この記事の監修者
久保木彰一
ワイズ製薬株式会社 薬剤師
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い頭皮・顔・耳まわりなどに赤みやフケ、かゆみが繰り返しあらわれる慢性的な皮膚トラブルです。皮膚に常在する「マラセチア菌」と過剰な皮脂、そして生活習慣の乱れなどが関係すると考えられています。日々のスキンケアと生活習慣を見直すことは、コンディションを整えるうえで大切なセルフケアの一つです。この記事では、洗いすぎないスキンケアの基本から、頭皮ケア・睡眠・ストレス・食事・運動・季節の注意点、やってはいけないNG行動、受診の目安、よくある質問までをまとめて解説します。なお本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療を保証するものではありません。気になる症状がある場合は皮膚科の受診をおすすめします。
脂漏性皮膚炎のスキンケアの基本
脂漏性皮膚炎のセルフケアでは、「皮脂を落としすぎず、うるおいを守りながら、刺激を避ける」ことが基本の考え方とされています。良かれと思って行うケアが、かえって肌の負担になっていることも少なくありません。まずは毎日のスキンケアを整えるところから始めましょう。
洗いすぎない・こすりすぎない
皮脂が気になると、つい1日に何度も洗ったり、ゴシゴシこすったりしがちです。しかし過度な洗浄は肌のバリア機能を低下させ、乾燥や刺激につながりやすいと考えられています。洗顔・洗髪は基本的に1日1〜2回を目安にし、ぬるま湯(およそ36〜38度)を使い、たっぷりの泡でやさしく洗うことを心がけましょう。熱すぎるお湯や爪を立てた洗い方は避けるのがおすすめです。
洗ったあとは保湿でうるおいを守る
「皮脂が多い=保湿は不要」と思われがちですが、実際には乾燥がバリア機能の低下を招き、コンディションが乱れやすくなることがあります。洗顔後は、油分の少ないさっぱりタイプの保湿剤などで水分を補うとよいでしょう。べたつきが気になる部位は使用量を調整しながら、肌の様子を見て取り入れてみてください。
低刺激のアイテムを選ぶ
アルコールや香料、強い洗浄成分などは、人によっては刺激に感じることがあります。スキンケアアイテムを選ぶ際は、できるだけシンプルで低刺激のものを選び、新しく使うものは少量から試して肌に合うか確認すると安心です。複数のアイテムを一度に変えると、合わなかったときに原因が分かりにくくなるため、少しずつ見直すことをおすすめします。
頭皮のスキンケア
頭皮はとくに皮脂分泌が多く、フケやかゆみが出やすい部位です。シャンプーは予洗いでしっかり汚れを浮かせてから、指の腹でやさしく洗い、すすぎ残しがないよう丁寧に流しましょう。すすぎ残しは刺激の原因になることがあります。洗浄力の強すぎるものは皮脂を取りすぎてしまう場合があるため、頭皮の状態に合わせた選び方が大切です。詳しくは脂漏性皮膚炎のシャンプーの選び方もあわせてご覧ください。ドライヤーで頭皮を乾かす際は、熱を当てすぎないよう適度な距離を保ち、生乾きのまま放置しないようにしましょう。
睡眠とストレスを整える
睡眠不足や強いストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れを通じて、皮脂の分泌や肌のコンディションに影響することがあると考えられています。毎日できるだけ決まった時間に休み、十分な睡眠を確保することが、肌のリズムを整えるうえで役立つとされています。
ストレスをためこまないために、自分なりのリラックス方法を持つことも大切です。軽い運動や入浴、深呼吸、趣味の時間などを生活に取り入れ、心身の緊張をほぐす習慣をつくりましょう。完璧を目指さず、無理のない範囲で続けることがポイントです。
食事で内側から整える
バランスの良い食事は、肌を含む全身のコンディションを支える土台になります。特定の食品が脂漏性皮膚炎を治すという科学的な裏付けは十分ではありませんが、皮膚の健康に関わるとされる栄養素を意識することは一つの工夫です。
とくに、皮膚の代謝に関わるとされるビタミンB群(B2・B6など)は、レバーや魚、卵、納豆、緑黄色野菜などに多く含まれます。野菜・海藻・豆類・きのこなど食物繊維を含む食材もバランスよく取り入れるとよいでしょう。一方で、脂質や糖質、刺激物の取りすぎは控えめにし、規則正しい食事リズムを意識することがおすすめです。食事の工夫については脂漏性皮膚炎と食事・栄養もご参照ください。
適度な運動と日常の習慣
適度な運動は、血行の促進やストレス解消、睡眠の質の向上など、間接的に肌のコンディションを整えるサポートになると考えられています。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられるものから始めましょう。運動で汗をかいたあとは、放置せず早めにやさしく洗い流すか、清潔なタオルでおさえるようにすると、汗や皮脂による刺激を抑えやすくなります。
季節ごとの注意点
脂漏性皮膚炎は季節によって状態が変化しやすいといわれます。夏は汗や皮脂、紫外線の影響を受けやすく、こまめに汗を拭き取り、清潔を保つことが大切です。一方、冬は空気の乾燥や暖房によって肌の水分が失われやすく、乾燥対策としての保湿がより重要になります。季節の変わり目は気温・湿度の変化で体調や肌が揺らぎやすいため、その時々の肌の状態に合わせてケアを微調整しましょう。
やってはいけないNG行動
セルフケアでは、「良かれと思ってやっていること」が逆効果になっているケースが見られます。次のような行動はできるだけ避けましょう。
- かゆくてもかきむしる:皮膚が傷つき、刺激や状態の悪化につながることがあります。かゆいときは冷やすなどで対応しましょう。
- フケやかさぶたを無理にはがす:肌のバリアを傷つける原因になります。
- 何度も洗う・強くこする:皮脂を取りすぎ、乾燥や刺激を招きやすくなります。
- 自己判断で合わないものを使い続ける:刺激を感じるアイテムは使用を中止し、肌の様子を確認しましょう。
避けたい習慣の詳細は脂漏性皮膚炎で避けたいNG習慣でも紹介しています。
こんなときは皮膚科の受診を
セルフケアは大切ですが、症状が続く・繰り返す場合は、医療機関での適切なケアが必要なことがあります。次のような場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
- 赤みやかゆみ、フケがなかなか改善しない、または悪化している
- かき壊しによってジュクジュクしたり、痛みや化膿が見られる
- 顔・頭皮以外にも広がっている、または範囲が拡大している
- 市販のケアを続けても変化が感じられない
- 症状を繰り返して日常生活に支障が出ている
自分の状態が気になる方は、脂漏性皮膚炎のセルフチェックやセルフチェックも参考にしてください。診断や治療方針は医師が判断するものです。気になる点は受診時に相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 脂漏性皮膚炎のときは顔を洗わない方がいいですか?
A. 洗わないより、やさしく洗って清潔を保つことが基本と考えられています。ポイントは「洗いすぎない」ことです。1日1〜2回を目安に、ぬるま湯と泡でこすらず洗い、洗ったあとは保湿でうるおいを守りましょう。
Q. 皮脂が多くても保湿は必要ですか?
A. 皮脂が多くても、乾燥がバリア機能の低下につながることがあるため、油分の少ないさっぱりタイプの保湿を取り入れることがすすめられます。べたつきが気になる場合は使用量を調整しながら様子を見てください。
Q. 食事を変えれば脂漏性皮膚炎は治りますか?
A. 特定の食事だけで治るという十分な科学的根拠はありません。ただしビタミンB群などを含むバランスの良い食事は、全身のコンディションを支える土台になります。生活習慣全体を整える一環として取り入れましょう。
Q. ストレスは脂漏性皮膚炎に関係しますか?
A. ストレスや睡眠不足は、自律神経やホルモンバランスを通じて肌のコンディションに影響することがあると考えられています。十分な睡眠と、自分なりのリラックス方法を持つことが役立つとされています。
Q. かゆいときはどうすればいいですか?
A. かきむしると皮膚が傷つき、状態が悪化することがあります。冷たいタオルなどで冷やしてかゆみをやわらげ、できるだけかかないようにしましょう。かゆみが強く続く場合は皮膚科に相談してください。
Q. 市販のケアだけで様子を見ても大丈夫ですか?
A. 軽度であればセルフケアで様子を見ることもありますが、改善しない・繰り返す・悪化するといった場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。自己判断で合わないものを使い続けないことも大切です。
Q. 季節によってケアを変えた方がいいですか?
A. はい。夏は汗・皮脂・紫外線対策と清潔保持を、冬は乾燥対策としての保湿を意識するなど、その時々の肌の状態に合わせて調整するとよいでしょう。
脂漏性皮膚炎については、脂漏性皮膚炎とはや脂漏性皮膚炎の原因・対策、脂漏性皮膚炎の治し方もあわせてご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証するものではありません。症状や治療に関する判断は医師が行います。気になる症状がある場合は皮膚科などの医療機関を受診してください。