脂漏性皮膚炎と紫外線|日焼け止めの選び方・対策を解説

かゆみ2025.09.25 公開 / 2026.06.25 更新

「夏になると顔の赤みやかゆみが強くなる」「日差しを浴びた日は調子が悪い」——脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)の症状と紫外線の関係に、こうした実感を持つ方は少なくありません。紫外線は脂漏性皮膚炎を直接の原因とするものではありませんが、症状を悪化させる要因の一つと考えられています。この記事では、紫外線と脂漏性皮膚炎の関係、悪化に関わると考えられる理由、日常でできる紫外線対策、低刺激な日焼け止めの選び方と塗り方の注意点、避けたいNGケア、そして受診を考えたい目安までを整理します。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず皮膚科などの医療機関にご相談ください。

まず知りたい3ポイント

1

紫外線は悪化要因の一つ

紫外線が脂漏性皮膚炎を直接引き起こすわけではありませんが、症状の悪化に関わる要因の一つと考えられています。

関係性

2

日焼け止めは「刺激の少なさ」重視

症状がある肌はデリケートになっていることが多いため、低刺激な処方を目安に選び、初めての製品はパッチテストで確認します。

選び方

3

塗布だけに頼らない

日焼け止めだけでなく、強い時間帯を避ける・帽子や衣類で物理的に防ぐといった対策を組み合わせることが大切です。

対策

1分でわかる要約

  • 紫外線は脂漏性皮膚炎の直接の原因ではありませんが、皮脂の酸化やバリア機能への影響を通じて症状の悪化に関わる要因の一つと考えられています。
  • 日焼け止めは低刺激な処方を選び、シーンに応じてSPF・PAを使い分け、やさしく塗ってこすらず落とすことが目安です。
  • 赤み・かゆみ・皮むけが長く続く、悪化する、強いヒリつきや浸出液・発熱などがある場合は皮膚科への相談を検討してください。

紫外線と脂漏性皮膚炎の関係性

この章の要点

脂漏性皮膚炎にはマラセチア菌と皮脂バランスの乱れが関わるとされ、紫外線はこのバランスに影響を与える外的要因の一つです。直接の原因ではありませんが、悪化につながる可能性が指摘されています。

脂漏性皮膚炎は、皮脂(ひし)の分泌が多い部位——顔のTゾーン、鼻まわり、髪の生え際、頭皮、耳の後ろなど——に赤みやかゆみ、フケのような皮むけが起こりやすい慢性的な皮膚トラブルです。その背景には、皮膚に常在するマラセチア菌と皮脂のバランスの乱れが関わっていると考えられています。詳しくは脂漏性皮膚炎の原因のページもあわせてご覧ください。

紫外線(UV)はこのバランスに影響を与える外的要因の一つです。紫外線そのものが脂漏性皮膚炎を引き起こすわけではありませんが、皮脂の状態や皮膚のバリア機能に作用することで、症状の悪化につながる可能性があると指摘されています。特に顔や頭皮は日常的に紫外線を浴びやすく、もともと症状が出やすい部位と重なるため、注意したいポイントといえます。

「日差しの強い季節に症状が変動しやすい」と感じる場合、紫外線が悪化要因として関わっている可能性も考えられます。ただし、悪化の要因は人によって異なり、紫外線以外にも生活習慣や体調、季節など複数の要素が重なっていることが多い点には留意が必要です。

紫外線が脂漏性皮膚炎の悪化に関わると考えられる理由

この章の要点

皮脂が酸化して過酸化脂質が生じやすくなる、皮膚のバリア機能が低下しやすくなる、炎症や赤みが強まりやすくなる、といった一般的なメカニズムが背景にあるとされ、いずれも必ずこうなると断定できるものではありません。

紫外線が症状の悪化に関係すると考えられる背景には、主に次のような仕組みがあるとされています。いずれも「必ずこうなる」と断定できるものではなく、悪化に関わりうる一般的なメカニズムとして理解してください。

皮脂が酸化しやすくなる

紫外線を浴びると、皮膚の皮脂が酸化し、過酸化脂質(かさんかししつ)と呼ばれる物質が生じやすくなると考えられています。過酸化脂質は皮膚への刺激となりうるほか、マラセチア菌が利用しやすい状態をつくることがあるとされ、結果として皮膚の常在バランスが乱れ、炎症やかゆみにつながる可能性が指摘されています。

皮膚のバリア機能が低下しやすくなる

過度な紫外線は、皮膚表面のうるおいを保つバリア機能に影響を与えることがあると考えられています。バリア機能が低下すると、外部からの刺激を受けやすくなり、乾燥やかゆみ、赤みといった症状が出やすい状態に傾く可能性があります。脂漏性皮膚炎では皮膚がもともと敏感になっていることも多く、紫外線による負担が重なると不調を感じやすくなることがあります。

炎症や赤みが強まりやすくなる

紫外線による刺激は、すでに炎症が起きている部位の赤みやほてりを強めるように感じられることがあります。症状が落ち着いていない時期に強い日差しを浴びると、見た目の赤みや不快感が増したと感じる方もいます。こうした変化に気づいたら、紫外線対策を見直すきっかけにするとよいでしょう。

日常でできる紫外線対策

この章の要点

紫外線が強い午前10時〜午後2時ごろの長時間の外出を避ける、帽子・日傘・UVカット衣類で物理的に防ぐ、睡眠や食事など生活習慣・体調を整えることを、日焼け止めと組み合わせることが大切です。

紫外線対策は、日焼け止めだけでなく「浴びる量を減らす工夫」と組み合わせることが大切です。脂漏性皮膚炎の症状がある時期は、肌への刺激をできるだけ抑えながら対策することを意識しましょう。

紫外線の強い時間帯を避ける

一般に、紫外線は1日のうち午前10時から午後2時ごろにかけて強くなる傾向があります。可能であれば、この時間帯の長時間の外出を避ける、日陰を選んで歩く、といった工夫が負担の軽減につながります。

衣類・帽子・日傘で物理的に防ぐ

つばの広い帽子や日傘、UVカット機能のある衣類などを活用すると、肌に直接当たる紫外線を物理的に減らせます。肌に触れる素材は、ごわつきや締めつけの少ない、やわらかいものを選ぶと刺激になりにくいでしょう。頭皮の症状が気になる方は、頭皮の脂漏性皮膚炎のページもあわせて参考にしてください。

生活習慣・体調を整える

睡眠不足や偏った食事、ストレスは皮膚の状態に影響しやすいといわれます。紫外線対策と並行して、バランスのよい食事や十分な休養を心がけることも、肌の調子を保つうえで役立つと考えられます。顔まわりの症状については顔の脂漏性皮膚炎のページも参考になります。

日焼け止めの選び方と使い方の注意点

この章の要点

アルコール・香料・着色料が少ない低刺激なタイプやノンコメドジェニックテスト済みなどを目安にし、SPF・PAはシーンに応じて使い分けます。やさしく塗り、こまめに塗り直し、こすらず落とし、初めての製品はパッチテストを行います。

脂漏性皮膚炎の症状がある肌はデリケートになっていることが多いため、日焼け止めは「刺激の少なさ」を重視して選ぶことがすすめられます。以下はあくまで一般的な目安であり、合うかどうかには個人差があります。使用に不安がある場合は、医療機関や薬剤師に相談すると安心です。

低刺激なタイプを選ぶ

  • アルコール(エタノール)・香料・着色料が少ないもの:刺激になりにくい処方を目安にする
  • 「ノンコメドジェニックテスト済み」などの表示:皮脂づまりが起こりにくいことを確認した目安として参考にする
  • 紫外線吸収剤が気になる場合:紫外線散乱剤(ノンケミカル)タイプを選択肢に入れる方もいます
  • テクスチャー:のびがよく、こすらず塗れるものが肌への負担を抑えやすい

SPFやPAの数値は高いほどよいわけではなく、シーンに応じて選ぶのが基本です。日常生活ではSPF30前後、長時間の屋外活動や強い日差しの下ではより高い数値、といった使い分けが一つの目安になります。

塗り方・落とし方で気をつけたいこと

  • やさしく塗る:ゴシゴシすり込まず、点置きしてから手のひらでそっと広げる
  • 塗り直す:汗をかいたときやタオルで拭いた後はこまめに塗り直す
  • こすらず落とす:1日の終わりは、肌をこすらないようにやさしく洗浄する
  • 初めて使う製品はパッチテストを:腕の内側などで少量試し、赤みやかゆみが出ないか確認してから顔に使う

洗いすぎや強い摩擦は、かえって皮膚のバリアに負担をかけることがあります。スキンケア全般の考え方は脂漏性皮膚炎のケア方法もあわせてご覧ください。

やってはいけないNGケア

この章の要点

刺激の強い日焼け止めを我慢して使い続ける、厚塗り・重ね塗りのしすぎ、症状部位を強くこする、塗ったからと長時間日差しを浴びる、自己判断で市販薬を漫然と使い続ける、といった行動は避けたいものです。

よかれと思って行ったケアが、かえって症状の悪化につながることがあります。紫外線対策の場面で避けたい行動を整理します。

  • 刺激の強い日焼け止めを我慢して使い続ける:ヒリつきや赤みが出るのに使い続けると負担が重なりやすい
  • 厚塗り・重ね塗りのしすぎ:必要量を守らず過度に塗ると、皮脂づまりや落とすときの摩擦の原因になりやすい
  • 症状が出ている部位を強くこする:塗布時や洗浄時のこすり過ぎは刺激になる
  • 「日焼け止めを塗ったから大丈夫」と長時間日差しを浴びる:塗布だけに頼らず、時間帯や衣類での対策も組み合わせる
  • 自己判断で市販薬を漫然と使い続ける:改善しない場合は使用を見直し、医療機関に相談する

その他の避けたい習慣については脂漏性皮膚炎で避けたいNG習慣のページにまとめています。

こんなときは受診を検討しましょう

この章の要点

赤み・かゆみ・皮むけが長く続く・繰り返す、セルフケアで改善しない・悪化する、製品で強いヒリつきや赤みが出た、広範囲に広がる、痛み・浸出液・発熱などいつもと違う変化がある場合は医療機関への相談を検討します。

セルフケアで対応できる範囲には限りがあります。次のような場合は、自己判断を続けず、皮膚科などの医療機関への相談を検討してください。

  • 赤み・かゆみ・皮むけが長く続く、または繰り返す
  • 市販品やセルフケアで改善が見られない、あるいは悪化している
  • 日焼け止めやスキンケア製品で強いヒリつき・赤みが出た
  • 顔や頭皮の広い範囲に症状が広がっている
  • 痛み・じくじくした浸出液・発熱など、いつもと違う変化がある

自分の症状の傾向を整理したい方は脂漏性皮膚炎の症状チェックセルフチェックも活用してみてください。脂漏性皮膚炎ナビ全体の方針については本サイトについてをご覧ください。

よくある質問

Q. 紫外線を浴びると脂漏性皮膚炎は必ず悪化しますか?

A. 必ず悪化するわけではありません。紫外線は悪化に関わる要因の一つと考えられていますが、影響の程度には個人差があります。症状の変動が気になる場合は、紫外線対策を見直したうえで、医療機関に相談することをおすすめします。

Q. 脂漏性皮膚炎でも日焼け止めは使ってよいですか?

A. 紫外線対策の観点からは、日焼け止めの使用が役立つ場面があります。ただし症状がある肌は敏感になっていることが多いため、低刺激な処方を選び、初めての製品はパッチテストで確認すると安心です。使用に不安がある場合は医療機関や薬剤師にご相談ください。

Q. SPFは高ければ高いほどよいのでしょうか?

A. 数値が高いほどよいとは限りません。SPF・PAはシーンに応じて選ぶことが基本で、日常生活ではSPF30前後、強い日差しの下ではより高い数値、といった使い分けが一つの目安です。肌への負担とのバランスも考えて選びましょう。

Q. 紫外線吸収剤と散乱剤はどちらがよいですか?

A. どちらが優れているとは一概にいえず、肌との相性によります。刺激が気になる方は紫外線散乱剤(ノンケミカル)タイプを選択肢に入れる場合もあります。合うかどうかには個人差があるため、少量で試してから使うとよいでしょう。

Q. 曇りの日や室内でも紫外線対策は必要ですか?

A. 紫外線は曇りの日でも一定量降り注ぎ、窓を通して室内に入ることもあります。日差しを強く感じない日でも、日常的な紫外線対策を意識しておくと負担の軽減につながると考えられます。

Q. 日焼け止めを塗るとかゆみや赤みが出ます。どうすればよいですか?

A. 使用を中止し、肌を休ませてください。特定の製品が合わない可能性があります。症状が続く・強い場合は自己判断せず、皮膚科などの医療機関に相談しましょう。

Q. 頭皮の紫外線対策はどうすればよいですか?

A. 帽子や日傘で物理的に紫外線を防ぐのが基本的な方法です。頭皮用の日焼け止めスプレーを使う方もいますが、症状がある場合は刺激にならないか確認しながら使いましょう。頭皮の症状が気になる方は頭皮の脂漏性皮膚炎のページもご参照ください。

Q. 紫外線が強くなりやすい時間帯はいつですか?

A. 一般に紫外線は1日のうち午前10時から午後2時ごろにかけて強くなる傾向があります。可能であればこの時間帯の長時間の外出を避ける、日陰を選んで歩くといった工夫が、肌への負担の軽減につながると考えられます。

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