脂漏性皮膚炎の日焼け止め選び|悪化させないための3つの方法とNG成分

この記事の監修者

久保木彰一

久保木彰一

ワイズ製薬株式会社  薬剤師

昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。

「日焼け止めを塗ると、決まって翌日に赤みや痒みが出る……」

「脂漏性皮膚炎だけど、紫外線対策はしたほうがいいの?」

こんにちは。ワイズ製薬の薬剤師です。日々、皮膚トラブルを抱える多くの方からご相談をいただきますが、特にこの「脂漏性皮膚炎と日焼け止めの関係」については、非常に多くの方が誤った知識で症状を悪化させてしまっています。

脂漏性皮膚炎の肌は、バリア機能が低下し、非常にデリケートな状態。しかし、「何も塗らない」という選択は、実は最も危険です。

この記事では、脂漏性皮膚炎の方が絶対に知っておくべき「日焼け止めの選び方」を、成分レベルで徹底解説します。この記事を読み終える頃には、もうドラッグストアの棚の前で迷うことはなくなりますよ。


1. なぜ脂漏性皮膚炎に「紫外線」は天敵なのか?

「脂漏性皮膚炎は菌(マラセチア菌)が原因なら、日光消毒すればいいのでは?」という質問をいただくことがありますが、これは大きな間違いです。

紫外線が脂漏性皮膚炎を悪化させる理由は主に2つあります。

① 皮脂の「酸化」が炎症をブーストさせる

脂漏性皮膚炎の主な原因は、過剰に分泌された皮脂をマラセチア菌が分解し、その代謝物(遊離脂肪酸)が皮膚を刺激することです。

ここに紫外線が当たると、皮脂が**「過酸化脂質」**へと変化します。この過酸化脂質は非常に刺激が強く、肌の炎症を劇的に悪化させる「火に油を注ぐ」存在なのです。

② バリア機能のさらなる低下

紫外線を浴びることで、肌の角質層から水分が奪われ、バリア機能が破壊されます。もともとバリアが壊れている脂漏性皮膚炎の肌に追い打ちをかけることになり、わずかな刺激(汗や摩擦)でも激しい痒みや赤みを引き起こすようになります。


2. 失敗しない!日焼け止め選びの「3つの鉄則」

薬剤師の視点から、脂漏性皮膚炎の方が日焼け止めを選ぶ際に必ずチェックすべきポイントは以下の3点です。

鉄則1:紫外線吸収剤「不使用」を選ぶ(ノンケミカル)

日焼け止めには大きく分けて「吸収剤」と「散乱剤」の2種類があります。

  • 紫外線吸収剤: 肌の上で化学反応を起こして熱に変換する。刺激が強く、脂漏性皮膚炎の敏感な肌には「火照り」や「赤み」の原因に。

  • 紫外線散乱剤: 肌の表面で紫外線を反射させる(酸化チタン、酸化亜鉛など)。化学反応を起こさないため、刺激が極めて少ない。

必ずパッケージの**「ノンケミカル」または「紫外線吸収剤フリー」**の表記を確認してください。

鉄則2:「オイルフリー」または「酸化しにくい油剤」を選ぶ

ここが一番の落とし穴です。脂漏性皮膚炎の原因菌であるマラセチア菌は、特定の油分(トリグリセリドなど)をエサにして増殖します。

多くの日焼け止めに含まれる植物油脂(オリーブ油、アーモンド油など)は、実は菌の格好のエサになります。

  • 推奨: オイルフリー、またはエステル油、シリコーンオイル主体のもの。

  • NG: 天然植物オイルが高配合されているもの。

鉄則3:「石鹸で落ちる」が絶対条件

強力な日焼け止めを落とすために「強いクレンジング」を使うこと。これが脂漏性皮膚炎を悪化させる隠れた原因です。ゴシゴシ洗いは厳禁。ぬるま湯と石鹸だけでスッと落ちるタイプを選びましょう。


3. 成分表でチェック!避けるべきNG成分リスト

ドラッグストアで裏面を見たとき、以下の成分が上位(最初の方)に書かれているものは避けるのが無難です。

成分カテゴリー 避けるべき具体的な成分名 理由
紫外線吸収剤 メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾン-3 化学反応による刺激・接触皮膚炎のリスク。
アルコール エタノール 揮発時に肌の水分を奪い、乾燥を加速させる。
合成香料 香料 炎症部位への刺激になりやすく、アレルギーを誘発。
特定の防腐剤 パラベン(高濃度な場合) 敏感な時期には刺激を感じるケースがある。

4. SPFとPAの「適正値」を知る(高ければ良いわけではない)

「SPF50+ / PA++++」という最強クラスを毎日使っていませんか?

実は、数値が高くなればなるほど、肌への密着性を高めるための成分や、散乱剤の配合量が増え、肌への負担(負担感・乾燥感)が増します。

脂漏性皮膚炎の方への推奨値はこちらです。

  • 日常生活(通勤・買い物): SPF20〜30 / PA++

  • 屋外での活動(レジャー): SPF50 / PA+++(ただし、短時間で落とすこと)

普段使いならSPF30前後で十分です。それよりも「2〜3時間おきに塗り直す」ことの方が、防御効果としては重要です。


5. 薬剤師が教える「悪化させない」塗り方・落とし方のコツ

どんなに良い製品を選んでも、使い方が悪いと逆効果です。

塗り方のコツ:叩き込まず「置く」

指の腹を使い、擦るのではなく**「優しくプレスするように」**肌に乗せていきます。摩擦は炎症部位の角質を剥がしてしまい、鱗屑(皮剥け)をひどくさせます。

落とし方のコツ:32度のぬるま湯

熱すぎるお湯は必要な皮脂まで奪い、乾燥による皮脂の過剰分泌を招きます。体温より少し低い32〜34度程度のぬるま湯で、洗顔料をたっぷりと泡立てて、泡をクッションにして洗いましょう。


6. よくあるQ&A:脂漏性皮膚炎とサンケア

Q1. 日焼け止めを塗ると痒くなる時は?

A. おそらく成分への反応か、落とし残しによるものです。一度使用を中止し、パウダータイプ(日焼け止めパウダー)を試してみてください。液体タイプよりも油分が少なく、脂漏性皮膚炎の方には相性が良いことが多いです。

Q2. 化粧下地と日焼け止め、どちらを優先すべき?

A. 日焼け止め効果のある低刺激な化粧下地を1本で済ませるのがベストです。重ね塗りの工程を減らすことで、肌への摩擦回数を物理的に減らすことができます。

Q3. 日焼けした後に皮が剥けてきたら?

A. それは脂漏性皮膚炎の症状なのか、日焼けによる皮剥けなのか判断が難しい状態です。無理に剥がさず、まずは徹底した保湿(ヘパリン類似物質など)を行い、赤みが強い場合は早めに皮膚科を受診してください。


7. まとめ:正しい知識があなたの肌を守る

脂漏性皮膚炎と付き合っていく上で、日焼け止めは「毒」にも「薬」にもなります。

  1. 紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)

  2. オイルフリー(または菌のエサにならない油剤)

  3. 石鹸落ち

この3つを基準に選ぶことで、紫外線のダメージをブロックしながら、肌の炎症を穏やかに保つことができます。

ワイズ製薬では、お一人おひとりの肌悩みに寄り添った情報発信を続けています。もし「自分に合う成分がわからない」といった不安があれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。

あなたの肌が、明日もっと健やかでありますように。

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