脂漏性皮膚炎のかゆみがつらいとき、「どうすれば抑えられるの?」と知りたい方に向けて、この記事では医療機関での治療から洗髪・日常ケアまで、かゆみを抑える具体的な方法を整理します。
脂漏性皮膚炎のかゆみを抑える基本は、医療機関での治療(抗真菌・抗炎症)と、適切な洗い方・掻かない工夫などの日常ケアの組み合わせです。かゆみだけを止めようとするより、おおもとの炎症と皮膚環境を整えることが近道とされています。[1,2,3]
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の代替となるものではありません。強い痛み・膿・出血・急速な悪化・眠れないほどのかゆみがある場合は、自己判断せず皮膚科を受診してください。
この記事の要点
- かゆみだけを止めるより、おおもとの炎症と皮膚環境を整えることが基本です。
- 炎症が強い・広い・繰り返す場合は、抗真菌・抗炎症など医療機関の治療が中心になります。
- 低刺激のシャンプーでやさしく洗い、洗いすぎ・こすりすぎを避けます。
- 掻かない工夫(爪を短く・冷やす)と悪化要因への対処が役立ちます。
- 眠れないほどの強いかゆみや改善しない場合は皮膚科を受診してください。
こんな人に
- 脂漏性皮膚炎のかゆみを今すぐやわらげたい方
- 頭皮のかゆみで洗い方やシャンプー選びに迷っている方
- かゆくてつい掻いてしまい悪化させている方
- 市販薬だけで対処してよいか迷っている方
そもそも脂漏性皮膚炎のかゆみがなぜ起こるのかは「脂漏性皮膚炎のかゆみはなぜ起こる?」で解説しています。あわせてお読みください。
脂漏性皮膚炎のかゆみを抑える基本の考え方
かゆみを抑える基本は「医療機関での治療」「正しい洗い方」「掻かない・悪化要因対策」の3つの柱を組み合わせることです。
脂漏性皮膚炎のかゆみは、皮脂・マラセチア・炎症・皮膚バリアの低下など複数の要因が関わると考えられています。[1]そのため、かゆみだけを止めようとするより、おおもとの炎症と皮膚環境を整えることが結果的な近道とされています。具体的には、次の3つの柱を組み合わせます。

医療機関での治療(抗真菌・抗炎症)
炎症が強い・広い・繰り返す場合は、抗真菌薬や炎症を抑える外用薬など、医師による治療が中心になります。抗真菌治療は脂漏性皮膚炎の中心的な治療とされています。
脂漏性皮膚炎の基本的な治療は、抗真菌薬(増えすぎたマラセチアのバランスを整える)と、炎症を抑える外用薬が中心とされています。[1,2,4]とくに顔や体の脂漏性皮膚炎では、抗真菌の外用が第一に用いられることが多いと報告されています。[4]かゆみが強い・広い・繰り返す場合は、自己判断のケアだけでなく、皮膚科での治療を検討することがすすめられます。
治療の全体像は「脂漏性皮膚炎の治し方」、市販薬の選び方は「脂漏性皮膚炎の市販薬」で解説しています。
正しい洗髪・洗顔(洗いすぎを避ける)
皮脂や汚れをためない一方で、洗いすぎ・こすりすぎはかえって刺激になります。低刺激の洗浄料をやさしく使い、すすぎ残しを避けることが基本です。
適切な洗浄は、脂漏性皮膚炎のケアの土台です。[2]ただし、かゆいからと強くこすったり、一日に何度も洗ったりすると、皮膚のバリアを傷めてかえってかゆみを強めることがあります。低刺激のシャンプー・洗顔料を使い、指の腹でやさしく洗い、すすぎ残しを避けましょう。頭皮のケアは「脂漏性皮膚炎のシャンプーの選び方」も参考にしてください。
掻破を防ぐ工夫・冷却
掻くと炎症とバリア障害が進み、かゆみの悪循環につながります。爪を短く保つ、清潔なタオルでやさしく冷やすなど、掻かない工夫が役立ちます。
掻くと皮膚が傷つき、炎症と皮膚バリアの低下が進んで、かえってかゆくなる悪循環(itch-scratch cycle)が起こりやすくなります。[5]これを防ぐため、爪を短く保つ、かゆいときは清潔なタオルなどでやさしく冷やす、刺激の少ない環境を整えるといった工夫が役立ちます。冷やしすぎや強い摩擦は逆効果なので注意しましょう。
悪化要因への対処(睡眠・汗・整髪料・寝具)
睡眠不足・汗・合わない整髪料・寝具の汚れなどはかゆみを悪化させる要因になりえます。できる範囲で整えることがかゆみ対策に役立ちます。
脂漏性皮膚炎のかゆみは、生活の要因でも左右されると考えられています。睡眠不足・ストレス・汗のかきっぱなし・合わない整髪料・寝具の汚れなどは、悪化要因になりえます。汗をかいたらやさしく拭く、整髪料が合わないと感じたら見直す、枕カバーを清潔に保つなど、できる範囲で整えましょう。生活習慣との関わりは「脂漏性皮膚炎と生活習慣」でも解説しています。
頭皮のかゆみが強いとき
頭皮のかゆみは原因によって対策が変わります。原因別のケアは専用記事で確認し、強い場合は受診を検討してください。
頭皮のかゆみは、脂漏性皮膚炎のほかにも乾燥・接触皮膚炎などさまざまな原因で起こります。原因によって対策が変わるため、原因別のケアは「頭皮のかゆみの原因と対策」で確認してください。強いかゆみや赤み、かさぶたが続く場合は、皮膚科の受診がすすめられます。
受診の目安
セルフケアで様子を見てよい場合もありますが、次のサインがあるときは自己判断を続けず皮膚科の受診をおすすめします。
- 赤み・かゆみが強い、ジュクジュクしている、出血している
- 強い痛み・膿がある、急速に悪化している、広範囲に広がっている
- 頭皮に脱毛や円形に広がる症状がある
- セルフケアや市販薬を続けても改善しない、または悪化している
- 眠りを妨げるほどの強いかゆみが続いている
よくある質問
Q. 脂漏性皮膚炎のかゆみをすぐ止める方法はありますか?
A. 一時的には清潔なタオルなどでやさしく冷やす方法がとられることがあります。ただし、根本的にかゆみを落ち着かせるには、おおもとの炎症と皮膚環境を整えることが必要とされています。かゆみが強い・続く場合は皮膚科の受診を検討してください。
Q. かゆいとき、冷やすのと温めるのはどちらがよいですか?
A. 一般に、温めると血流が増えてかゆみが強くなることがあるため、かゆいときは温めるより、清潔なタオルなどでやさしく冷やす方が向いているとされます。冷やしすぎや強い摩擦は刺激になるため避けましょう。
Q. 洗う回数は増やした方がよいですか?
A. 増やしすぎないほうがよいとされています。洗いすぎ・こすりすぎは皮膚のバリアを傷め、かえってかゆみを強めることがあります。低刺激の洗浄料でやさしく、適切な回数で洗うのが基本です。
Q. 市販のかゆみ止めを塗ってもよいですか?
A. 一時的に使う選択肢はありますが、脂漏性皮膚炎そのものの治療は抗真菌・抗炎症が中心です。かゆみ止めを塗っても改善しない・悪化する場合は、診断の見直しが必要なことがあるため受診をおすすめします。
Q. かゆくて眠れません。どうすればよいですか?
A. 眠りを妨げるほどの強いかゆみは、我慢せず皮膚科に相談することがすすめられます。掻かない工夫や寝具・室温を整えることも役立ちます。自己判断で市販の飲み薬を続ける前に、薬剤師や医師に相談してください。
Q. ストレスでかゆみは強くなりますか?
A. ストレスや睡眠不足はかゆみや脂漏性皮膚炎の悪化要因になりえると考えられています。生活リズムを整えることはケアの一部として役立ちますが、それだけで解決しない場合は治療を含めた対応が必要です。
参考文献
- Borda LJ, Wikramanayake TC. Seborrheic Dermatitis and Dandruff: A Comprehensive Review. J Clin Investig Dermatol. 2015;3(2). PMID: 27148560. PMC4852869
- DermNet. Seborrhoeic dermatitis. dermnetnz.org
- MSDマニュアル プロフェッショナル版. 脂漏性皮膚炎. MSD Manual
- Clark GW, Pope SM, Jaboori KA. Diagnosis and treatment of seborrheic dermatitis. Am Fam Physician. 2015;91(3):185-190. PMID: 25822272. AAFP
- Rinaldi G. The Itch-Scratch Cycle: A Review of the Mechanisms. Dermatol Pract Concept. 2019;9(2):90-97. PMID: 31106010. PMC6502296
本記事は、診療ガイドラインや公的医療機関・医学文献などの信頼できる情報源をもとに、脂漏性皮膚炎ナビ編集部が作成しています。個々の症状の診断・治療については医療機関にご相談ください。
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