「夜になるとかゆい」「布団に入るとかゆくて眠れない」——脂漏性皮膚炎の方からよく聞かれる悩みです。この記事では、夜にかゆみを強く感じる背景と、睡眠との関係、やわらげる工夫を、わかっている範囲で整理します。
夜にかゆみを強く感じる方はいます。就寝時の発汗や体温の上昇、寝具のむれ、かゆみに注意が向きやすいことなどが関与する可能性があると考えられています。ただし、脂漏性皮膚炎に限定した十分な研究は確認されておらず、主に一般的なかゆみの研究から推定される点に注意が必要です。[1,2]
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の代替となるものではありません。眠りを妨げるほどの強いかゆみが続く場合は、自己判断せず皮膚科を受診してください。
この記事の要点
- 夜にかゆみを強く感じることがあり、複数の要因が関わると考えられています。
- 体温の上昇・発汗・皮膚バリアの日内変動・かゆみに注意が向くことなどが関与しうるとされます。
- これらは主に一般的なかゆみの研究に基づき、脂漏性皮膚炎に限定した十分な研究は確認されていません。
- かゆみと睡眠不足は、互いに悪化させる悪循環になりえます。
- 眠りを妨げるほどの強いかゆみが続く場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
こんな人に
- 夜や就寝時にかゆみが強くなると感じている方
- かゆくて眠れず、睡眠の質が下がっている方
- 夜のかゆみの原因と対策を知りたい方
- 寝具や室温など、できる工夫を探している方
そもそも脂漏性皮膚炎のかゆみがなぜ起こるのかは「脂漏性皮膚炎のかゆみはなぜ起こる?」で解説しています。あわせてお読みください。
夜にかゆみが強くなるのはなぜ?
夜のかゆみには、体温の上昇・発汗・皮膚バリアの日内変動・かゆみに注意が向きやすいことなどが関与する可能性があります。ただし脂漏性皮膚炎に限定した十分な研究は確認されていません。
「なぜ夜にかゆいのか」は、実はまだ完全には解明されていません。夜間にかゆみを強く感じること(夜間そう痒)は知られており、いくつかの要因が関与する可能性が報告されています。[1,2]ただし、これらの知見は主に一般的なかゆみや他の炎症性皮膚疾患の研究に基づくもので、脂漏性皮膚炎に限定した十分な臨床研究は確認されていません。この記事の内容は「脂漏性皮膚炎でも同様の可能性がある」という前提でお読みください。

体温・発汗・皮膚バリアの日内変動
就寝時の体温の上昇や発汗、皮膚のバリア機能が夜に変化することが、夜間のかゆみに関与する可能性があると考えられています。
就寝時は体が温まり、汗をかきやすくなります。体温の上昇や発汗はかゆみを感じやすくする要因になりえます。[2]また、皮膚の水分を保つバリア機能には約1日のリズム(サーカディアンリズム)があり、夜間に経表皮水分喪失(皮膚から水分が逃げる量)が増えるとの報告があります。[2,4]こうした皮膚の日内変動も、夜のかゆみに関わる可能性があると考えられていますが、まだ研究が限られており、断定はできません。
かゆみに注意が向きやすい・無意識の掻破
夜は日中より刺激が少なく、かゆみに注意が向きやすいと考えられています。また、眠りの浅い段階で無意識に掻いてしまうことがあります。
日中は仕事や活動に気が向いていますが、夜は静かで刺激が少なく、かゆみに注意が向きやすいと考えられています。また、睡眠中でも眠りの浅い段階では、無意識に掻いてしまうことがあると報告されています。[2]無意識の掻破は、朝起きたときに皮膚が悪化している一因になりえます。
かゆみと睡眠不足の悪循環
かゆみは睡眠を妨げ、睡眠不足がさらにかゆみを感じやすくする、という悪循環になりえます。
強いかゆみは寝つきや睡眠の質を下げます。そして睡眠不足は、かゆみや皮膚の状態にとって悪化要因になりえると考えられています。[2,3]つまり「かゆくて眠れない→睡眠不足→さらにかゆい」という悪循環に陥りやすいのが夜のかゆみの難しいところです。脂漏性皮膚炎と睡眠の一般的な関わりは「脂漏性皮膚炎と睡眠の関係性」でも解説しています。
夜のかゆみをやわらげる工夫
寝室を涼しく保つ、寝具を清潔にする、就寝前に掻かない工夫をするなど、できる範囲の対策が夜のかゆみをやわらげるのに役立つ場合があります。
夜のかゆみを完全になくす方法はありませんが、次のような工夫が役立つ場合があります。
- 寝室を涼しく保つ:暑さや発汗はかゆみを強めやすいため、室温・寝具を調整します。
- 寝具を清潔に:枕カバー・シーツをこまめに替え、刺激を減らします。
- 就寝前のケア:日中の汗や皮脂をためないよう、適切に洗って清潔にします(洗いすぎは逆効果)。
- 掻かない工夫:爪を短く保つ、かゆいときはやさしく冷やすなど。
かゆみを抑える基本の考え方は「脂漏性皮膚炎のかゆみを抑える方法」でくわしく解説しています。
こんな夜のかゆみは受診を
眠りを妨げるほどの強いかゆみが続く場合や、赤み・痛みなどをともなう場合は、別の病気の可能性も含めて皮膚科の受診がすすめられます。
- 眠れないほどの強いかゆみが続いている
- 赤み・かゆみが強い、ジュクジュク・出血している
- 強い痛み・膿がある、急速に悪化している
- 市販薬やセルフケアを続けても改善しない
夜間の強いかゆみは、脂漏性皮膚炎以外の病気が関係していることもあります。我慢せず皮膚科に相談してください。
よくある質問
Q. 脂漏性皮膚炎は夜に悪化しますか?
A. 夜にかゆみを強く感じる方はいます。体温の上昇・発汗・かゆみに注意が向きやすいことなどが関与する可能性があると考えられていますが、脂漏性皮膚炎に限定した十分な研究は確認されていません。眠りを妨げるほどのかゆみが続く場合は受診をおすすめします。
Q. 寝るとかゆくなるのはなぜですか?
A. 就寝時に体が温まって汗をかきやすくなること、夜は刺激が少なくかゆみに注意が向きやすいことなどが関わると考えられています。皮膚のバリア機能の日内変動も一因の可能性がありますが、まだ研究が限られており断定はできません。
Q. 夜のかゆみに市販の飲み薬を使ってよいですか?
A. 自己判断での使用は慎重にしてください。眠気の出る薬もあり、注意が必要です。眠れないほどのかゆみが続く場合は、市販薬を続ける前に皮膚科や薬剤師に相談することがすすめられます。
Q. 夜のかゆみ対策で今日からできることはありますか?
A. 寝室を涼しく保つ、寝具を清潔にする、就寝前に汗や皮脂をためない、爪を短く保つ、といった工夫が役立つ場合があります。ただし、これらで改善しない・悪化する場合は治療が必要なことがあるため受診を検討してください。
Q. かゆくて眠れないほどです。病院に行くべきですか?
A. 眠りを妨げるほどの強いかゆみが続く場合は、皮膚科の受診をおすすめします。強いかゆみは脂漏性皮膚炎以外の病気が関係していることもあり、適切な診断と治療が必要なことがあります。
参考文献
- Patel T, Ishiuji Y, Yosipovitch G. Nocturnal itch: why do we itch at night? Acta Derm Venereol. 2007;87(4):295-298. PMID: 17598030. PubMed
- Lavery MJ, Stull C, Kinney MO, Yosipovitch G. Nocturnal Pruritus: The Battle for a Peaceful Night’s Sleep. Int J Mol Sci. 2016;17(3):425. PMID: 27011178. PMC4813276
- Fishbein AB, Vitaterna O, Haugh IM, et al. Nocturnal eczema: Review of sleep and circadian rhythms in children with atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol. 2015;136(5):1170-1177. PMID: 26549635. PubMed
- Iwanaszko M, Waldeck N, Anafi R, et al. Circadian Rhythms in Skin Barrier Function in Atopic Dermatitis: A Pilot Study. J Biol Rhythms. 2024;39(2):208-214. PMID: 38305093. PMC10994754
本記事は、診療ガイドラインや公的医療機関・医学文献などの信頼できる情報源をもとに、脂漏性皮膚炎ナビ編集部が作成しています。個々の症状の診断・治療については医療機関にご相談ください。
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