夏の脂漏性皮膚炎|汗で悪化させない季節のケア完全ガイド

この記事の監修者

久保木彰一

久保木彰一

ワイズ製薬株式会社  薬剤師

昭和薬科大学薬学部薬学科卒業 。北京中医薬大学日本校卒業。薬剤師資格だけでなく国際中医薬膳師・調理師免許も保有。大手ドラッグストアーに勤務後、調剤薬局に勤務、神奈川県鎌倉市薬剤師会に所属し、在宅医療を中心に地域包括ケアの一員として活躍。その後、現職のワイズ製薬で化粧品及び健康食品の商品企画開発に従事。お客様の痛い・苦しいを取り除くために日々奮闘中です。プライベートでは二児の父で、育メンを目指しています。

気温と湿度が上がる夏は、顔のTゾーンや髪の生え際、頭皮のかゆみ・赤み・フケといった症状が気になりやすい季節だと感じる方が少なくありません。汗をかく量が増え、皮脂やマラセチア(皮膚に常在するカビの一種)が活動しやすい環境が重なるためと考えられています。この記事では、夏に脂漏性皮膚炎が気になりやすい理由から、汗との正しい付き合い方、夏のスキンケア・頭皮ケア、エアコンや紫外線の注意点、やってはいけないケア、受診の目安、よくある質問までを薬剤師監修でまとめました。今日から無理なく続けられる工夫を一緒に確認していきましょう。

夏に脂漏性皮膚炎が気になりやすい理由

夏は複数の要因が重なるため、症状が出やすい・気になりやすいと感じる方が多い時期です。まずは「なぜ夏なのか」を整理しておくと、後のケアの理由が腑に落ちやすくなります。脂漏性皮膚炎そのものの基礎については、脂漏性皮膚炎とはどんな病気かもあわせてご覧ください。

高温多湿という環境

気温と湿度が高い状態は、肌表面がムレやすく、雑菌やカビが繁殖しやすい環境になりやすいと考えられています。汗が乾きにくく、肌に長くとどまることで刺激につながる場合もあります。日本の夏は湿度が高いため、屋外だけでなく室内でもこうした環境になりやすい点に注意が向けられています。

汗の量が増える

体温調節のために汗をかくこと自体は健康な働きですが、量が増えると肌に残りやすくなります。汗をかいたまま放置すると、乾く過程で肌が刺激を受けたり、かゆみを感じやすくなったりすることがあるとされています。汗と症状の関係については脂漏性皮膚炎と汗の関係でより詳しく解説しています。

皮脂分泌が増えやすい

一般に、気温が上がると皮脂の分泌量も増えやすいと言われています。皮脂は本来、肌を守るうるおいの一部ですが、過剰になると後述するマラセチアのエサになりやすく、Tゾーンや頭皮のベタつきにつながることがあります。脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位に起こりやすいとされており、夏はその部位がより気になりやすい季節と言えます。原因の全体像は脂漏性皮膚炎の原因で確認できます。

マラセチアが活動しやすい

マラセチアは誰の肌にもいる常在菌(カビの一種)で、皮脂を好む性質があるとされています。高温多湿で皮脂が増える夏は、マラセチアにとって活動しやすい条件がそろいやすいと考えられています。マラセチアと肌のかかわりについてはマラセチアと脂漏性皮膚炎の関係もご参照ください。なお、マラセチアがいること自体は自然なことで、過度に怖がる必要はないとされています。バランスが乱れやすい環境を整えることが、夏のケアの基本的な考え方になります。

夏の汗との正しい付き合い方

汗は悪者ではありません。大切なのは「かいた汗をどう扱うか」です。我慢して汗をかかないようにするより、かいた汗をやさしく整えることが現実的なケアにつながります。

こまめにやさしく拭き取る

汗をかいたら、清潔なタオルやハンカチでこすらずやさしく押さえるように拭き取るのがおすすめです。ゴシゴシこすると肌の負担になりやすいため、力を入れすぎないことがポイントです。汗拭きシートを使う場合は、アルコールや香料で刺激を感じることもあるため、自分の肌に合うものを選ぶと安心です。

外出先でリセットする工夫

大量に汗をかいた後は、可能であればぬるま湯で軽く流したり、濡らしたタオルで押さえたりして肌をリセットすると、汗が長くとどまるのを防ぎやすくなります。難しい場合は、汗を吸いやすい綿素材のインナーやタオルを首元に当てておくだけでも、肌に汗が残る時間を減らす助けになります。

汗を「ためない」服装

通気性・吸湿性の良い素材を選ぶと、汗がこもりにくくなります。締めつけの強い衣類やムレやすい帽子を長時間つけ続けると、頭皮や生え際がムレやすくなるため、こまめに外して風を通すことも有効です。

夏のスキンケアと頭皮ケア

夏は「洗いすぎ」と「ケア不足」のどちらにも傾きやすい季節です。ベタつきが気になるからと洗いすぎると、かえって肌が乾いて刺激に弱くなることがあるとされています。やさしく洗い、しっかり整えるバランスが大切です。

洗顔はやさしく、ぬるま湯で

熱いお湯は必要なうるおいまで奪いやすいため、ぬるま湯(38℃前後を目安にする考え方が一般的です)でやさしく洗うのがおすすめです。洗顔料はよく泡立て、手のひらでなでるように洗い、しっかりすすぎ残しのないように流します。1日に何度も洗いすぎないことも大切です。

保湿は夏でも省略しない

皮脂が多いと保湿は不要に思えるかもしれませんが、洗った後の肌はうるおいが不足しやすい状態です。さっぱりした使用感の保湿でかまわないので、肌に合うアイテムで水分を補い、肌のバリアを整えることが、刺激に負けにくい肌づくりの助けになると考えられています。

頭皮・髪のケア

汗と皮脂がたまりやすい頭皮は、夏に特にケアしたい部位です。シャンプーはぬるま湯で予洗いしてから泡でやさしく洗い、すすぎ残しがないように丁寧に流します。爪を立ててゴシゴシこするのは避けましょう。洗髪後は地肌までしっかり乾かし、ムレを残さないこともポイントです。シャンプーの選び方や洗い方のコツは脂漏性皮膚炎とシャンプーの選び方・洗い方で詳しく解説しています。

エアコン・紫外線など夏ならではの注意点

夏のケアでは、汗や皮脂だけでなく、室内環境や日差しへの配慮も役立ちます。

エアコンと冷えすぎ・乾燥

冷房は快適さや汗のかきすぎ防止に役立ちますが、設定温度を下げすぎると室内が乾燥しやすくなったり、屋外との寒暖差が肌の負担になったりすることがあります。設定温度を下げすぎず、必要に応じて加湿や送風を組み合わせて、急な乾燥や冷えを避ける工夫が向いています。汗をかいたまま冷房で一気に冷やすと汗が肌に残りやすいため、軽く拭いてから涼むと安心です。

紫外線とのつき合い方

強い紫外線は肌の負担になりやすいとされ、敏感に傾いている肌ではヒリつきを感じることもあります。日傘・帽子・日陰などで物理的に避けることを基本にしつつ、日焼け止めを使う場合は、低刺激や肌にやさしい処方など、自分の肌に合うものを選ぶと安心です。塗った後はその日のうちにやさしく洗い落とし、肌に残さないようにします。

寝具・寝汗への配慮

夜間も汗をかきやすい夏は、吸湿性の良い綿素材の寝具や枕カバーを選び、こまめに洗濯して清潔を保つことが、肌に汗や皮脂が触れ続けるのを防ぐ助けになります。

やってはいけない夏のNGケア

良かれと思った行動が、かえって肌の負担になることがあります。以下は避けたい代表的な習慣です。よくある間違いについては脂漏性皮膚炎で避けたいNG習慣もあわせてご覧ください。

  • ベタつくからと一日に何度も強く洗う……必要なうるおいまで奪い、かえって刺激に弱くなることがあります。
  • かゆいところをかく・こする……一時的にスッキリしても、肌を傷つけ悪化につながりやすいとされます。
  • 熱いシャワーで一気に流す……うるおいが失われやすく、乾燥やかゆみの一因になり得ます。
  • 汗をかいたまま長時間放置する……汗が肌に残ることで刺激になりやすいと考えられています。
  • 自己判断で刺激の強いアイテムを使い続ける……肌に合わない場合は中止し、合うものを選び直すことが大切です。

こんなときは受診を検討しましょう

セルフケアで様子をみても、次のようなサインがあるときは、無理せず皮膚科などの医療機関への相談を検討してください。脂漏性皮膚炎は適切なケアや治療で付き合っていける病気とされており、自己判断で抱え込まないことが大切です。

  • 赤み・かゆみ・フケが数週間続き、セルフケアで改善が見られない
  • 範囲が広がっている、または症状が強くなっている
  • ジュクジュクする、強い痛みや出血をともなう
  • 市販のアイテムを試しても合わず、刺激を感じる
  • かゆみで眠れない・日常生活に支障が出ている

自分の症状の傾向を把握したいときは、脂漏性皮膚炎の症状チェックセルフチェックも受診の前後で役立ちます。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。症状や治療については、必ず医師・薬剤師など専門家にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 夏に脂漏性皮膚炎は悪化しやすいのですか?

A. 高温多湿で汗や皮脂が増え、マラセチアが活動しやすい環境が重なるため、夏は症状が気になりやすいと感じる方が多いとされています。ただし悪化の度合いには個人差があり、汗のケアや洗い方を整えることで気になりにくくなる場合もあります。

Q. 汗をかくのは控えたほうがよいですか?

A. 汗をかくこと自体は体温調節に必要な健康な働きで、無理に止める必要はないと考えられています。大切なのは、かいた汗をこすらずやさしく拭き取り、肌に長く残さないようにすることです。

Q. 制汗剤は使ってもよいですか?

A. 使用してはいけないわけではありませんが、成分によっては刺激を感じることもあります。症状が出ている部位への使用は慎重にし、肌に合うかどうかを確かめながら、心配な場合は医師・薬剤師に相談すると安心です。

Q. 皮脂が気になるので一日に何度も洗顔・洗髪してよいですか?

A. 洗いすぎは必要なうるおいまで奪い、かえって肌が刺激に弱くなることがあるとされています。基本は1日1〜2回を目安に、ぬるま湯でやさしく洗うことが推奨される考え方です。ベタつきが強いときも、こすらずやさしく洗うことを意識しましょう。

Q. エアコンは脂漏性皮膚炎に良くないのですか?

A. エアコン自体が悪いわけではありません。設定温度を下げすぎると乾燥や寒暖差で肌の負担になることがあるため、冷やしすぎず、必要に応じて加湿を取り入れるなど、快適で乾燥しすぎない環境を整えることがポイントです。

Q. 日焼け止めは使ってもよいですか?

A. 紫外線対策は肌の負担を減らす助けになります。使う場合は低刺激や肌にやさしい処方など自分の肌に合うものを選び、その日のうちにやさしく洗い落として肌に残さないようにするとよいでしょう。合わないと感じたら使用を見直してください。

Q. 夏のあいだ、保湿は省いてもよいですか?

A. 皮脂が多くても、洗った後の肌はうるおいが不足しやすい状態です。さっぱりした使用感のもので構わないので、夏でも保湿で水分を補い、肌のバリアを整えることがすすめられています。

季節と上手につき合いながら、自分のペースで

夏は脂漏性皮膚炎が気になりやすい季節ですが、汗とのつき合い方、やさしい洗い方、保湿、室内環境の工夫を積み重ねることで、負担を減らしていける部分は多くあります。季節ごとの傾向と対策は脂漏性皮膚炎と季節の関係でも整理しています。すべてを完璧にこなそうとせず、できることから少しずつ取り入れてみてください。気になる症状が続くときは、早めに医師・薬剤師へ相談することが、安心して夏を過ごす近道になります。

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