KADASONの日本版と米国版はどう違う?|成分・処方・制度の比較

この記事の監修者

久保木彰一

久保木彰一

ワイズ製薬株式会社  薬剤師

昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。

KADASONは日本と米国の両方で販売されていますが、名称が同じでも中身は別の製品です。全成分を突き合わせると、共通しているのは19成分中11成分で、洗浄成分の骨格も有効成分の濃度も異なります。このページでは、日本版と米国版の処方と制度の違いを、公式の表示と公的データベースをもとに整理します。

※本記事は製品の表示情報にもとづく比較であり、特定の製品の効果を保証するものではありません。症状が続く・悪化する場合は皮膚科を受診してください。

この記事の要点

  • 同じKADASONでも、日本版と米国版は処方が異なります。全成分のうち完全に一致するのは11成分です。
  • 最も大きな違いはサリチル酸の濃度と法的な区分です。日本版は0.2%以下で医薬部外品、米国版は1.80%で米国のOTC医薬品です。
  • 日本版は抗炎症と角質ケアの2本立て、米国版は角質をやわらげて鱗屑(フケ)を落とす設計です。
  • 洗浄成分も異なります。日本版はアミノ酸系、米国版はイセチオン酸系とオレフィンスルホン酸系の組み合わせです。
  • 効能の書き方が違うのは、日本と米国で制度が違うためです。米国のラベル表示が日本の製品に当てはまるわけではありません。

こんな人に

  • 日本版と米国版のKADASONの違いを知りたい方
  • 成分表示を読み比べたい方
  • 海外版を個人輸入しようか迷っている方
  • なぜ効能の書き方が国によって違うのか知りたい方

ブランドとしての海外展開の経緯は「KADASONの海外展開」、日本と米国の脂漏性皮膚炎をめぐる状況の違いは「日本とアメリカにおける脂漏性皮膚炎の違い」で解説しています。

基本スペックの違い

この章の要点

規制区分・有効成分・洗浄成分・製造国のすべてが異なります。名称が同じでも別の製品として扱う必要があります。

項目 日本版 米国版
規制区分 医薬部外品(薬機法) OTC医薬品(FDAの基準書 M032 に準拠)
販売元 ワイズ製薬株式会社 Ys Pharma Inc.(米国ニューヨーク州)
有効成分 グリチルリチン酸ジカリウム、サリチル酸 サリチル酸 1.80%
サリチル酸の濃度 0.2%以下 1.80%
全成分数 19成分(有効成分2+その他17) 25成分(有効成分1+添加物24)
主な洗浄成分 アミノ酸系(グリシン系・β-アラニン系) イセチオン酸系2種+オレフィンスルホン酸Na
内容量 250mL 237mL(8 fl oz)
製造国 日本 米国

米国版は米国の医薬品ラベル公開サイト DailyMed に登録されており、有効成分と効能が公開されています。日本版は医薬部外品として、承認された有効成分が表示されています。

最大の違いはサリチル酸の濃度

この章の要点

サリチル酸は日本版が0.2%以下、米国版が1.80%です。濃度が違えば、処方の設計思想も変わります。

両方に配合されているサリチル酸ですが、濃度が大きく異なります。日本版は0.2%以下で、抗炎症成分であるグリチルリチン酸ジカリウムと組み合わせて使われています。米国版は1.80%で、これが唯一の有効成分です。

サリチル酸は角質をやわらかくする働きを持つ成分です。サリチル酸とはで基礎を解説しています。米国版は高い濃度のサリチル酸で鱗屑(フケ)を浮かせて落とすことを主な働きとし、日本版は抗炎症と角質ケアを組み合わせる設計になっています。

グリチルリチン酸ジカリウムは、日本版では有効成分ですが、米国版では有効成分ではなく添加物として配合されています。この成分についてはグリチルリチン酸と脂漏性皮膚炎、抗炎症成分全般は抗炎症成分とはをご覧ください。

KADASON日本版と米国版の有効成分の考え方の違いを示した図
図:有効成分の考え方の違い。日本版はグリチルリチン酸2Kとサリチル酸の2種、米国版はサリチル酸1.80%の1種のみです。日本版は抗炎症と角質ケアの2本立て、米国版は角質をやわらげて鱗屑を落とす設計です。

成分はどれくらい共通しているのか

この章の要点

完全に一致するのは11成分。役割が同じで原料が違うものが4組、片方だけの成分が計14あります。

日本版19成分、米国版25成分を突き合わせると、次のように分かれます。

  • 共通(11成分):精製水、サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウム、エタノール、プロパンジオール、BG、チャエキス、レイシエキス、ポリクオタニウム-10、PEG-120メチルグルコースジオレエート、フェノキシエタノール
  • 類似(4組):役割は同じでも原料が異なるもの。ベタイン系の両性界面活性剤、脂肪酸アミド、ダイズ由来のエキス、シロキクラゲ由来の保湿成分
  • 日本版のみ(4成分):アミノ酸系の主洗浄剤2種、泡を安定させる成分、pH調整のクエン酸
  • 米国版のみ(10成分):イセチオン酸系の主洗浄剤、オレフィンスルホン酸Na、グリセリン、アロエベラ葉汁、カチオン化グアーガムなど

基剤や保湿成分、エキス類は共通していますが、洗浄成分はほとんど重なりません。ここが「別の製品」といえる最大の理由です。

KADASON日本版と米国版の全成分の重なりを示した図
図:全成分の重なり。共通は11成分、役割が同じで原料が違う類似が4組、日本版だけが4成分、米国版だけが10成分です。日本版は全19成分、米国版は全25成分で、洗浄成分の骨格が異なります。

洗浄成分の設計が違う

この章の要点

日本版はアミノ酸系で低刺激寄り、米国版は洗浄力と泡立ちを両立させる組み合わせです。

日本版の主洗浄剤は、グリシン系とβ-アラニン系のアミノ酸系界面活性剤です。さっぱりとした洗い上がりで刺激が低めとされ、弱酸性でも泡立つ特徴があります。pHはクエン酸で弱酸性に調整されています。

米国版はイセチオン酸系2種にオレフィンスルホン酸Naを組み合わせています。イセチオン酸系はクリーミーな泡でマイルドとされ、オレフィンスルホン酸Naは泡立ちと洗浄力を担います。サリチル酸1.80%によって酸性に傾くため、アルカリ側の成分でpHを調整しています。

また米国版にはグリセリン、アロエベラ葉汁、カチオン化グアーガムが加わっており、毎日使っても乾きにくい設計になっています。洗浄成分の基礎は洗浄成分の基礎と選び方で解説しています。

なぜ効能の書き方が違うのか

この章の要点

日本と米国で制度が異なるためです。米国のラベル表示が、日本の製品に当てはまるわけではありません。

米国版のラベルには、効能として「脂漏性皮膚炎の症状の緩和」にあたる記載があります。これは米国のOTC医薬品の基準書にもとづくもので、定められた有効成分と濃度の範囲で製品を作り、決められた形式で表示する仕組みです。

一方、日本の医薬部外品では、承認された効能の範囲で表示することになっており、疾患名を効能として掲げることはできません。日本版KADASONの有効成分はグリチルリチン酸ジカリウムとサリチル酸で、表示できる範囲もこの承認にもとづきます。

つまり、効能の書き方の違いは製品の優劣ではなく、国ごとの制度の違いによるものです。米国版の表示を、日本で販売されている製品の効能として受け取らないようご注意ください。

海外版を個人輸入する前に

この章の要点

海外版は日本国内で品質や安全性が確認されたものではありません。判断に迷う場合は皮膚科に相談してください。

米国版は米国の制度にもとづいて販売されている製品で、日本国内での承認を受けたものではありません。個人輸入は自己責任となり、成分や濃度が日本で流通している製品と異なること、トラブルが起きた場合に国内の救済制度の対象にならないことに注意が必要です。

サリチル酸1.80%は日本の医薬部外品より高い濃度です。頭皮の状態によっては刺激になることもあります。フケや赤み、かゆみが続いている場合は、製品を探す前に状態を確認するほうが近道です。

  • 2週間ほどケアを続けても変化がない
  • 赤みが強い、掻いて傷ができている
  • 症状をくり返している

こうした場合は皮膚科を受診してください。症状の見分けは脂漏性皮膚炎のセルフチェック、治療とセルフケアの順序は脂漏性皮膚炎の治し方で解説しています。シャンプーの選び方そのものは脂漏性皮膚炎のシャンプーの選び方をご覧ください。

よくある質問

Q. 日本版と米国版のKADASONは同じ商品ですか?

A. 同じ商品ではありません。全成分のうち完全に一致するのは11成分で、主な洗浄成分は重なりません。有効成分も日本版は2種、米国版はサリチル酸1.80%の1種のみで、法的な区分も異なります。

Q. サリチル酸の濃度はどれくらい違いますか?

A. 日本版は0.2%以下、米国版は1.80%です。米国版は高い濃度のサリチル酸で鱗屑(フケ)を落とすことを主な働きとし、日本版は抗炎症成分と組み合わせる設計になっています。

Q. 米国版のほうが効くということですか?

A. 濃度が高いことと、その人に合うかどうかは別の話です。濃度が高いほど刺激になる場合もあります。また効能の書き方の違いは製品の優劣ではなく、日本と米国の制度の違いによるものです。

Q. 米国版を個人輸入しても大丈夫ですか?

A. 個人輸入は自己責任となります。日本国内で品質や安全性が確認された製品ではなく、トラブルが起きた場合に国内の救済制度の対象になりません。判断に迷う場合は皮膚科にご相談ください。

Q. どちらを選べばよいですか?

A. 日本にお住まいの方は、日本国内で流通している製品を選ぶのが基本です。どの製品を使うかより、症状が続く場合に皮膚科で状態を確認することのほうが大切です。

出典

  1. KADASON薬用スカルプシャンプー 商品ページ(ワイズ製薬オンライン)ysmd-online.jp
  2. KADASON US Official Website ys-ph.com
  3. DailyMed「KADASON MEDICATED- salicylic acid shampoo」米国国立医学図書館 dailymed.nlm.nih.gov
  4. 21 CFR Part 358 Subpart H(米国連邦規則集)ecfr.gov

本記事は、日米それぞれの公式表示および公的データベースの記載にもとづいて作成しています(2026年9月時点)。製品の仕様は変更される場合があるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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