皮脂と脂漏性皮膚炎の関係|皮脂が多い人の正しいケア

かゆみ2025.09.25 公開 / 2026.06.25 更新

顔や頭皮の赤み・かゆみ・フケが繰り返すとき、その背景には「皮脂」が深く関わっていることがあります。脂漏性皮膚炎は、皮脂が多く分泌される部位(脂漏部位)に起こりやすい皮膚トラブルで、皮脂そのものよりも、皮脂を栄養源にする常在菌や生活習慣との関係が重要だと考えられています。この記事では、皮脂と脂漏性皮膚炎の関係、皮脂が増える要因、マラセチア菌との関わり、そして皮脂をためない正しいケアの考え方を、医療情報の観点から整理して解説します。

この記事のポイント

  • 脂漏性皮膚炎は皮脂が多い「脂漏部位」に起こりやすいとされています
  • 皮脂が増える要因はホルモン・生活習慣・季節など複数あります
  • 皮脂を栄養源とするマラセチア菌の関与が指摘されています
  • 過剰な洗浄はかえって悪化につながることがあります

この記事の結論

  • 脂漏性皮膚炎は皮脂が多い脂漏部位に起こりやすいとされますが、皮脂の量だけでなくマラセチア菌やバリア機能、生活習慣など複数の要因が重なって起こると考えられています。
  • 皮脂を栄養源とするマラセチア菌が増えやすい環境が炎症に関係するとされ、ケアは皮脂をゼロにするのではなく皮脂と菌のバランスを整えためこまないことが大切です。
  • 洗浄はやさしく適度にし、うるおいを保ち、生活習慣を整えることが基本で、数週間以上症状が続く・悪化するときは皮膚科専門医への相談がすすめられます。

こんな人に

  • 顔や頭皮の赤み・かゆみ・フケが繰り返し、皮脂との関係が気になる方
  • 皮脂が増える要因やマラセチア菌との関わりを知りたい方
  • 皮脂が多いからと洗いすぎていないか、正しいケアを確認したい方
  • セルフケアで様子をみるか、皮膚科を受診すべきか迷っている方

皮脂と脂漏性皮膚炎の関係性

この章の要点

脂漏性皮膚炎は頭皮・Tゾーン・耳の後ろ・胸や背中の中央など皮脂腺が多い脂漏部位に起こりやすいとされますが、皮脂の量だけでなく皮脂を栄養源とするマラセチア菌やバリア機能、生活習慣など複数の要因が重なって炎症が起こると考えられています。

脂漏性皮膚炎は、その名前のとおり「皮脂の分泌が多い部位」に生じやすい皮膚の炎症です。皮脂腺が多く集まっている場所を脂漏部位と呼び、ここに赤み・かゆみ・かさつき・フケといった症状があらわれやすいと考えられています。

代表的な脂漏部位には次のような場所があります。

  • 頭皮・生え際
  • 額・眉間・小鼻のわき(Tゾーン)
  • 耳のうしろ・耳の中
  • 胸の中央・背中の中央

ただし、皮脂が多いことだけが直接の原因というわけではありません。皮脂の「量」に加えて、皮脂を栄養源とする常在菌(マラセチア菌)の働きや、皮膚のバリア機能の状態、生活習慣など、複数の要因が重なって炎症が起こると考えられています。「皮脂が多い人=必ず脂漏性皮膚炎になる」わけではない点に注意が必要です。脂漏性皮膚炎そのものの全体像については脂漏性皮膚炎とは、原因の詳細は脂漏性皮膚炎の原因のページもあわせてご覧ください。

なぜ皮脂が関わるのか

皮脂は本来、皮膚の表面をうるおし、外部刺激から守るために欠かせないものです。しかし、皮脂の分泌量や質のバランスが崩れると、肌表面の環境が変化し、特定の菌が増えやすい状態になることがあります。脂漏性皮膚炎では、この「皮脂を介した肌環境の変化」が炎症のきっかけのひとつとされています。

皮脂が増える要因とは

この章の要点

皮脂分泌はホルモンバランス、睡眠不足やストレス・偏った食事などの生活習慣、高温多湿の季節、洗いすぎといった要因が関係し、洗いすぎは必要な皮脂まで奪いかえって皮脂分泌が増えることがあると指摘されています。

皮脂の分泌量は人によって、また時期によっても変動します。皮脂が多いと感じる背景には、次のような要因が関係していると考えられています。

ホルモンバランス

皮脂腺の働きは、男性ホルモン(アンドロゲン)などのホルモンの影響を受けます。思春期や、生活リズムの乱れ・ストレスでホルモンバランスが変化したときに、皮脂が増えやすくなることがあります。

生活習慣・食事

睡眠不足、ストレス、脂質や糖質に偏った食事は、皮脂分泌や肌の状態に影響を及ぼすことがあると考えられています。ビタミンB群などをバランスよくとる食生活が、肌のコンディションを整えるうえで役立つと考えられています。食事と肌の関係は脂漏性皮膚炎と食事のページで詳しく解説しています。

季節・気温・湿度

皮脂の分泌は気温が高いほど増えやすい傾向があるとされ、高温多湿の時期は皮脂とともに菌も増えやすい環境になりやすいと考えられています。一方、空気が乾燥する季節は、皮膚のバリア機能が低下して刺激を受けやすくなることがあります。

間違ったスキンケア

「皮脂が多いから」と一日に何度も洗顔・洗髪をしたり、洗浄力の強すぎるものを使ったりすると、必要な皮脂まで奪われ、肌が乾燥を補おうとしてかえって皮脂分泌が増えることがあると指摘されています。良かれと思ったケアが逆効果になりやすい点は、脂漏性皮膚炎でやってはいけないことでも詳しくまとめています。

【早見表】皮脂が増えやすい主な要因

要因 関係する内容
ホルモン 思春期・ストレス・生活リズムの乱れ
食事 脂質・糖質過多/ビタミンB群不足
季節 高温多湿で皮脂・菌が増えやすい
睡眠・ストレス 自律神経・ホルモンへの影響
洗いすぎ 皮脂を奪い、かえって分泌が増えることも

皮脂とマラセチア菌の関係

この章の要点

マラセチア菌は誰の肌にもすみつく常在菌で皮脂を栄養源に増え、皮脂を分解する際に生じる成分が刺激や炎症につながると考えられており、ケアは皮脂をゼロにするのではなく皮脂と菌のバランスを整えためこまないことが大切です。

脂漏性皮膚炎を語るうえで欠かせないのが、マラセチア菌という常在菌の存在です。マラセチア菌は、誰の肌にも普通にすみついている真菌(カビの仲間)で、それ自体は病気ではありません。

このマラセチア菌は皮脂を栄養源にして増える性質を持っています。そのため、皮脂が多い環境では菌が増えやすく、菌が皮脂を分解する際に生じる成分が、肌への刺激や炎症につながると考えられています。つまり脂漏性皮膚炎では、「皮脂が多い → マラセチア菌が増えやすい → 肌が刺激を受けやすくなる」という流れが関係していると指摘されています。

このため、ケアの考え方としては「皮脂をゼロにする」ことではなく、皮脂と菌のバランスを整え、ためこまないことが大切だと考えられています。マラセチア菌の詳しい性質や対策はマラセチア菌とは、頭皮の脂漏性皮膚炎については頭皮の脂漏性皮膚炎のページをご覧ください。

皮脂をためない正しいケア

この章の要点

洗顔・洗髪は1日1〜2回を目安にぬるま湯でやさしく行い、洗浄後はうるおいを保ち、睡眠・食事・ストレスなど生活習慣を整えることが基本で、一日に何度も洗う・強い製品で皮脂を落としきろうとするなどはNGとされています。

皮脂が多いと感じる人ほど、強く洗ってしっかり落としたくなりがちですが、脂漏性皮膚炎のケアでは「やさしく・適度に・うるおいを保つ」ことが基本だと考えられています。

洗浄はやさしく・適度に

  • 洗顔・洗髪は基本的に1日1〜2回を目安にし、洗いすぎない
  • ぬるま湯(およそ32〜36℃前後)を使い、熱すぎるお湯を避ける
  • 泡を立て、指の腹でやさしく洗い、ゴシゴシこすらない
  • 洗浄成分が残らないよう、すすぎはていねいに行う

シャンプー選びや洗い方のコツは脂漏性皮膚炎とシャンプーのページで詳しく解説しています。

うるおいを保つ

皮脂が多い人でも、肌内部は乾燥していることがあります。洗浄後は、刺激の少ない保湿で肌のバリア機能を保つことが、皮脂の過剰分泌を防ぐうえで役立つと考えられています。べたつきが気になる場合は、さっぱりとした使用感のものを選ぶとよいでしょう。

生活習慣を整える

  • 睡眠を十分にとり、生活リズムを整える
  • 脂質・糖質に偏らない、バランスのよい食事を心がける
  • ストレスをためこまない工夫をする

やってはいけないこと(NG例)

  • 気になるからと一日に何度も洗顔・洗髪をする
  • 洗浄力が強すぎる製品で皮脂を落としきろうとする
  • かゆいからとゴシゴシこする・かきむしる
  • フケやかさぶたを爪で無理にはがす
  • 自己判断で長期間ケアを続け、受診を先延ばしにする

こんなときは皮膚科の受診を

この章の要点

赤み・かゆみ・フケが数週間以上続く、複数部位に広がる、かき壊してじゅくじゅくや出血がある、市販ケアで変化がない・悪化する、生活に支障が出るときは、自己判断を続けず皮膚科専門医への相談がすすめられます。

セルフケアで様子をみても改善が感じられない場合や、症状が強い場合は、自己判断を続けず皮膚科専門医への相談がすすめられます。次のようなサインがあるときは、早めの受診を検討してください。

  • 赤み・かゆみ・フケが数週間以上続いている
  • 症状が顔や頭皮など複数の部位に広がっている
  • かき壊して、じゅくじゅくしたり出血したりしている
  • 市販のケアを試しても変化が感じられない、または悪化している
  • 睡眠や日常生活に支障が出ている

自分の症状が脂漏性皮膚炎の傾向に当てはまるか気になる方は、症状チェックセルフチェックもご活用ください。実際の治療の流れは脂漏性皮膚炎の治療のページで解説しています。

よくある質問

Q. 皮脂が多いと必ず脂漏性皮膚炎になりますか?

A. 必ずしもそうではありません。脂漏性皮膚炎は皮脂が多い部位に起こりやすいとされていますが、皮脂の量だけでなく、マラセチア菌の関与や肌のバリア機能、生活習慣など複数の要因が重なって起こると考えられています。皮脂が多くても症状が出ない方もいます。

Q. 皮脂を抑えるにはどうすればよいですか?

A. 睡眠を十分にとる、バランスのよい食事を心がける、ストレスをためこまないなど、生活習慣を整えることが皮脂のバランスを保つうえで役立つと考えられています。一方で、洗いすぎはかえって皮脂分泌を招くことがあるため、やさしく適度な洗浄が大切です。

Q. 皮脂が気になるので一日に何度も洗顔してもよいですか?

A. 洗いすぎは必要な皮脂まで奪い、肌が乾燥を補おうとしてかえって皮脂が増えることがあると指摘されています。洗顔・洗髪は1日1〜2回を目安に、ぬるま湯でやさしく行うのがよいと考えられています。

Q. 皮脂が多いのに肌がつっぱるのはなぜですか?

A. 皮脂が多くても、肌内部の水分が不足して乾燥している「インナードライ」の状態になっていることがあります。この場合、洗浄後の適度な保湿で肌のバリア機能を保つことが大切だと考えられています。

Q. マラセチア菌は洗えば落とせますか?

A. マラセチア菌は誰の肌にもすみついている常在菌で、完全に取り除くことを目的とするものではありません。皮脂をためこまず、菌が増えにくい肌環境を整えることがケアの基本だと考えられています。

Q. セルフケアだけで脂漏性皮膚炎はよくなりますか?

A. 軽い症状では生活習慣やケアの見直しで落ち着くこともありますが、症状が続く・広がる・悪化する場合は自己判断を続けず、皮膚科専門医への相談がすすめられます。感じ方には個人差があります。

Q. 皮脂対策で食事は関係ありますか?

A. 脂質・糖質に偏った食事は皮脂や肌の状態に影響することがあると考えられています。ビタミンB群などをバランスよくとる食生活が、肌のコンディションを整えるうえで役立つと考えられています。

Q. 皮脂が多い人も保湿は必要ですか?

A. 皮脂が多い人でも肌内部は乾燥していることがあり、洗浄後に刺激の少ない保湿でバリア機能を保つことが、皮脂の過剰分泌を防ぐうえで役立つと考えられています。べたつきが気になる場合はさっぱりした使用感のものを選ぶとよいとされています。個人差があります。

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