【汗ばむ季節のケア】薬剤師が教える、今日からできる対策

この記事の監修者

久保木彰一

久保木彰一

ワイズ製薬株式会社  薬剤師

昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。

汗ばむ日が増え、半袖で過ごせる日も出てきました。新しい季節の訪れは本来うれしいものですが、脂漏性皮膚炎と向き合う方にとっては、少し身構えてしまう時期でもあります。

  • 首や頭皮が汗で蒸れると、決まってかゆみがぶり返す。
  • 鏡を見るたびに、小鼻や眉間の赤みが気になる。
  • 冬より念入りに洗っているのに、フケや皮脂が止まらない。

そんな症状に心当たりはないでしょうか。気温が上がるこの時期、脂漏性皮膚炎はなぜ悪化しやすいのか。薬剤師の視点から、科学的な仕組みと今日からできるセルフケアを解説します。


1. 気温が上がると脂漏性皮膚炎が悪化しやすい理由

皮脂分泌量は気温にともなって増える

皮膚の皮脂分泌量は、気温が1℃上昇すると約10%増加するとされています。春から夏にかけて気温が急に上がるこの時期、皮脂の分泌量は冬の1.5倍以上になることも珍しくありません。脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位(頭皮、Tゾーン、耳の後ろ、前胸部など)に出やすい疾患ですから、皮脂の増加はそのまま症状の悪化につながりやすくなります。

マラセチア菌にとっての好条件が整う

脂漏性皮膚炎の発症には、マラセチア菌(皮膚に常在するカビの一種)が深く関わっているとされています。この菌は皮脂を分解し、遊離脂肪酸という物質を作り出します。この遊離脂肪酸が皮膚に炎症を引き起こすと考えられています。

マラセチア菌は皮脂と湿度を好むため、汗ばむ季節はまさに「繁殖に最適な環境」が整ってしまいます。冬は乾燥で落ち着いていた症状が、春から夏にぶり返すのはこのためです。


2. 汗をかいた後の正しい対処法

拭き取り方ひとつで、皮膚への負担が変わる

汗は放置すると、蒸発したあとに塩分やアンモニアが皮膚に残り、皮膚バリアを刺激することが知られています。しかし、ゴシゴシ拭くと今度は物理的な摩擦で炎症を悪化させてしまいます。

おすすめは、やわらかい綿素材のタオルや濡れタオルで、押さえるように汗を吸い取る方法です。頭皮の汗は指の腹でそっとタオルを押し当てるイメージで。顔はティッシュやガーゼで軽く押さえるだけでも十分効果があります。

シャンプーは「早すぎず遅すぎず」が理想

汗をかいたあとすぐにシャンプーをしたくなりますが、皮膚が上気して赤みがある状態で洗浄すると、かえって刺激になることがあります。帰宅後は10〜15分ほどクールダウンしてから、ぬるま湯(38℃以下)で洗髪するのが理想です。

熱いお湯は必要な皮脂まで奪い、その反動で皮脂の過剰分泌を招くことがあります。気持ちいいからといって42℃以上の熱いシャワーを頭にあて続けるのは、脂漏性皮膚炎の方にはおすすめできません。


3. 日常生活で悪化を防ぐ小さな習慣

寝具と衣類を見直す

汗をかく時期は、枕カバーやシーツに皮脂と汗、そしてマラセチア菌が蓄積しやすくなります。週に1〜2回の洗濯を習慣にしましょう。枕カバーは吸湿性・速乾性に優れた綿100%や、シルク、リネンなどがおすすめです。合成繊維は蒸れやすく、皮膚を刺激することがあります。

帽子をかぶる機会が増える季節ですが、通気性の悪い帽子を長時間かぶり続けるのも蒸れの原因になります。こまめに脱いで風を通したり、汗をかいたら内側をタオルで拭く習慣をつけましょう。

食事でビタミンB群を意識する

ビタミンB2・B6は皮脂の代謝をサポートすることが知られています。納豆、卵、レバー、マグロ、バナナなどに多く含まれます。外食や冷たい麺類が続くとどうしても不足しがちなので、意識して取り入れましょう。

また、アルコールや糖質の過剰摂取は皮脂分泌を増やす要因になるとされています。ビアガーデンや冷たい甘い飲み物がおいしい季節ですが、ほどほどが肝心です。


よくある質問

Q1. 制汗剤を頭皮に使ってもいいですか?

A. 頭皮専用として販売されている製品以外は避けたほうが無難です。一般的な脇用などの制汗剤は、皮膚バリアへの刺激成分が含まれていることがあり、炎症を悪化させる可能性があります。汗対策は拭き取りと洗髪、通気性のある帽子などの物理的な工夫で行うのが安全です。

Q2. 冷房の効いた部屋にいれば悪化しませんか?

A. 必ずしもそうとは言えません。外との温度差が大きいと自律神経の乱れにつながり、皮脂分泌や免疫バランスに影響することがあります。冷房は27〜28℃を目安に、外気との差を小さく保つのがおすすめです。乾燥しすぎると今度は皮膚バリアが弱るので、加湿にも気を配りましょう。


季節の波に、あなたのペースで向き合う

脂漏性皮膚炎は、季節や環境の影響を強く受ける慢性疾患です。夏に悪化することは決してめずらしいことではありませんし、それはあなたのケアが足りないからではありません。皮脂が増え、マラセチア菌が活発になりやすい条件が、ただ重なっているだけなのです。

完璧なケアを目指すのではなく、今日できたことを一つ積み重ねていく。そんな気持ちで、この季節を乗り切っていきましょう。症状が強いときや、セルフケアで改善しないときは、我慢せずに皮膚科にご相談ください。


今日のチェックリスト

  • 汗は「押さえるように」拭き取る
  • 帰宅後は10〜15分クールダウンしてから洗髪する
  • シャンプーのお湯は38℃以下のぬるま湯を心がける
  • 枕カバーは週1〜2回交換する
  • 寝具・衣類は綿・シルク・リネンなど通気性の良い素材を選ぶ
  • ビタミンB2・B6(納豆、卵、レバー、マグロ、バナナ)を意識して摂る
  • 冷房は27〜28℃、外気との温度差を小さく保つ
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