この記事の監修者
久保木彰一
ワイズ製薬株式会社 薬剤師
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。
頭皮のフケやかゆみ、赤みが続くと「マッサージで血行を良くすれば楽になるのでは」と考える方は少なくありません。一方で、脂漏性皮膚炎で炎症が起きている頭皮を強くもんだり擦ったりすると、かえって刺激になることもあります。この記事では、頭皮マッサージを「治療」ではなく血行や心地よさの観点でとらえ直し、症状が強いときの判断、洗髪時のやさしいやり方、避けたい行為、受診を考える目安までを、薬剤師監修のもと整理します。自己判断でケアを続ける前に、まずは正しい考え方を確認していきましょう。
この記事の目次
この記事の結論
- 頭皮マッサージは脂漏性皮膚炎を治すものではなく、血行や心地よさの観点で取り入れる補助的なセルフケアとされています。
- 赤み・痛み・じくじく・かさぶたなど炎症が強いときは控え、落ち着いているときに指の腹でやさしく行うのが基本です。
- 数週間以上症状が続く・悪化する場合は、自己ケアを続けず皮膚科の受診を検討してください。
こんな人に
- フケ・かゆみ対策に頭皮マッサージを取り入れてよいか迷っている方
- 炎症がある頭皮をマッサージしてよいか判断したい方
- 頭皮を傷つけないやさしいやり方や注意点を知りたい方
- セルフケアを続けるか受診すべきか目安を知りたい方
頭皮マッサージと脂漏性皮膚炎の関係
頭皮マッサージ自体が脂漏性皮膚炎を治す・発毛させる効果を持つわけではなく、血行や心地よさの観点で取り入れる補助的な習慣で、医薬品による治療や医師の診断に置き換わるものではないとされています。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い頭皮で常在菌であるマラセチアが関与し、フケ・かゆみ・赤み・かさぶたなどがくり返し起こりやすい状態です。原因や全体像については「脂漏性皮膚炎の原因」や「頭皮の脂漏性皮膚炎」もあわせてご覧ください。
ここで大切なのは、頭皮マッサージそのものが脂漏性皮膚炎を「治す」「発毛させる」「改善する」といった効果を持つわけではないという点です。頭皮マッサージは一般に、頭皮や周辺の血行をうながし、こわばった部分をほぐして心地よさを得るためのセルフケアとして知られています。あくまで血行や心地よさの観点から取り入れるものであり、医薬品による治療や医師の診断に置き換わるものではありません。
脂漏性皮膚炎のケアは、抗真菌成分を含む外用薬やシャンプーなど、医療機関で処方・指導される方法が基本になります。マッサージはその治療を妨げない範囲で、頭皮をいたわりながら行う「補助的な習慣」と位置づけて考えるのが安全です。
炎症があるとき、頭皮マッサージは行ってよいか
赤み・痛み・じくじく・かさぶたなど炎症のサインが強いときは控えるのが基本で、比較的落ち着いているときも、しみる・かゆみが増すと感じたらすぐ中止します。
結論から言うと、赤み・痛み・じくじく・かさぶたなど炎症のサインが強いときは、頭皮マッサージは控えるのが基本です。炎症で敏感になっている頭皮を指でもんだり動かしたりすると、物理的な刺激が加わり、ひりつきやかゆみが増す、かさぶたがはがれて悪化する、といったことが起こりやすくなります。
控えたほうがよい頭皮の状態
- 赤みやヒリヒリとした痛みがはっきりある
- 引っかいた跡やかさぶた、ジュクジュクした部分がある
- 触れるとしみる、または出血しやすい
- かゆみが強く、すでに掻きこわしている
こうした状態のときは、マッサージで「血行を良くしよう」とするよりも、まずは刺激を減らして頭皮を休ませることが優先です。症状が強い時期にどんなケアを避けるべきかは「脂漏性皮膚炎でやってはいけないこと」も参考になります。
比較的落ち着いているとき
赤みや痛みがなく、フケやかゆみも軽い、という比較的落ち着いた状態であれば、後述する「やさしいやり方」の範囲で取り入れても構いません。ただしその場合も、行ってみて少しでもしみる・かゆみが増すと感じたら、すぐに中止してください。自分の頭皮の状態を見極めにくいときは「症状セルフチェック」で現在の状態を整理してみるのもよいでしょう。
やさしい頭皮マッサージの考え方
「強さ」より「やさしさ」が大切で、気持ちよいと感じる手前くらいの弱い圧を目安に、指の腹を使い、こするのではなく頭皮ごと動かし、短時間で切り上げます。
頭皮マッサージで最も大切なのは「強さ」ではなく「やさしさ」です。脂漏性皮膚炎のある頭皮は刺激に弱くなっていることが多いため、気持ちよいと感じる手前くらいの弱い圧を目安にします。痛気持ちいい、ぐいぐい押す、といった強さは不要です。
基本となる3つの考え方
- 指の腹を使う:爪を立てず、指のはら全体を頭皮にあて、面でやさしく支えるように触れます。
- こするのではなく動かす:頭皮の上で指をすべらせて摩擦を起こすのではなく、頭皮ごとゆっくり小さく動かすイメージです。
- 短時間で十分:長く続けるほど良いわけではありません。短い時間で切り上げ、頭皮の負担を最小限にします。
力を込めて長く行うほど効果が高まる、という考え方は脂漏性皮膚炎の頭皮には向きません。あくまで血行や心地よさの観点で、頭皮をいたわる時間として取り入れてください。香りや使用感の好みで選ぶシャンプーについては「脂漏性皮膚炎とシャンプー選び」も合わせてご覧ください。
洗髪時にできるやさしいやり方
泡があってすべりが良い洗髪時は摩擦が少なく行いやすく、ぬるま湯で予洗いし、泡で包むように指の腹でやさしく洗い、すすぎ残しがないよう流すのが目安です。
頭皮マッサージを取り入れるなら、シャンプーの泡があってすべりが良い洗髪時が、摩擦が少なく比較的やさしく行いやすいタイミングです。乾いた頭皮を直接ぐりぐりとこするより、指がすべる状態のほうが負担を抑えられます。
洗髪時の手順の一例
- まずぬるま湯で髪と頭皮を十分に予洗いし、余分な皮脂や汚れを落とします。
- シャンプーをよく泡立て、泡を頭皮全体にいきわたらせます。
- 指の腹を使い、生え際から頭頂部に向かって、頭皮を小さく動かすようにやさしく洗います。
- こすらず、泡で包むようにして、痛みやしみる感覚がないか確認しながら行います。
- すすぎ残しがないよう、ぬるま湯でていねいに洗い流します。
お湯の温度とすすぎ
熱すぎるお湯は頭皮の負担になりやすいため、ぬるま湯を目安にします。シャンプーやすすぎ残しは刺激の原因になりうるため、生え際や耳のうしろまでしっかり流してください。洗いすぎ・こすりすぎは禁物で、汚れを落とすことと頭皮を傷つけないことの両立を意識します。日常の細かな習慣の見直しは「やってはいけないこと」も参考にしてください。
力の入れすぎ・爪を立てる行為への注意
強い圧や摩擦、爪を立てる行為は敏感な頭皮の物理的ダメージになり、かゆみや赤みが増す・かさぶたが傷つくことがあるため避け、ヒリヒリなどのサインに注意します。
脂漏性皮膚炎の頭皮で特に気をつけたいのが、力の入れすぎと、爪を立てる行為です。「しっかり刺激したほうが血行が良くなる」と考えて強くもむ方がいますが、炎症のある頭皮では逆効果になりかねません。
なぜ強い刺激が向かないのか
強い圧や摩擦は、敏感になった頭皮にとって物理的なダメージになります。かさぶたを無理にはがしたり、皮膚の表面を傷つけたりすると、かゆみや赤みが増したり、治りかけの部分が再び荒れたりすることがあります。また、爪を立てて掻くようなマッサージは、ひっかき傷をつくり、そこから二次的なトラブルにつながることもあります。
避けたい力加減のサイン
- マッサージ中や後にヒリヒリ・ピリピリする
- 指に皮脂やかさぶた、はがれた皮膚がつく
- かゆみがかえって強くなる
- 赤みが増したように感じる
こうしたサインがあれば、力が強すぎる、もしくはそもそもマッサージを行うべき状態ではない可能性があります。かゆいときに掻く・こするといった習慣の見直しについては「頭皮の脂漏性皮膚炎」も参考にしてください。
頭皮マッサージでやってはいけないこと
炎症が強いときに行う、爪を立てて掻く、強い力で長時間もむ、かさぶたを無理にはがす、器具で強くこする、違和感を我慢して続ける、といった習慣は避けるべきとされています。
良かれと思って続けている習慣が、結果的に頭皮への負担になっていることがあります。脂漏性皮膚炎の頭皮で避けたいマッサージ習慣をまとめます。
- 炎症が強いときに行う:赤み・痛み・じくじくがあるときは中止する。
- 爪を立ててガリガリ掻く:傷をつくり、かゆみや炎症を悪化させやすい。
- 強い力で長時間もむ:刺激が蓄積し、頭皮の負担になる。
- かさぶたを無理にはがす:治りかけの部分を傷つけ、ぶり返しの原因になる。
- ブラシや器具で強くこする:硬い道具での過度な刺激は避ける。
- 痛みやしみる感覚を我慢して続ける:違和感はやめるサインととらえる。
「効果を出そう」と強さや回数を増やすのではなく、頭皮の様子を見ながら無理のない範囲にとどめることが、結果的に頭皮をいたわることにつながります。
受診を考えたほうがよいサイン
症状が数週間以上続く、かさぶたやじくじくが広がる、抜け毛が増える、セルフケアで改善しない・悪化するときは、皮膚科の受診を検討するのが目安とされています。
頭皮マッサージはあくまでセルフケアの一つであり、症状そのものへの対処は医療機関での診断と治療が基本です。次のようなサインがあるときは、自己ケアを続けるより皮膚科の受診を検討してください。
- 赤み・かゆみ・フケが数週間以上続き、良くならない
- かさぶたやジュクジュクした部分が広がってきた
- 抜け毛が増えてきたように感じる
- 市販のケアやシャンプーを試しても改善しない、または悪化する
- 痛みや出血、強いかゆみで日常生活に支障が出ている
脂漏性皮膚炎は、抗真菌薬や外用薬など医師の処方による治療で経過を見ていくことが多い疾患です。治療の進め方の全体像は「脂漏性皮膚炎の治し方」で、現在の状態の整理は「セルフチェック」でご確認いただけます。マッサージは治療と並行して、頭皮をいたわる範囲で取り入れるものと考えましょう。
※本記事は脂漏性皮膚炎と頭皮ケアに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある場合や、セルフケアで改善しない場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
よくある質問
Q. 頭皮マッサージで脂漏性皮膚炎は治りますか?
A. 頭皮マッサージそのものが脂漏性皮膚炎を治すわけではありません。マッサージは血行や心地よさの観点で取り入れるセルフケアであり、症状への対処は医師の診断と治療が基本です。症状が続く場合は皮膚科を受診してください。
Q. 炎症があるときもマッサージしてよいですか?
A. 赤み・痛み・じくじく・かさぶたなど炎症が強いときは、頭皮マッサージは控えるのが基本です。刺激でかゆみや赤みが増すことがあるため、まずは頭皮を休ませ、必要に応じて受診を検討してください。
Q. マッサージはどのくらいの強さで行えばよいですか?
A. 「気持ちよいと感じる手前」くらいの弱い圧が目安です。指の腹を使い、こするのではなく頭皮ごとやさしく動かします。痛い・しみると感じたら強すぎるサインなので中止してください。
Q. いつ行うのがよいですか?
A. シャンプーの泡があってすべりが良い洗髪時は、摩擦が少なくやさしく行いやすいタイミングです。乾いた頭皮を直接こするより負担を抑えられます。ただし炎症が強いときは行わないでください。
Q. 爪を立ててマッサージしてもよいですか?
A. 爪を立てる行為は避けてください。ひっかき傷ができ、かゆみや炎症が悪化したり、二次的なトラブルにつながったりすることがあります。必ず指の腹を使ってください。
Q. ブラシや頭皮マッサージ器を使ってもよいですか?
A. 脂漏性皮膚炎で頭皮が敏感なときは、硬いブラシや器具で強くこする使い方は避けたほうが無難です。使う場合もやさしく、痛みやしみる感覚があればすぐに中止してください。
Q. どんなときに病院へ行けばよいですか?
A. 数週間以上症状が続く、かさぶたやじくじくが広がる、抜け毛が増える、セルフケアで改善しない・悪化する、といったときは皮膚科の受診を検討してください。脂漏性皮膚炎は医師の治療で経過を見ることが多い疾患です。
Q. マッサージの時間や回数は長く・多いほどよいですか?
A. 長く続けるほど良いわけではありません。力を込めて長時間行うと刺激が蓄積し、頭皮の負担になりやすいとされています。短い時間で切り上げ、頭皮の様子を見ながら無理のない範囲にとどめるのが目安です。
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