「フケやかゆみが続くのは、頭皮のマラセチア菌のせいかもしれない」——そんな情報を目にして、検査で調べられるのか気になっている方は少なくありません。マラセチア(マラセチア属真菌)は、実は健康な人の頭皮にもふつうに存在する常在菌です。この記事では、頭皮のマラセチア菌が医療機関や研究の現場でどのように調べられるのか、セロハンテープ法・培養・同定・定量といった検査の基礎を、医療情報としてやさしく解説します。あわせて、検査でわかること・わからないこと、気になるときの受診の目安もまとめました。
この記事の結論
- マラセチアは健康な人の頭皮にもいる常在真菌で、検出されること自体は異常ではありません。
- 頭皮の真菌検査はセロハンテープ法などで検体を採取し、培養・同定・定量という流れで状態を客観的に観察します。
- 菌の有無だけで頭皮トラブルの原因は断定できません。症状が続く場合は自己判断せず皮膚科で相談してください。
こんな人に
- フケやかゆみがマラセチアと関係するのか気になっている人
- 頭皮の真菌検査がどのように行われるか知りたい人
- マラセチアが検出される=病気なのか不安な人
- 検査でわかること・わからないことを整理したい人
マラセチアは誰の頭皮にもいる常在菌
マラセチア属真菌は皮脂の脂質を栄養源とし、頭皮・顔・胸・背中など皮脂の多い部位に多く見られる常在真菌で、いること自体は異常ではありません。
マラセチア属真菌は、ヒトの皮膚に広く分布する常在真菌(じょうざいしんきん)です。とくに皮脂の分泌が多い頭皮・顔・胸・背中などに多く見られます。マラセチアは皮脂に含まれる脂質を栄養源として利用する性質があるため、皮脂腺が発達した部位に集まりやすいと考えられています。
大切なのは、マラセチアがいること自体は異常ではないという点です。多くの人の頭皮に当たり前に存在しており、菌がいる=病気、というわけではありません。一般に、皮脂の状態や肌のコンディション、体調などさまざまな要因が複雑に関わって、頭皮環境のバランスが変化することがあると言われています。
「常在菌」と「病原菌」は別の考え方
常在菌は、ふだんは私たちの体と共存している微生物の総称です。一方で、医療の現場では「症状の原因として関与しているかどうか」は、菌の有無だけでなく、肌の状態や経過、ほかの所見を含めて総合的に判断されます。つまり、マラセチアが検出されたかどうかだけで、頭皮トラブルの原因が決まるわけではありません。マラセチアと頭皮の関係をもう少し詳しく知りたい方は、マラセチアとは|頭皮の常在菌の基礎もあわせてご覧ください。
頭皮のマラセチア菌は検査でどう調べる?
研究や臨床では、セロハンテープ法などで検体を採取→専用培地で培養→何の菌かを見極める同定→量を把握する定量、という流れで調べます(どの検査を行うかは医療機関や目的で異なります)。
頭皮のマラセチア菌を調べる方法には、いくつかの段階があります。ここでは研究や臨床で用いられる代表的な手順を、一般的な流れとして紹介します。なお、具体的にどの検査を行うかは医療機関や目的によって異なります。
1. 検体を採取する(セロハンテープ法など)
セロハンテープ法は、粘着テープを頭皮に貼り付けてはがすことで、皮膚の表面にある角層や付着した微生物をテープ面に採取する方法です。痛みが少なく、頭皮を傷つけにくい簡便な採取法として知られています。研究では、頭皮の複数のポイント(部位)から採取して、ばらつきを抑える工夫がされることもあります。
このほか、綿棒で頭皮表面をぬぐう「スワブ法」や、角層を軽く採取する方法など、目的に応じて採取の手段は使い分けられます。
2. 培養する
採取した検体を、真菌が育ちやすい専用の培地(ばいち)に置いて一定期間おくと、生きている菌が増えてコロニー(集落)をつくります。これが培養です。マラセチアは脂質を必要とする性質があるため、脂質を加えた専用培地が使われることが一般的です。培養によって、検体の中に生きた菌がどの程度いたのかをとらえやすくなります。
3. 同定する
同定(どうてい)とは、増えてきた菌が「何という菌か」を見極める作業です。顕微鏡でコロニーや菌体の形を観察したり、生化学的な性質を調べたり、近年では遺伝子を解析する方法も用いられます。これにより、検出された真菌がマラセチア属かどうか、さらにどの種にあたるのかが判断されます。
4. 定量する
定量(ていりょう)は、菌が「どれくらいの量いたか」を数値として把握することです。培養で得られたコロニーの数を数える方法などがあり、検査前後で菌の量がどう変化したかを比較する研究などで用いられます。
これらの手順は、いずれも頭皮の状態を客観的に観察するための方法であって、それ自体が治療ではありません。検査と並行して、頭皮トラブルの背景については脂漏性皮膚炎の原因のページも参考になります。
検査でわかること・わからないこと
検査では菌の検出・不検出、種類(同定)、量(定量)とその変化がわかりますが、菌の有無だけで原因は断定できず、採取部位やタイミングで結果が変わるため1回で全てを表すわけではありません。
真菌検査は便利ですが、できることには限界もあります。期待と実際の役割を整理しておきましょう。
検査でわかること
- 採取した部位に、マラセチアなどの真菌がいたかどうか(検出・不検出)
- 検出された場合、その菌がどの種類か(同定)
- 菌がどのくらいの量だったか(定量)と、その変化
検査でわからない(注意したい)こと
- 菌の有無だけで、頭皮トラブルの原因を断定することはできません。マラセチアは常在菌のため、健康な頭皮からも検出されることがあります。
- 採取した部位やタイミングによって結果が変わることがあり、1回の検査がすべてを表すわけではありません。
- 検査はあくまで状態を観察するものであり、診断や治療の必要性は、医師が肌の所見や経過を含めて総合的に判断します。
「真菌そのものへの向き合い方」については、用語や考え方を抗菌・抗真菌に関する基礎知識でも整理しています。
頭皮ケア製品の使用評価でも、真菌検査を実施しました
KADASON 7日間使用評価の副次項目として5名×頭皮3ポイントを前後で調べ、Pre・Postとも全例不検出でした。これはマラセチア陽性者対象ではなく、殺菌・抑制や有効性を示すものではありません。
ワイズ製薬では、頭皮ケアシャンプー「KADASON(カダソン)」を7日間使用した際の頭皮の変化を観察する使用評価を行いました。その副次的な確認項目として、上で紹介したセロハンテープ法・培養・同定・定量という流れで、参加者の頭皮のマラセチア属真菌についても調べています。
具体的には、参加者5名それぞれの頭皮3ポイントから、使用前(Pre)と使用後(Post)に検体を採取し、培養・同定・定量を行いました。その結果、Pre・Postのいずれにおいても、全5名×3ポイントのすべてでマラセチア属真菌は不検出でした。
ここで非常に重要な注意点があります。この使用評価は、もともとマラセチアが多く検出された方(マラセチア陽性者)を対象に行われたものではありません。そのため、今回の「全例不検出」という結果は、製品がマラセチアを殺菌・抑制したことを示すものではなく、マラセチアへの有効性を示すものでもありません。あくまで、少人数での使用評価において真菌検査も実施し、その範囲で観察された事実をお伝えしているにすぎません。
研究の詳しい背景・方法・結果については、KADASON 7日間使用評価の研究ハブにまとめています。検査が実際にどのように行われたのかを知る一例として参考にしてください。
気になるときは皮膚科へ
フケ・かゆみ・赤み・ベタつきが続くときは原因を自分で決めつけず皮膚科を受診し、状態を直接診たうえで必要に応じた対応を検討してもらうのがおすすめです。市販品は医療の代わりにはなりません。
フケ・かゆみ・赤み・ベタつきなどの頭皮トラブルが続くとき、その背景は人によってさまざまです。マラセチアなどの常在菌のバランスが関わっている場合もあれば、まったく別の要因のこともあります。自分で原因を決めつけず、症状が続く・気になるときは皮膚科を受診することをおすすめします。
医療機関では、頭皮の状態を直接診たうえで、必要に応じて検査を行い、一人ひとりに合った対応を検討してもらえます。市販のケア製品はあくまで日々のセルフケアの一部であり、医療の代わりにはなりません。脂漏性皮膚炎との向き合い方については脂漏性皮膚炎との付き合い方もご覧ください。サイトの方針については運営者情報・このサイトについてをご確認いただけます。
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よくある質問
Q. 頭皮のマラセチア菌は自宅で検査できますか?
A. 培養や同定・定量といった真菌検査は、専用の培地や設備、専門的な判断を必要とするため、基本的には医療機関や研究の場で行われます。頭皮の状態が気になる場合は、自己判断せず皮膚科にご相談ください。
Q. マラセチアが検出されたら、頭皮の病気ということですか?
A. いいえ。マラセチアは健康な人の頭皮にもいる常在菌のため、検出されること自体は珍しくありません。検出の有無だけで病気かどうかは決まらず、医師が肌の所見や経過を含めて総合的に判断します。
Q. セロハンテープ法は痛くありませんか?
A. セロハンテープ法は、粘着テープを頭皮に貼ってはがすことで表面の検体を採取する方法で、痛みが少なく頭皮を傷つけにくい採取法として知られています。ただし感じ方には個人差があります。
Q. シャンプーを変えればマラセチアは減らせますか?
A. 市販のケア製品は日々の頭皮ケアの一部ですが、特定の製品がマラセチアを殺菌・抑制すると断定することはできません。頭皮環境にはさまざまな要因が関わるため、気になる症状が続く場合は皮膚科にご相談ください。
Q. KADASONの使用評価で「全例不検出」だったのは、効果があったということですか?
A. いいえ。この使用評価はマラセチア陽性者を対象にしたものではなく、使用前の段階から不検出でした。そのため、製品がマラセチアを殺菌・抑制した、あるいはマラセチアに有効であることを示す結果ではありません。真菌検査を実施した事実をお伝えするものです。
Q. 検査結果は1回で確定しますか?
A. 採取した部位やタイミングによって結果が変わることがあるため、1回の検査がすべてを表すわけではありません。継続的な観察や、医師による総合的な判断が大切です。
Q. マラセチアは常在菌なのに、なぜ頭皮トラブルと関係するとされるのですか?
A. 皮脂の状態や肌のコンディション、体調などさまざまな要因が複雑に関わって頭皮環境のバランスが変化することがあるとされています。ただし菌の有無だけで原因は決まらず、医師が所見や経過を含めて総合的に判断します。気になる症状が続く場合は皮膚科にご相談ください。
Q. 真菌検査を受ければ、自分に合うケアがわかりますか?
A. 検査は頭皮の状態を客観的に観察するための方法であり、それ自体が治療やケアの選択を決めるものではありません。診断や対応の必要性は、医師が肌の所見や経過を含めて総合的に判断します。症状が気になる場合は皮膚科で相談してください。
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