「耳の後ろがカサカサして皮がむける」「耳の穴がかゆくてフケっぽいものが出る」——こうした耳の不調が、実は脂漏性皮膚炎によることがあります。耳は皮脂腺が多く、脂漏性皮膚炎の出やすい部位のひとつです。この記事では、耳の脂漏性皮膚炎が出やすい場所・症状・原因と、やってはいけないケア、受診の目安を整理します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の代替となるものではありません。耳の痛み・じゅくじゅく・聞こえにくさがある場合や、症状が続く・悪化する場合は、自己判断せず皮膚科または耳鼻咽喉科を受診してください。
この記事の要点
- 耳は皮脂腺が多く、脂漏性皮膚炎が出やすい部位のひとつとされます。
- 耳の後ろの溝、耳の穴の入口、外耳道などに、かゆみ・フケ状の鱗屑・赤み・ひび割れが出ることがあります。
- 背景には、皮脂やマラセチアという常在菌などが関わると考えられています。
- 綿棒や耳かきで強くこすると悪化や感染のきっかけになるため、避けたいケアです。
- 痛み・じゅくじゅく・聞こえにくさ・繰り返す場合は、皮膚科または耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
こんな人に
- 耳の後ろがカサカサ・皮むけ・ひび割れして気になる方
- 耳の穴の入口がかゆく、フケのようなものが出る方
- 顔や頭皮の脂漏性皮膚炎とあわせて耳も気になる方
- 耳のケアで何を避ければよいか知りたい方
顔や頭皮の脂漏性皮膚炎については「顔の脂漏性皮膚炎」「頭皮の脂漏性皮膚炎」でも解説しています。耳は顔・頭皮と続けて症状が出ることもあります。
耳のどこに出やすい?
耳の後ろの溝、耳の穴の入口、外耳道などに出やすいとされます。皮脂腺が多く、脂漏性皮膚炎の好発部位のひとつです。
脂漏性皮膚炎は皮脂腺の多い部位に出やすく、耳もそのひとつです。具体的には、耳の後ろ(付け根の溝)、耳介(耳たぶや外側の軟骨部分)、耳の穴の入口、そして外耳道(耳の穴の中)などに症状が出ることがあります。[1,2]かゆみ・フケのような鱗屑(りんせつ)・赤み・ひび割れ・時にじゅくじゅくといった形で現れます。[1]

耳の脂漏性皮膚炎の症状
かゆみ・フケ状の脂っぽい鱗屑・赤み・皮むけ・ひび割れ・じゅくじゅくが主な症状とされます。慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返しやすいのが特徴です。
耳の脂漏性皮膚炎では、かゆみとともに、脂っぽい、または乾いたフケ状の鱗屑が出ることが多いとされます。赤みや皮むけ、耳の後ろのひび割れ、掻きすぎによるじゅくじゅく(浸出液)がみられることもあります。[1,3]慢性的に経過し、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい点も特徴です。とくに耳は自分では見えにくく、無意識に触ったり掻いたりしやすいため、悪化させてしまうことがあります。
なぜ耳に出るのか
耳は皮脂腺が多く、皮脂とマラセチアという常在菌などが関わって炎症が起こると考えられています。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位で、皮膚に常在するマラセチアという真菌や皮脂、皮膚のバリア機能などが複合的に関わって起こると考えられています。[2]耳の周囲や外耳道は皮脂腺が多く、こうした条件がそろいやすい場所です。原因の全体像は「脂漏性皮膚炎の原因とは?」でも解説しています。
耳の中(外耳道)とのつながり・こじれると感染も
耳の中に及ぶと外耳道炎につながることがあり、掻いたり傷つけたりすると細菌やカビの感染が加わることもあります。
脂漏性皮膚炎が外耳道(耳の穴の中)に及ぶと、慢性的な外耳道炎の一因になることがあるとされています。[3]また、掻いたり耳かきで傷つけたりすると、その傷から細菌や真菌(カビ)の感染が加わり、痛みや腫れ、耳だれ(じゅくじゅく)が出ることがあります。[3]痛みが強い、耳だれが出る、聞こえにくいといった場合は、脂漏性皮膚炎だけでなく感染が加わっている可能性があるため、早めの受診が大切です。
耳のケアでやってはいけないこと
綿棒や耳かきで強くこする、爪で掻く、イヤホンで長時間むらす、といったケアは悪化や感染のきっかけになります。
かゆいとつい耳の中を綿棒や耳かきでこすりたくなりますが、これは避けたいケアです。摩擦で皮膚が傷つき、かえって炎症や感染を招くことがあります。[3]爪で掻くのも同様です。また、イヤホンやヘッドホンを長時間つけて耳の中がむれると、悪化の一因になることがあります。かゆい時は掻かずに、清潔にやさしく保つことを心がけ、症状が続く場合は自己流のケアを続けず受診しましょう。

受診の目安
痛み・じゅくじゅく・聞こえにくさがある、繰り返す、市販のケアで改善しない場合は、皮膚科または耳鼻咽喉科を受診してください。
次のような場合は、自己判断を続けず受診をおすすめします。
- 耳の痛み・腫れ・耳だれ(じゅくじゅく)がある
- 聞こえにくさや耳のつまり感がある
- かゆみ・フケ・皮むけを繰り返している
- 市販のケアを試しても改善しない、または悪化した
耳の皮膚の症状は皮膚科でも耳鼻咽喉科でも相談できます。耳の中(外耳道)の症状や耳だれ・痛みが強い場合は、耳鼻咽喉科が適していることもあります。脂漏性皮膚炎全体のケアの順序は「脂漏性皮膚炎の治し方」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 耳のかゆみやフケも脂漏性皮膚炎のことがありますか?
A. はい。耳は皮脂腺が多く、脂漏性皮膚炎の出やすい部位のひとつです。耳の後ろ・耳の穴の入口・外耳道などに、かゆみやフケ状の鱗屑、赤みが出ることがあります。ただし他の原因のこともあるため、続く場合は受診して確認しましょう。
Q. 耳の中がかゆい時、耳かきをしてもいいですか?
A. 強くこする耳かきや綿棒は避けてください。摩擦で皮膚が傷つき、悪化や感染のきっかけになることがあります。かゆくても掻かず清潔にやさしく保ち、続く場合は皮膚科または耳鼻咽喉科に相談しましょう。
Q. 耳だれや痛みがある時はどうすればいいですか?
A. 痛み・耳だれ・聞こえにくさがある場合は、感染が加わっている可能性があります。自己判断でケアを続けず、早めに耳鼻咽喉科または皮膚科を受診してください。
Q. 何科を受診すればいいですか?
A. 皮膚科でも耳鼻咽喉科でも相談できます。耳の中(外耳道)の症状や耳だれ・強い痛みがある場合は耳鼻咽喉科が適していることもあります。迷う場合はどちらかを受診し、必要に応じて紹介してもらいましょう。
Q. 顔や頭皮の脂漏性皮膚炎と一緒に耳にも出ますか?
A. 出ることがあります。脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位に広く出やすく、頭皮・顔・耳が続けて症状を起こすことがあります。気になる部位が複数ある場合は、まとめて医師に相談するとよいでしょう。
参考文献
- DermNet. Seborrhoeic dermatitis. https://dermnetnz.org/topics/seborrhoeic-dermatitis
- Borda LJ, Wikramanayake TC. Seborrheic Dermatitis and Dandruff: A Comprehensive Review. J Clin Investig Dermatol. 2015. PMID: 27148560. PMC4852869
- MSD Manual (Merck Manual) Consumer Version. Dermatitis of the Ear Canal. merckmanuals.com
本記事は、診療ガイドラインや公的医療機関・医学文献などの信頼できる情報源をもとに、脂漏性皮膚炎ナビ編集部が作成しています。個々の症状の診断・治療については医療機関にご相談ください。
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