の指示どおりに使いましょう。
最後に
乳児湿疹は多くの乳児が発症します。ひどくなる前に慌てず適切なスキンケアを続けることで症状を軽減していきましょうと締めくくられています。
乳児をお持ちのお母様は毎日、我が子の事が心配だと思います。
乳児湿疹は多くの乳児が発症します。その時に慌てず、見るのも辛くなってしまうほどひどい状況になる前に適切なスキンケアをすることで症状を軽減していきましょう。
お困りな事が御座いましたら、お気軽にご連絡下さいませ。
あなたが知りたい情報は?
受診を考える目安
- 赤み・かゆみ・フケなどが数週間以上続く、または繰り返す
- 市販のケアで改善しない、または悪化する
- 顔・耳・胸元など、頭皮以外にも症状が広がっている
- 強いかゆみ・痛み・ジュクジュク(浸出液)などがある
よくある質問
Q. 乳児脂漏性皮膚炎は自然におさまりますか?
A. 記事では、乳児脂漏性皮膚炎は約3分の1の新生児が体験し、多くは生後6か月までに自然におさまるとされています。ただし6か月を過ぎても続く場合はアトピー性皮膚炎に移行する可能性もあるとされ、症状が続く場合は皮膚科で相談してください。
Q. アトピー性皮膚炎は生まれつきのものですか?
A. 記事では、生まれつきアトピー性皮膚炎の乳児はいないとされています。遺伝的素因は皮膚のバリア機能やセラミド量の差とされ、適切なスキンケアでバリア機能を整えることに関係するとされています。個人差があるため、気になる場合は医療機関にご相談ください。
Q. 赤ちゃんの肌はどのように洗えばよいですか?
A. 記事では、石油系界面活性剤を含まない液体洗浄剤をよく泡立て、皮脂の多い部分を手の指の腹でやさしく洗う方法が紹介されています。タオルは使わず、こびりついた皮脂は無理にはがさないよう勧められています。詳しくは本文をご確認ください。
Q. 母乳や食べ物が乳児湿疹の原因になりますか?
A. 記事では、母乳や食べ物で湿疹ができた場合は食物アレルギーであり、乳児湿疹とは関係がないと説明されています。判断が難しい場合や症状が続く場合は、自己判断せず皮膚科で相談してください。
Q. 病院で処方される保湿剤を使えば安心ですか?
A. 記事では、プロペトやヒルドイドソフト軟膏は乾燥予防には役立つとされますが、皮脂分泌が原因の乳児湿疹では油分が多いと症状が悪化する恐れがあるとされています。症状の判断が難しいときは一度受診することが勧められています。
Q. ステロイド剤はどう使えばよいですか?
A. 記事では、ステロイド剤は炎症を抑える対症療法の薬で、免疫力低下や中止後の再燃などの副作用があると説明されています。使用や中止は医師の指示どおりに行うことが大切とされていますので、必ず医療機関で相談してください。
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