この記事の監修者
久保木彰一
ワイズ製薬株式会社 薬剤師
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。
「脂漏性皮膚炎のスキンケアは化粧水だけで十分なの?」「保湿クリームを足すと逆に赤みが出る気がする」——そんな疑問を持つ方は少なくありません。結論から言うと、答えは肌タイプによって変わります。本記事では、皮脂が多いタイプと乾燥しやすいタイプそれぞれの正しいスキンケアの考え方を、ステップと早見表で整理して解説します。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療の代替となるものではありません。症状が続く・悪化する場合は皮膚科を受診してください。
脂漏性皮膚炎とスキンケアの関係とは
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位(鼻のわき・眉間・髪の生え際・頭皮など)に、赤み・かゆみ・フケのような皮むけがくり返し出やすい状態です。背景には、皮膚に常在するマラセチア菌という真菌や、皮脂・体質・生活習慣など複数の要因が関わると考えられています。
このとき大切なのが「皮脂が多い=保湿は不要」と単純に決めつけないことです。脂漏性皮膚炎の肌は、皮脂が過剰な部分と、バリア機能が低下して乾燥している部分が混在しているケースがあります。そのため、自分の肌が今どちらの状態に近いかを見極めることが、適切なスキンケアの出発点になります。症状の全体像は脂漏性皮膚炎とはのページもあわせてご確認ください。
なぜ「化粧水だけ」で迷うのか:肌タイプで答えが変わる
「化粧水だけでいいのか、クリームまで必要なのか」で迷う最大の理由は、脂漏性皮膚炎の肌状態が人によって大きく異なるからです。大きく次の2タイプに分けて考えると整理しやすくなります。
① 皮脂が多い・テカリやすいタイプ
もともと皮脂分泌が活発で、油分を足すと赤みやベタつきが強く感じられるタイプです。この場合、油分の多いクリームを重ねると、かえって不快感や悪化につながることがあります。水分補給を中心とした軽い保湿が向いていると考えられます。
② 乾燥しやすい・皮むけするタイプ
炎症によってバリア機能が低下し、ツッパリ感や粉をふくような乾燥が出るタイプです。この状態で保湿を化粧水だけで終えると、水分が蒸発して乾燥が進み、かゆみが増すことがあります。水分を逃さない適度な保湿の重ねが役立つと考えられます。
つまり「化粧水だけでいいか」は二者択一ではなく、肌の状態に合わせて保湿の量と質を調整するのが基本的な考え方です。皮脂と乾燥の背景は脂漏性皮膚炎の原因でも詳しく解説しています。
タイプ別・正しいスキンケアのやり方
ここからは、洗顔から保湿までの基本ステップをタイプ別に整理します。共通して大切なのは「やさしく洗い、こすらず、適度に保湿する」ことです。
洗顔(共通の基本)
- ぬるま湯(32〜35℃前後)で、こすらず泡で包むように洗う
- 1日2回程度を目安にし、洗いすぎない
- 洗浄力が強すぎるものは避け、肌当たりのやさしいものを選ぶ
- すすぎ残しが出やすい生え際・小鼻のわきまで丁寧に流す
保湿(タイプ別)
皮脂が多いタイプ:洗顔後5分以内を目安に、さっぱりタイプの化粧水で水分を補います。ベタつきが気になる場合は、油分の少ないジェル状や水溶性のうるおい成分(アミノ酸・グリセリンなど)を中心に選ぶと負担が少ないと考えられます。クリームは「乾燥が気になる部分にだけ薄く」が目安です。
乾燥しやすいタイプ:化粧水で水分を入れたあと、水分を逃さないための保湿(乳液やジェルなど)を軽く重ねるとよいとされています。セラミドなどバリアをサポートする成分が配合されたものは、乾燥が気になる肌に向いていると考えられます。油分の多い濃厚なクリームは、皮脂の多い部位を避けて使うのが無難です。
※成分や使用感の感じ方には個人差があります。新しいアイテムを使うときは、目立たない部分で少量試してから取り入れると安心です。
【早見表】化粧水だけでいい?タイプ別の目安
| 肌タイプ | 化粧水 | 保湿の重ね | 向く質感 |
|---|---|---|---|
| 皮脂が多い・テカる | 中心に使う | 基本は控えめ/乾燥部位のみ薄く | さっぱり・ジェル・水溶性 |
| 乾燥・皮むけする | 使う | 軽く重ねる(乳液・ジェル等) | セラミド配合・低刺激 |
| 混在タイプ | 使う | 部位ごとに量を調整 | 部位で使い分け |
※あくまで一般的な目安です。赤みや炎症が強いときは自己判断で保湿を足すより、まず皮膚科で状態を確認することをおすすめします。自分のタイプがわからない場合は症状チェックも活用してみてください。
やってはいけないNGスキンケア
良かれと思って続けているケアが、かえって症状を長引かせていることがあります。以下は避けたいポイントです。
- ゴシゴシ洗い・洗いすぎ:皮脂を取りすぎるとバリアが乱れ、かえって皮脂が過剰に出ることがあります。
- 熱いお湯での洗顔:必要なうるおいまで奪い、乾燥・かゆみの原因になります。
- 油分の多いクリームを全顔に厚塗り:皮脂の多い部位ではマラセチア菌が増えやすい環境につながると考えられます。
- かゆいからと強くこする・かく:炎症を悪化させ、色素沈着の一因にもなります。
- 合わない化粧品を我慢して使い続ける:ピリつき・赤みが出るものは中止し、肌に合うものを選び直しましょう。
さらに詳しいNG習慣は脂漏性皮膚炎でやってはいけないことでまとめています。顔まわりの具体的なケアは顔の脂漏性皮膚炎もご参照ください。
こんなときは皮膚科を受診しましょう
スキンケアを見直しても改善が見られない場合や、次のようなサインがあるときは、自己ケアを続けるより専門医への相談が安心です。
- 赤み・かゆみ・フケが2週間以上続く、またはくり返す
- ジュクジュクする・かさぶたができる・範囲が広がっている
- 市販のケアやスキンケアの見直しで悪化する
- 痛みや強いかゆみで日常生活に支障が出ている
脂漏性皮膚炎は、医療機関での治療とセルフケアを組み合わせて付き合っていくことが大切とされています。治療の進め方は脂漏性皮膚炎の治し方、市販薬の考え方は脂漏性皮膚炎の市販薬もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 脂漏性皮膚炎のスキンケアは化粧水だけでいいですか?
肌タイプによります。皮脂が多くテカリやすい方は化粧水中心の軽い保湿が向いていると考えられますが、乾燥や皮むけがある方は水分を逃さない保湿を軽く重ねるとよいとされています。一律に「化粧水だけ」と決めず、肌の状態に合わせて調整しましょう。
Q2. 皮脂が多いのに保湿は必要ですか?
皮脂が多くても、炎症によってバリア機能が低下し内側が乾燥している(インナードライ)ことがあります。その場合は適度な水分補給が役立つと考えられます。ベタつくほどの油分は避け、さっぱりした質感を選ぶのが目安です。
Q3. 保湿クリームを塗ると赤みが出ます。やめたほうがいいですか?
油分の多いクリームは、皮脂の多い部位で刺激や悪化につながることがあります。ピリつき・赤みが出る場合は使用を中止し、油分の少ないタイプに切り替えるか、皮膚科で相談してください。
Q4. 化粧水を塗るタイミングはいつがいいですか?
洗顔後は肌の水分が蒸発しやすいため、5分以内を目安に化粧水で水分を補うとよいとされています。こすらず、手のひらでやさしく押さえるようになじませましょう。
Q5. どんな成分を選べばいいですか?
一般的には、低刺激でバリアをサポートするセラミドや、水溶性のうるおい成分(アミノ酸・グリセリンなど)が肌負担になりにくいと考えられます。アルコールや香料で刺激を感じやすい方は、それらを控えた処方を選ぶと安心です。感じ方には個人差があるため、少量から試しましょう。
Q6. スキンケアを変えてもよくなりません。どうすればいいですか?
2週間以上改善しない、くり返す、悪化するといった場合は、セルフケアだけで対処せず皮膚科を受診してください。脂漏性皮膚炎は医療機関の治療とセルフケアの組み合わせが大切とされています。
Q7. 頭皮も同じ考え方でいいですか?
頭皮も皮脂とマラセチア菌が関わる点は共通しますが、ケアの方法は異なります。頭皮の脂漏性皮膚炎やシャンプーの選び方のページもあわせてご確認ください。
本記事は一般的な情報をまとめたものであり、診断・治療を目的としたものではありません。症状や対処について不安がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。