脂漏性皮膚炎と食事・栄養|意識したい食べ物とビタミンB

この記事の監修者

久保木彰一

久保木彰一

ワイズ製薬株式会社  薬剤師

昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。

「脂漏性皮膚炎には、どんな食事や食べ物がいいの?」「ビタミンBを摂ると変わる?」——こうした疑問を持つ方は少なくありません。脂漏性皮膚炎は皮脂やマラセチア菌、体質、生活習慣など複数の要因が関わる皮膚の状態で、食事だけで原因を取り除けるものではありません。ただし、皮膚や粘膜の健康維持に役立つとされる栄養素をバランスよく摂ることは、体全体のコンディションを整えるうえで意味があると考えられています。この記事では、脂漏性皮膚炎と食事の関係、意識したい栄養素と食品例、控えめにしたい食習慣、そして「食事はあくまで補助で、治療の代わりにはならない」という大切な前提までを、わかりやすく整理します。

脂漏性皮膚炎と食事・栄養の関係

脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い部位(頭皮・顔のTゾーン・小鼻のわき・耳のまわり・胸元など)に赤みやかさつき、フケのような皮むけが出やすい皮膚の状態です。皮膚に常在するマラセチアというカビ(真菌)が皮脂を分解する過程や、皮脂の量・質、皮膚のバリア機能、生活習慣などが複雑に関係していると考えられています。くわしくは脂漏性皮膚炎とは脂漏性皮膚炎の原因のページもあわせてご覧ください。

食事そのものが脂漏性皮膚炎を「治す」「予防する」と断定できる根拠はありません。一方で、皮膚や粘膜は日々の食事から得た栄養をもとにつくり替えられているため、栄養が極端に偏った状態は体調全体に影響しうると考えられています。だからこそ、特定の食品に過度な期待を寄せるのではなく、皮膚や粘膜の健康維持に役立つとされる栄養素をバランスよく摂ることが基本になります。

意識したい栄養素と食品例

ここでは、一般的に皮膚や粘膜の健康維持に役立つとされる栄養素を紹介します。いずれも「これを食べれば脂漏性皮膚炎が改善する」という意味ではなく、日々の食事のバランスを考えるうえでの目安としてとらえてください。サプリメントよりも、まずは食品から幅広く摂ることが基本です。

ビタミンB群(とくにB2・B6)

ビタミンB2やビタミンB6は、皮膚や粘膜の健康維持に役立つ栄養素として知られています。B群は水に溶けやすく体内にためておきにくいため、毎日コツコツと食事から摂ることが意識されます。外食や加工食品中心の食生活では不足しやすい栄養素ともいわれます。食品の選び方は脂漏性皮膚炎とビタミンのページでも詳しく整理しています。

ビタミンC

ビタミンCは皮膚の健康維持に役立つとされる栄養素で、野菜や果物に多く含まれます。水に溶けやすく加熱で失われやすい性質があるため、生で食べられる野菜や果物を組み合わせると取り入れやすくなります。一度にたくさん摂るより、毎食少しずつ続けることがバランスの観点では現実的です。

たんぱく質

皮膚や髪、粘膜の主な材料となるのがたんぱく質です。極端な食事制限やダイエットでたんぱく質が不足すると、体全体のコンディションに影響しうると考えられています。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などから、毎食手のひら1枚分を目安に取り入れるとバランスがとりやすくなります。

亜鉛・食物繊維・良質な脂質

亜鉛は皮膚や粘膜の健康維持に関わる栄養素のひとつで、牡蠣・赤身肉・大豆製品などに含まれます。亜鉛と皮膚については脂漏性皮膚炎と亜鉛のページもご参照ください。また、食物繊維は腸内環境を整えるうえで役立つとされ、海藻・きのこ・野菜・豆類などから摂れます。脂質は完全に避けるのではなく、青魚などに含まれる脂やオリーブ油など、質を意識して適量を心がけるとよいとされています。

栄養素と主な食品例(早見表)

栄養素 主な働き(一般的な栄養機能の範囲) 多く含まれる食品例
ビタミンB2 皮膚や粘膜の健康維持に役立つ レバー、卵、納豆、乳製品、うなぎ、のり
ビタミンB6 皮膚や粘膜の健康維持に役立つ まぐろ、かつお、鶏むね肉、バナナ、玄米
ビタミンC 皮膚の健康維持に役立つ ブロッコリー、ピーマン、キウイ、いちご、柑橘類
たんぱく質 皮膚・髪・粘膜の材料となる 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛 皮膚や粘膜の健康維持に関わる 牡蠣、赤身肉、大豆製品、ナッツ
食物繊維 腸内環境を整えるのに役立つ 海藻、きのこ、野菜、豆類、雑穀

より具体的な食材の選び方は脂漏性皮膚炎におすすめの食べ物のページでもまとめています。

控えめにしたい食習慣

「これを食べたら悪化する」と断定できる食品があるわけではありませんが、皮脂の分泌や体調に影響しやすいと一般的にいわれる食習慣はあります。あくまでバランスの問題としてとらえ、神経質になりすぎないことも大切です。

  • 糖質・甘いものの摂りすぎ:菓子類や甘い飲み物に偏ると栄養バランスが崩れやすくなります。
  • 脂っこい食事・揚げ物の頻度が高い:脂質の質と量を意識し、適量を心がけたいところです。
  • 香辛料の強い刺激物やアルコールの摂りすぎ:体調や肌のコンディションに影響を感じる場合は控えめに。
  • 加工食品・外食中心でビタミン・ミネラルが不足しがち:野菜や海藻を意識的に足すと補いやすくなります。
  • 欠食・極端なダイエット:たんぱく質やビタミンの不足につながりやすい食習慣です。

これらは「悪い食品」というより、偏りすぎないようにしたい目安です。ご自身の体調と照らし合わせ、無理のない範囲で調整しましょう。

食事バランスの考え方

大切なのは、特定の栄養素や食品に集中することではなく、全体のバランスを整えることです。具体的には次のような考え方が現実的です。

  • 主食・主菜・副菜をそろえる:ごはんなどの主食、たんぱく質源の主菜、野菜・海藻・きのこの副菜を毎食意識する。
  • 朝食を抜かない:1日の栄養を3食に分け、ビタミンB群のように体にためにくい栄養素をこまめに補う。
  • 色の数を増やす:食卓に複数の色の食材を並べると、自然とビタミン・ミネラルの種類が増えやすい。
  • 水分・睡眠・運動もセットで考える:食事は生活習慣全体の一部。睡眠やストレスケアも肌のコンディションに関わるとされています。

朝食をパンや甘いものだけで済ませがちな方は、ごはんと具だくさんの味噌汁、たんぱく質のおかずを足すなど、まず一品増やすところから始めると続けやすくなります。

食事だけで治るわけではない|大切な注意点

ここまで栄養や食事の工夫を紹介してきましたが、もっとも大切な前提があります。それは、食事は体調を整えるための補助であって、脂漏性皮膚炎の治療の代わりにはならないということです。脂漏性皮膚炎は皮膚の状態であり、症状の程度によっては医療機関での適切なケアが必要になります。

「食事を変えたのに良くならない」「むしろ赤みやかゆみが強くなった」と感じるときは、食事だけで対処しようとせず、皮膚科への相談を検討してください。自己流のサプリメントの多量摂取や、特定の食品の極端な制限は、かえって栄養バランスを崩す可能性があります。脂漏性皮膚炎のケア全体については脂漏性皮膚炎の治し方・ケアのページも参考にしてください。

こんなときは皮膚科の受診を

次のようなサインがあるときは、食事の見直しと並行して、医療機関への相談をおすすめします。

  • 赤み・かゆみ・皮むけが広がっている、または長く続いている
  • 市販のケアや生活習慣の見直しを続けても改善が感じられない
  • ジュクジュクする、強い炎症や痛みがある
  • フケや皮むけで日常生活に支障が出ている
  • 顔や頭皮以外にも症状が広がってきた

自分の状態を整理したい方は、脂漏性皮膚炎の症状チェックセルフチェックもご活用ください。気になる症状があるときは、自己判断で抱え込まず専門家に相談することが安心につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 脂漏性皮膚炎は食事を変えれば治りますか?

A. 食事だけで治すことはできません。脂漏性皮膚炎は皮脂や常在菌、体質、生活習慣など複数の要因が関わる皮膚の状態です。バランスのよい食事は体調を整える補助にはなりますが、治療の代わりにはなりません。症状が続く場合は皮膚科にご相談ください。

Q. ビタミンBを摂れば脂漏性皮膚炎が改善しますか?

A. ビタミンB2・B6は皮膚や粘膜の健康維持に役立つとされる栄養素ですが、摂れば症状が治る・改善すると断定できるものではありません。サプリメントに頼りすぎず、まずは食品からバランスよく取り入れることが基本です。

Q. 食べてはいけない食べ物はありますか?

A. 「これを食べると必ず悪化する」と言い切れる食品はありません。ただし、糖質や脂質の多い食事、刺激物の摂りすぎは栄養バランスを崩しやすいため、控えめにすると安心です。特定の食品を極端に避けるより、全体のバランスを意識しましょう。

Q. サプリメントで栄養を補ってもいいですか?

A. 基本は食品からの摂取が望ましいとされています。サプリメントを利用する場合も多量摂取は避け、表示された目安量を守ってください。持病がある方や薬を服用中の方は、医師・薬剤師に相談すると安心です。

Q. 朝食はパンよりごはんのほうがいいですか?

A. どちらが正解という決まりはありません。大切なのは主食だけで終わらせず、たんぱく質や野菜を組み合わせてバランスを整えることです。甘いパンや菓子だけの朝食になりがちな方は、おかずを一品足す工夫から始めるとよいでしょう。

Q. 食事を見直してどのくらいで変化を感じますか?

A. 食事の影響の出方には個人差があり、はっきりした期間を示すことはできません。食事はあくまで体調を整える補助です。一定期間続けても症状が改善しない、または悪化する場合は、食事だけに頼らず皮膚科を受診してください。

Q. 水分やお茶はどのくらい摂ればいいですか?

A. 特別な飲み物が必要なわけではなく、日常的にこまめな水分補給を心がければ十分です。カフェインや糖分の多い飲み物に偏らないよう、水やお茶を中心にバランスよく摂ることを意識しましょう。

※本記事は一般的な栄養と健康に関する情報をまとめたものであり、診断・治療を目的としたものではありません。症状や治療方針については、必ず医療機関で医師にご相談ください。

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