「顔の赤みがなかなか引かない」「これは酒さ(しゅさ)なのか、脂漏性皮膚炎なのか分からない」——顔の赤みで悩む方から、この2つの見分けについてよく質問をいただきます。どちらも顔に赤みが出て慢性的に経過し、見た目が似ることがあるため、自己判断では区別が難しい皮膚トラブルです。この記事では、酒さと脂漏性皮膚炎の違い・共通点・見分けの手がかりを、わかっている範囲で整理します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の代替となるものではありません。顔の赤みが続く・悪化する場合は、自己判断せず皮膚科を受診してください。酒さと脂漏性皮膚炎は治療の考え方が異なるため、正確な診断が大切です。
この記事の要点
- 酒さと脂漏性皮膚炎はどちらも顔に赤みが出ますが、好発部位も原因も異なると考えられています。
- 脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位(頭皮・眉間・小鼻・胸元など)に、黄色っぽい脂っぽい鱗屑(フケ)を伴う赤みが出やすいとされます。
- 酒さは頬・鼻・額など顔の中心に、ほてり・持続する赤み・毛細血管拡張・時に丘疹(ブツブツ)が出やすいとされます。
- 2つは同時に起こることもあり、報告では酒さの患者の一部に顔や頭皮の脂漏性皮膚炎の併発がみられたとされます。
- 見分けと治療方針の決定には皮膚科での診察が必要です。自己判断でのケアは慎重にしてください。
こんな人に
- 顔の赤みが続いていて、酒さか脂漏性皮膚炎か分からない方
- 小鼻や眉間の赤み・皮むけが気になる方
- 頬や鼻のほてり・赤み・毛細血管の目立ちが気になる方
- 市販薬やスキンケアを試す前に、2つの違いを知っておきたい方
顔にできる脂漏性皮膚炎そのものについては「顔の脂漏性皮膚炎|鼻の脇・眉間の赤みの原因と正しいケア」でも解説しています。あわせてお読みください。
酒さと脂漏性皮膚炎はどう違う?まず全体像
脂漏性皮膚炎は「皮脂と常在菌」が関わる赤み、酒さは「血管・神経・炎症」が関わる赤み、と大きくは整理されます。ただし見た目が重なることがあり、自己判断は難しいとされます。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位で、皮膚に常在するマラセチアという真菌(カビの仲間)や皮脂、皮膚のバリア機能などが関わって炎症が起こると考えられている慢性の皮膚炎です。[1,2]黄色っぽい脂っぽいフケ(鱗屑)を伴う赤みが特徴とされます。[1]
一方、酒さは主に顔の中心部(頬・鼻・額・あご)に、ほてり・持続する赤み・毛細血管の拡張などが現れる慢性の皮膚疾患です。原因は完全には解明されていませんが、血管の反応・自然免疫・神経の関与などが指摘されています。[3]見た目が似ることがあるため、両者は鑑別(見分け)が問題になりやすい組み合わせとして知られています。[3,4]

好発部位の違い
脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位に広く出て、頭皮や胸元にも及びます。酒さは顔の中心に限られやすいとされます。
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺の多い部位に左右対称に出やすいとされ、鼻や頬に出ることもありますが、それだけでなく頭皮・眉間・小鼻・耳のまわり・胸元など広い範囲に及ぶのが特徴です。[1,4]これに対し酒さは、頬・鼻・額・あごといった顔の中心に症状が集まりやすく、頭皮や胸に広がることは通常みられないとされます。[3,4]「赤みが顔の中心だけか、皮脂の多い所に広く出ているか」は、ひとつの手がかりになります。
症状・見た目の違い(鱗屑があるか、毛細血管が目立つか)
脂漏性皮膚炎は黄色っぽい脂っぽい鱗屑(フケ)を伴い、酒さはほてり・持続する赤み・毛細血管拡張や丘疹・膿疱を伴いやすいとされます。
脂漏性皮膚炎の赤みには、黄色っぽく脂っぽいフケ(鱗屑)が伴うことが多いとされます。[1]小鼻の脇や眉間で皮がポロポロむける、頭皮にフケが増える、といった形で気づかれることがあります。
酒さでは、顔の中心のほてり感(フラッシング)や、赤みが引かずに続くこと、拡張した毛細血管が透けて見えること、進むとニキビに似た丘疹(ブツブツ)や膿疱が出ることがあるとされます。[3]脂っぽい鱗屑は通常は目立ちません。「フケのような鱗屑があるか」「ほてりや毛細血管が目立つか」は見分けの参考になります。ただし、確実な区別にはなりません。

原因の違い
脂漏性皮膚炎は皮脂と常在菌(マラセチア)などが関わる炎症、酒さは血管・免疫・神経などが関わる病態とされ、成り立ちが異なると考えられています。
脂漏性皮膚炎の背景には、皮脂の増加、皮膚に常在するマラセチアという真菌への反応、皮膚バリアの乱れなどが複合的に関わると考えられています。[1,2]くわしくは「脂漏性皮膚炎の原因とは?菌・皮脂・ストレスが重なるしくみ」で解説しています。
酒さの成り立ちは完全には分かっていませんが、血管の過剰な反応、自然免疫の関与、神経・血管の調節の乱れ、皮膚に住むニキビダニ(毛包虫・Demodex)の関与などが指摘されています。[3]原因の考え方が異なるため、ケアや治療の方向性も違ってきます。だからこそ、まず「どちらなのか」を医師に確認することが大切です。
酒さと脂漏性皮膚炎は同時に起こることもある
2つは併発することがあり、報告では酒さの患者の一部に顔や頭皮の脂漏性皮膚炎がみられたとされます。「どちらか一方」とは限りません。
酒さと脂漏性皮膚炎は無関係の病気とされますが、同じ人に同時にみられることは珍しくありません。ある報告では、酒さの患者のうち約26%に顔の脂漏性皮膚炎が、約28%に頭皮の脂漏性皮膚炎がみられたとされています。[4]つまり「どちらか一方に決まる」とは限らず、両方が重なっている可能性もあります。自己判断で片方だと決めつけてケアすると、うまくいかないことがあります。
受診の目安と、治療の考え方が違うこと
酒さと脂漏性皮膚炎では治療の考え方が異なるため、正確な診断が重要です。顔の赤みが続く・悪化する場合は皮膚科の受診をおすすめします。
脂漏性皮膚炎と酒さでは、選ばれる治療の考え方が異なります。自己判断で市販薬やスキンケアを続けても合わないことがあり、かえって刺激になる場合もあります。診断は、部位・見た目・経過などをもとにした臨床診断で行われ、はっきりしない時は皮膚科で詳しく調べます。[1]以下のような場合は、自己判断を続けず皮膚科の受診を検討してください。
- 顔の赤みが数週間以上続く、または繰り返している
- ほてりや毛細血管の目立ちが気になる
- 市販薬やスキンケアを試しても改善しない、または悪化した
- ブツブツ(丘疹)や膿をもったできものが混じっている
脂漏性皮膚炎側のケアや治療の順序は「脂漏性皮膚炎の治し方|皮膚科治療とセルフケアの正しい順序」、似た皮膚炎全体の見分けは「脂漏性皮膚炎と似た皮膚炎|見分け方とアトピー等との違い」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 酒さと脂漏性皮膚炎はどう見分ければいいですか?
A. 好発部位(皮脂の多い所か、顔の中心か)、黄色っぽい脂っぽい鱗屑(フケ)があるか、ほてりや毛細血管拡張を伴うか、が手がかりになります。ただし見た目が重なることがあり、自己判断では確実に区別できません。確定診断は皮膚科で行われます。
Q. 顔の赤みがあると、どちらの可能性が高いですか?
A. 一概には言えません。黄色っぽいフケを伴い頭皮や胸元にも出るなら脂漏性皮膚炎、顔の中心のほてり・持続する赤み・毛細血管拡張が目立つなら酒さが考えられますが、両方が併発していることもあります。医師の診察で確認することがすすめられます。
Q. 酒さと脂漏性皮膚炎は同時に起こりますか?
A. はい、併発することがあります。報告では、酒さの患者の一部に顔や頭皮の脂漏性皮膚炎がみられたとされています。「どちらか一方」と決めつけず、皮膚科で相談することが大切です。
Q. 市販薬を試してもよいですか?
A. 酒さと脂漏性皮膚炎では合う対処が異なるため、自己判断での使用は慎重にしてください。合わないものを続けると刺激になることもあります。まず診断を受け、必要に応じて医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
Q. どの科を受診すればよいですか?
A. 皮膚科です。顔の赤みが続く・悪化する・毛細血管やブツブツが気になる場合は、自己判断を続けず皮膚科を受診してください。酒さと脂漏性皮膚炎は治療の考え方が異なるため、正確な診断が役立ちます。
参考文献
- DermNet. Seborrhoeic dermatitis. https://dermnetnz.org/topics/seborrhoeic-dermatitis
- Borda LJ, Wikramanayake TC. Seborrheic Dermatitis and Dandruff: A Comprehensive Review. J Clin Investig Dermatol. 2015;3(2):10.13188/2373-1044.1000019. PMID: 27148560. PMC4852869
- DermNet. Rosacea. https://dermnetnz.org/topics/rosacea
- National Rosacea Society. Seborrheic Dermatitis and Rosacea. https://www.rosacea.org/patients/seborrheic-dermatitis
本記事は、診療ガイドラインや公的医療機関・医学文献などの信頼できる情報源をもとに、脂漏性皮膚炎ナビ編集部が作成しています。個々の症状の診断・治療については医療機関にご相談ください。
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